FOVEの元CTOが立ち上げた「SE4」、VR×ロボティクスで火星のインフラ開発に挑む

株式会社SE4(エスイーフォー)は、時間や距離を超えて人とロボットが協働するシステム構築をすることをビジョンに 、ロボット遠隔操作の技術開発を行うスタートアップだ。VR用ヘッドマウントディスプレイを開発するFOVE社の共同創立者兼元CTOのウィルソン・ロクランがCEOを務めるなど、VRとロボティクスの知見に富んだメンバーが参画をしている。宇宙空間をも見据えたあらゆる環境でロボットが人類の繁栄を長期的にサポートするシステムを構築し、ロボットと人間の相互作用と相互依存が可能な未来を目指して日々研究を重ねている段階だ。

SE4のロードマップはこうだ。2019年内にユーザーの指示をユーザーの意思としてロボットに伝えるSE4の独自技術「SEMANTIC CONTROL」とユーザーの意思に沿ってロボットに自律的にタスクを実行させる技術「ORCHESTRATED AUTONOMY」の要素技術を確立し、2021年までに汎用ロボットを用いて製造ラインや、人がアクセスできない災害復旧支援等の実際の現場で実証を行い、商用サービスの提供を開始。宇宙開発事業については、2022年を目途に遅延環境下である地球周回軌道や月等で実証実験を行い、2025年を目途に火星のインフラ開発にロボットを従事させることを目標としている。



SE4が実現したいこと

地球と月の間では往復に約2秒、火星との間では約20分にまで及ぶという通信遅延。遠隔地からそのような環境下にあるロボットを操作しようと思えば、ロボットの一つ一つのタスクが終わるごとに指示をせねばならず、通常の何倍にも及ぶ膨大な時間を要してしまう。宇宙のような環境は、未知の環境であることが多く、ロボットの動作は事前にプログラミングしておくことも難しい。



SE4はこの通信遅延環境下におけるロボットの遠隔操作に着目。VR上のシミュレーションでロボットが認識している世界を見ながら、ロボットを操作し、細かな動作を指示するのではなく「目の前のペットボトルのキャップを開ける」といった目的を伝えることで、AIを使い自律的にタスクを実行していくという。



SE4は、指示の回数を限界まで減らすことができ、「通信遅延が発生する場所での作業効率を飛躍的に高めることができるのです」と述べ、「ロボット関連企業との技術開発提携と、宇宙・建築・工場関連企業との技術検証提携とにより、上記の目標への達成速度を加速させることを希望しています」と協力会社の募集を呼びかけている。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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