オムロンが人のモチベーションを高めるAIをスクウェア・エニックスと共同研究 人の感情を揺さぶるメタAI技術とは

オムロンとスクウェア・エニックスは、オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」をつうじて、人のモチベーションを高めるAIの共同研究を開始したことを発表した。

共同研究では人の様々なバイタルデータから、人のモチベーションを高めるようなフィードバックを行うAIアルゴリズムを開発し、機械が人に飛躍的成長を促す技術の確立を目指す。(上の画像は第5世代 卓球ロボット「フォルフェウス」)


センシング技術とゲームの「メタAI」技術を組み合わせ

フォルフェウスは人間を相手に卓球でラリーを行うロボット。オムロンのコア技術「センシング&コントロール+Think」で、機械が人の能力や創造性を引き出す「人と機械の融和」をわかりやすく体現するロボットとして2013年に中国で初展示。

2019年にCESで展示された第5世代「フォルフェウス」は、最先端のAIやロボティクス技術を搭載し、プロ選手とのラリーも可能な高い卓球スキルと、対戦相手を深く理解して一人一人に最適な返球やアドバイスを行うことで、人の成長を促すコーチングができるまでに進化をしている。

今回の共同研究では、オムロンが強みとする「人の感情と能力を読み取るセンシング技術」と、スクウェア・エニックスがゲーム開発で培った「プレイヤーごとにゲーム展開を変化させ、人の感情を揺さぶるAI技術(メタAI)」を組み合わせることで、プレイヤーに合わせて、成長へのモチベーションを高める指導方法を考えるAIを開発する。

メタAIとは
メタAIは、ゲーム内で使用されるAIのひとつ。俯瞰的な視点からプレイヤーを含むゲーム内の状況を把握し、キャラクターなどのAIや天候や地形などの要素に指示を出しゲーム全体をコントロールすることができる。

これをフォルフェウスに搭載し、フォルフェウスが人と卓球を通じてコミュニケーションをすることで「機械が人のパフォーマンスを引き出す」人と機械の関係性の実現を加速する。

オムロンはこの共同研究により実現した技術を、オムロンの注力ドメイン、FA(ファクトリーオートメーション)、ヘルスケア、ソーシャルソリューションに展開する。例えば、FAにおいて作業者の習熟度に合わせた機械の適切な支援によるモチベーション向上などへの活用が期待できる。


<共同研究の概要>
・期間
2019年12月~2020年3月

・目的
卓球ロボットにおけるモチベーションコントロールAIのアルゴリズム開発

・役割
オムロン:コンセプト開発、卓球ロボットへのアーキテクチャ開発、効果検証、アルゴリズム改善手法検討

スクウェア・エニックス:コンセプト開発、モチベーションコントロールAIのアーキテクチャ設計、評価指標設定、開発アドバイス・サポート、アルゴリズム改善手法検討

スクウェア・エニックスは、テクノロジー推進部が中心となり、AI技術の一つである「メタAI」がゲームのプレイヤーの感情などを理解し、それぞれのゲームプレイヤーに適したコンテンツを提供することを目指している。

今後のデシダルゲームはモニターや画面の中だけではなく、スマートシティなどの現実空間をベースとした領域へ拡張されることが想定されているという。その際に、スクウェア・エニックスがゲームコンテンツを通じ開発してきた「メタAI」技術が、現実空間において社会貢献できるよう進化するために、今回卓球ロボット「フォルフェウス」の共同研究に参画した。

なお、今回の共同研究による技術を搭載した卓球ロボット「フォルフェウス」は、2020年1月7日から10日まで米国ネバダ州ラスベガス市で開催する「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2020」で展示される。

関連サイト
オムロン

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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