フォードの電動ムスタング「Mach-E」、音声アシスタント「SYNC」、Fordが描くCASE戦略とモビリティの未来 講演レポート

東京ビッグサイトで開催中の「オートモーティブ ワールド」では、自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における先端テーマの最新技術が一堂に介している。
2日目の16日は「Smart Worldのためのスマートカー」と題して、フォードの中国でディレクターをしているRyan McGee氏の特別講演が行われた。McGee氏の講演では、自動運転、モビリティ、電動化、コネクティビティをテーマに、フォードが取り組んでいるCASEの現状を解説、未来像も紹介した。

講演するFord Motor Co. (China) Connected Vehicle Platform and Products,Director,Ryan McGee氏


玄関先に運ぶのはロボット!?

冒頭では自動運転に触れたが、そこにロボットも登場した。自動運転車は配達などの流通の自動化を目指しているが、玄関先まで荷物を運ぶことはできない。そこで、玄関先まで運ぶためのロボットも研究、可能性を探っているという説明だった。

■参考 既にFordが公開しているデリバリーロボットのイメージ動画

モビリティについては、スマートフォンなどのデバイスを使って、自動車の状況を把握したり、一括管理するサービスを検討していること、シャトルサービス、アプリを使ってロックを解除して利用するミニバイクのサービス企業「スピン」社を買収したことを説明した。ミニバイクなどの連携はMaaSの観点からも重要で、こうしたサービスはラストワンマイルを担う重要なキーだと考えているようだ。


ムスタングの電動モデル「Mach-E」

電動化については同社の代表製品のひとつである「ムスタング」シリーズとして初のフル電動自動車として開発していることを発表した「Mach-E」を動画で紹介。「Mach-E」はCES2020でも大きな話題となった。McGee氏は、この製品は同社にとって大きな挑戦であり、今後は順次ピックアップトラックの電動化を発表していくという。


コネクテッドカーとエコシステム

コネクティビティとして、コネクテッドカーを中心に、いかにクルマをエコシステムに統合していくかが重要だと語った。コネクテッドカーとは簡単に言うと、通信機能を持ったクルマのことで、クルマ同士の通信(車車間通信)を「V2V」、クルマとネットワークの通信を「V2N」、道路や信号機などインフラとの通信を「V2I」等と呼ぶ。通信先を「X」とした総称が「V2X」でフォードでは「C-V2X」と呼称する。
他のクルマと通信することで、見通しの悪い場所でも先行するクルマから障害物や歩行者などの事故に繋がる情報をV2Vで事前に察知することができる。V2Iではインフラとの通信で信号機や進入禁止の道路の情報をクルマが検知することで、都市の交通の安全性の向上に繋がると考えられている。中国では「Cellular-vehicle-to-everhthing」のもと、2020年以降のすべての車種に装備されていく構えだ。

ほかに、コネクテッドカーで重要な要素に音声操作のインフォメーションシステム(音声アシスタント)がある。中国ではフォードは「SYNC」という名称で既にサービス展開を発表している。


更に、遠隔地からのシステムやサービス内容、情報やコンテンツのアップデートも可能として、McGee氏は「新しいパラダイムになる」と語った。

■All-New Next Generation SYNC® | Mustang Mach-E | Ford

McGee氏は、顧客はクルマに何を求めているかという問いに対しては、AI、顧客の嗜好を理解するパーソナライズ化されたサービスをあげた。スマートフォンでの情報収集は当たり前になったが、それと同様の情報収集の機能や利便性がクルマにも求められている。同様に、セキュリティやシームレス性、ユーザーエクスペリエンスも重要だ。それを実現するのがエコシステムであり、エコシステムに統合されたクルマ社会の重要と考えてられている。コネクティビティには当然「5G」がキーのテクノロジーとなり、日本では2020年以降に開始される商用サービス以降に、コネクテッドに対する注目が更に高まりそうだ。


中国がコネクテッドで積極的

コネクテッド環境の普及については、日本は欧米や中国に遅れをとっている。中国では、「フォードチャイナ2.0」として、先の「SYNC+」をバイドゥとの連携で既に搭載は開始されていて、C-V2Xシステムの技術的な評価をしている段階に入った。LiDAR、カメラなどの各種センサー類を活用し、V2N、V2I、V2P(人との通信)によって歩行者の横断を検知したり、信号が変わるタイミングをクルマが理解して走行、交通の流れが円滑になり、渋滞の緩和安全走行の可能性も探っていく。
中国ではスマートシティの開発も急ピッチで進められている印象だ。スマートシティと繋がる「C-V2X」は今後の自動車の必須条件となって90%の自動車への装備、更には5Gの標準化によって更なる普及へと進むイメージを描いている。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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