位置情報の誤差は数センチ ドコモが高精度化の実現へ 「GNSS位置補正情報配信基盤」を法人向けに提供開始
位置情報システムと言えば「GPS」が知られているが、見込み誤差が約15m程度と、用途によっては精度を欠く。一方で、各業界で取り組みが加速している既存製品のIoT機器化や自動化において、「高精度位置情報」に対するニーズはますます高まっている。特に建機業界などでは、労働力不足に対応したICT建機の普及による効率的な施工管理のため、数センチ単位での高精度な位置情報の把握が必要とされている。
このような需要を受け、株式会社NTTドコモはGPS・GLONASS・Galileo・準天頂衛星(QZSS:みちびき)などの測位衛星システム「GNSS(Global Navigation Satellite System) 」を活用することで、誤差「数センチメートル」の高精度で測位することができる「GNSS位置補正情報配信基盤」の提供を法人向けに開始することを5月28日に発表した。2019年3月より行ってきた技術検証で、同社が構築する独自固定局と位置補正情報配信サーバで、目標としていた約±2センチメートル以内の誤差を達成する測位精度が実現できたことを受けての事業化となる。
まず初めに、フラッグシップパートナーとしてコマツが2019年10月1日(火)より利用し、建機のオペレーター支援システムであるマシンガイダンス技術への活用を共同で推進していく予定だ。
同社は今後、同基盤を通じて建機業界だけでなく様々な業界の位置情報測位に関する課題に対して取り組むことを検討している。この取り組みには、移動局の小型化・省電力化が必要と考えており、その実現のためにクラウドで測位演算する新技術「クラウドGNSS測位」についても検討を進め、業界全体で広がる既存製品のIoT機器化の動きをより一層加速させていくと述べている。
「GNSS位置補正情報配信基盤」の概要
同基盤は、ドコモ独自で「位置補正情報配信サーバ」を構築する仕組みだ。補正情報のために、国土地理院が提供する電子基準点に加え、ドコモが独自に固定局を設置・運用することで、高精度の位置測位を実現可能とした。
これを通じて、車椅子の移動の際の正確な誘導をはじめとした高精度位置情報の活用や、スポーツ分野における選手の移動軌跡の正確な把握による高度な分析、ドローンなどの制御による空中での新しい物流空間の実現など、様々な利用シーンの創出も考えられるようになる。
今回の提供では、実際に移動局で得られる測位データを検証して、位置精度の品質からアンテナの電波干渉、位置補正情報配信サーバーの品質・運用性などを多角的に検証する。同時に、パートナー企業と共に独自構築する配信サーバの開発と、GNSSに関わるインフラ機材の低価格化により、高品質でありながら価格を抑えたサービス提供を実現できる予定だ。
受付・提供開始日 | 2019年10月1日(火) ※機器の設置状況等により、利用開始日は変更となる場合あり |
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提供価格 | 未定 ※ドコモHPなどを通じて案内予定 |
問い合わせ窓口 | ドコモビジネスオンライン(https://www.nttdocomo.co.jp/biz/support/inquiry/) |
株式会社NTTドコモ