クマとスマホが家族を繋ぐ 離れて暮らす大切な人との会話を促す見守りロボット、ハウステンボス「TELLBO(テルボ)」実機レビュー

「おじいちゃん、元気にしてる?」
「今日は病院だったでしょ? 検査結果どうだった?」

こうしたメッセージをクマのぬいぐるみとスマートフォンで気軽にやりとりできる製品をハウステンボスが発表した。名前は「TELLBO」(テルボ)。離れて暮らす高齢の家族に、大切な人をやさしく見守り、コミュニケーションを増やすきっかけとなるロボットだ。

外観はクマのぬいぐるみで、オリジナル・キャラクターの茶色の「フルック」と黄色の「カーレル」の2種類。「フルック」はハウステンボスの場内にある風車をお世話する風車係の設定で、名前はオランダ語で「幸せ」という意味がある。「カーレル」はフルックの双子の妹で、大忙しのお兄ちゃんのお手伝いを時々している。名前はオランダ語の「仲間」を意味する。それぞれ2019年5月末の発売を予定している。


外観は親しみやすいぬいぐるみ、黄色の「カーレル」(左)と茶色の「フルック」(右)が用意される。誰にでも親しまれるデザインを検討した結果、クマを選んだという。


離れて暮らす大切な人をやさしく見守るロボット「TELLBO」

「TELLBO」の利用者は主に高齢者、購入するのは高齢者を親に持つ40歳以上の世代を想定している。

「離れて暮らす高齢の親を見守りたい」「気軽にメッセージのやりとりをしたい」と考える世代が購入し、親にクマのぬいぐるみをプレゼントするイメージだ。自分たちはスマートフォンのアプリからメッセージを送り、親は「TELLBO」に話しかけることで返信、簡単な操作でコミュニケーションをとることができるしくみだ。


■ 大切な家族にスマホからメッセージを届けられる


外観は着せ替えできる

黄色いクマ「カーレル」と茶色い「フルック」はぬいぐるみのキャラクターの名前で、「TELLBO」本体はそのぬいぐるみの中に収容されているコミュニケーション機器の名前だ。外観のぬいぐるみは簡単に着せ替えできる。


「TELLBO」本体はぬいぐるみの中に収容されている。TELLBO本体はバッテリー等を内蔵していないので、見た目よりずっと軽い


設定と操作はとてもシンプル

高齢者の家に設置し、使われることを前提にしているため、初期設定と操作はシンプルさにこだわった。
会話に必要な操作ボタンはひとつだけ。


「TELLBO」本体。着せ替え用のぬいぐるみは今後バリエーションが増えていく予定

「TELLBO」本体には4G通信用のSIMカードが内蔵されている。ブロードバンド環境を導入したり、Wi-Fiを設定するといった煩わしさは必要ないので、これならすぐに利用できる。また、使用しはじめた後で、Wi-Fiなどの通信トラブルで悩まされる心配もない。


「TELLBO」本体にはSIMカードが内蔵されているので、難しいWi-Fiの初期設定等が不要だ。SIMカードによる通信料金は月額の利用料金に含まれる

開発には「BOCCO」や「Qoobo」で知られるユカイ工学が協力し、「BOCCO」用に発売されているIoTセンサーを「TELLBO」にも対応させた。これらIoTセンサーを親の見守りに使うことができる(後述)。


スマホと「TELLBO」のやりとり

「TELLBO」の最大の特徴は、スマホの専用アプリからクマのぬいぐるみにメッセージを伝えたり、簡単にコミュニケーションのやりとりができることだ。

息子夫婦が「TELLBO」を購入し、離れて暮らす両親宅に送ったり、設置したケースを例にしよう。スマホの専用アプリから一般的なメッセージアプリの操作と同様に、テキストでメッセージを入力したり、音声でメッセージを録音する。


専用アプリからメッセージを送信すると・・

その内容は「TELLBO」に届き、テキストであればTELLBOが音声で読み上げ、音声メッセージであれば再生してくれる。



下記の画面は、スマホアプリからテキストで「おじいちゃん、元気にしてる?」と入力。TELLBOが読み上げたそのメッセージを聞いたおじいちゃんが「元気にやってるよ」と音声で返信。それを受けてスマホから音声で「今週末遊びにいきますよ、楽しみにしといてください」とメッセージを返信した例。部屋の照明が消えて就寝したことをオプションの「部屋センサ」が通知している。(※ 記事内に登場するアプリ画面は開発中のものです。実際の商品とは異なる場合があります)


