NTTドコモの回線と埼玉高速鉄道の電車がコネクテッド!車両内外の環境変化に応じた「ダイナミックDOOH広告」ってなに?

自動車をネットやデバイスにつなげる「コネクテッドカー」が日本でもようやく注目され始めているが、ここに来て電車がネットにつながるいわば「コネクテッドトレイン」の導入も加速しているようだ。ドコモのLTE回線を電車とつなぎ、混雑状況や温度・湿度などをAIで解析、車両内外の環境変化に応じた広告や情報をリアルタイムに表示する試みがはじまる。


ダイナミックDOOHとは

NTTドコモ、埼玉高速鉄道、ビズライト・テクノロジー、LIVE BOARDの4社は、鉄道の車両内におけるデジタルサイネージ「ダイナミックビークルスクリーン」を活用し、リアルタイムな環境変化に応じて動的に表示内容や広告を切り替えることができるダイナミックDOOH(Digital Out Of Home)事業の推進を行うことに合意したことを発表した。「DOOH」は略語の通り、家庭以外の場所でアプローチするデジタルサイネージのことを示し、おもにデジタル屋外広告をさすことが多かったが、近年は電車内や駅構内、ショッピングモールでの広告や情報提供も急速に進んでいる。これに外部の状況と連携した仕掛けを可能にしたものがダイナミックDOOHで、電車が走るのに合わせて映像の中の人物の髪や服が揺れたり、車外の天気に合わせて映像が変わったり、人が近づいたことを検知して話しかける映像が始まったりと、インタラクティブ性や外部環境との連携を行うことができる。中には空を飛ぶ飛行機と連動させたデジタル広告も登場している。

■British Airways のダイナミックDOOH広告




デジタルサイネージ「ダイナミックビークルスクリーン」とは

「ダイナミックビークルスクリーン」は、ビズライト・テクノロジーが開発したデジタルサイネージ。カメラとIoT機器を搭載し、電車内の混雑状況や温度・湿度などをAIで解析。車両内外の環境変化に応じた広告や情報をドコモのLTE回線を使用してリアルタイムに表示する。また、LIVE BOARDが配信するインプレッション販売型のDOOH広告も表示する。「ダイナミックビークルスクリーン」は、2019年11月中旬から埼玉高速鉄道車両内に順次設置され、2020年4月から全車両に搭載して本格営業を開始する予定。

埼玉高速鉄道は、浦和美園駅(さいたま市)から東京メトロ南北線で東京都心部を経由し、東急目黒線日吉駅までを縦断する首都圏の主要路線であり、これら3社線を運行する車両のおよそ3分の1が埼玉高速鉄道の車両となる。既存のデジタルサイネージ機器の入替えを順次行い、2020年4月までに埼玉高速鉄道の全車両への「ダイナミックビークルスクリーン」搭載を予定してる。なお、「ダイナミックビークルスクリーン」の設置及び運用は、ビズライト・テクノロジーが実施する。

「ダイナミックビークルスクリーン」で実現すること

・車両内外のリアルタイムな環境変化に応じた広告・コンテンツ配信
ビズライト・テクノロジーは、車両内のデジタルサイネージに搭載されたカメラとIoT機器が取得した温度や湿度などの車両内の状態や、混雑状況・性別・年代などの乗客に関する情報をデジタルサイネージに搭載したエッジAIの解析によって属性情報化し、車両内の環境変化に応じて動的に広告を配信。AIで解析したデータをもとに、特定の個人を識別せずに乗客の広告接触状況を計測することも可能となる。

・コンテンツの配信
ドコモのLTE回線で車両外の天気や災害などの情報を取得し、リアルタイムに表示することが可能。ゲリラ雷雨などの天候情報を表示したり、災害発生時には緊急情報を表示したりするなど、ダイナミックなデジタルサイネージならではの迅速かつ有益な情報提供を行う。コンテンツの運用はビズライト・テクノロジーが実施し、今後は将来的な5Gネットワークでのサービス活用を見据え、実証実験なども検討していく。

・インプレッション(広告視聴数)販売型のDOOH広告配信
LIVE BOARDは、ドコモの携帯電話ネットワークの運用データを基にした人口統計「モバイル空間統計」などのデータを活用し、インプレッション販売型のDOOH広告を「ダイナミックビークルスクリーン」の広告枠の一部で配信開始。広告視聴数は、デジタルサイネージに搭載されたカメラで計測して算出する。

各社の役割

4社はこの連携による取り組みを通じて交通広告の効果的・効率的な運営を行うことで、埼玉高速鉄道車両を利用するユーザーにとって有益な情報を提供し、沿線価値および沿線住民の利便性の向上をめざす。

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ロボスタ編集部

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