「TELLBO」のアプリでやりとりした例。アプリの画面デザインは40歳~50歳後半のユーザーを意識したシックなものになっている

専用のアプリでのやりとりは複数台のスマホで共有できる。夫婦それぞれのスマホからアプリを使って、TELLBOとのやりとりが可能だ。


TELLBOとの会話は複数台のスマホで共有することができる。写真はAndroidスマホとiPhone

返信する際には、ワンボタンで簡単に「ボイスメッセージ」を専用アプリに送信することができる。「フルック」や「カーレル」の胸のボタンを押して、声でメッセージを録音するだけ。音声ファイルに自動的に変換されてスマホのアプリに届くしくみだ。

高齢者が簡単に操作してメッセージが送れることを最重視した。


ぬいぐるみのお腹のマークを押して音声メッセージを送ることができる

実際にスマホとTELLBOとで会話している例が次の動画だ。実際にはTELLBOは離れて暮らす高齢者の家に設置してあることをイメージしてみて欲しい。


■ スマホとTELLBOでの会話

「TELLBO」の声は4種類が用意されている。ボリュームの調整で大きめの声も設定できるので、聞き取りやすい声と音量を選ぶことができる。また、聞き逃しを抑えるため、メッセージの内容を2回繰り返して発話させる「繰り返しお話」機能も選択できるなど、高齢者が使いやすいように配慮されている。

TELLBOのプロフィール画面。名前の変更、声(声色)の選択、メッセージの発話を2回繰り返す「繰り返しお話」機能のオン/オフが設定できる


各種センサを活用した見守り機能

「TELLBO」はユカイ工学が「BOCCO」向けに開発した4種類のセンサを「見守り」に活用することができるのも特徴のひとつだ。例えば、ドアの開閉を検知してスマホアプリに通知できる。外出したことがわかるので、元気にしていることが確認できるほか、夜中だけ通知するように設定することで徘徊の有無を確認することもできる。


TELLBOのオプションの見守り用のIoTセンサ。左から人感センサ(黄)、部屋センサ、ドアセンサ、鍵センサ

4つの各センサの機能は次の通り。


ドアセンサ(赤)

設置場所の振動を検出して通知するセンサが標準で同梱される。例えば、ドアセンサを玄関ドア等に設置することで、外出や帰宅時にドアを開けたことを検知して「TELLBO」を通じて家族のアプリに通知される。通知する時間帯などを設定することができる。ドアセンサは基本セットに同梱されている。


ドアセンサの通知によって外出や帰宅したことがわかる。ドアセンサが反応すると「ドアが開いたよ!」と発話し、通知されるように設定することもできる


なお、実際には振動を検知するセンサなので、ドア以外でも、動かしたことを検知したいものに貼付しても役立つセンサだ。


■ IoTドアセンサとTELLBOの連動



部屋センサ(緑)

部屋の温度、湿度、明るさを検知する部屋センサ。温度と湿度がアプリでわかるので、夏場の熱中症や冬場の乾燥を防ぐなど見守りに役立てることができる。また、カーテンの開け閉め、部屋の灯りのON/OFF等がわかるので、元気でいるかどうか、家族が参考にすることができる。





人感センサ(黄)

設置場所に動きがあると検出して通知できる人感センサ。TELLBOのそばに設置し、人が近くに来たことを検出すると、届いている最新のメッセージを発話するとともに、家族に検出した通知が届く。


鍵センサ(青)

サムターン鍵に取り付けて鍵の開閉を検出して通知できる鍵センサ。玄関の鍵の施錠状態をロボットが発話できる。また、その状況を家族にメッセージとして通知できる。



日々の決まり事や必要な情報を自動でお知らせ

「TELLBO」は人と人を繋ぐコミュニケーションツールとしてだけでなく、必要な情報を知らせる通知機能も装備している。例えば、毎朝、地域の天気予報をTELLBOが話したり、地震・大雨・大雪・洪水速報などを緊急時に発話することもできる。地震の場合、通知を受け取る最大震度を数値で設定できるほか、大雨や洪水、津波等は地域を指定できる。


地震や津波などの警報・注意報の通知を設定できる。

また、事前に設定した曜日と時間にTELLBOが自動的に発話して教えるタイマー機能(リマインダー)もある。起床、朝食、昼食、夕食、就寝やクスリの時間等、繰り返すイベントのお知らせに便利だ。来客や通院、外出等の1回限りのイベントにも利用できる。これらはスマホのアプリから設定できる。



月額のみプランも用意

基本セットは、TELLBO本体とぬいぐるみ(1種類)、ドアセンサ、電源ケーブル類が付属して39,600円。月額の通信料が別途必要だが、月額1,290円に抑えた。契約期間は2年間で、3年目からは月額1,740円になる。

月額料金のみのプランも用意され、本体基本セット39,600円の24ヵ月の月払いと通信料が込みになって、月々2,980円となる。こちらは3年目からは通信料のみの1,740円となる(すべて税抜)。

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ロボスタ編集部

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