スマートモビリティが横須賀に大集合 アスラテックがAGV「RICE」と遠隔操作できる運搬台車「運ん太郎」を実演デモ ほか

神奈川県横須賀市にある「横須賀リサーチパーク(YRP)」で「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2020」が2月7日と8日で開催されている。


自動運転バスの試乗や自動搬送車(AGV/UGV)、遠隔操作できる重機、小型のモビリティなど最新技術を搭載したさまざまな製品やサービスが提示されている。また、2月8日(土)は子どもたちも楽しめるキッズ・ワークショップも開催される。これには日産やトヨタ、京急などが協力している。





遠隔操作で操作できる運搬台車「運ん太郎」

ロボスタ編集部は、まずは遠隔操作で操作できる運搬台車「運ん太郎 LD09」(はこんだろう)と、日本初出展の自動運搬車「RICE」と、稼働デモを見学した。どちらもソフトバンク傘下のアスラテックが関係しているロボットたちだ。




「運ん太郎」の遠隔操作ユニット

プレスリリースには「遠隔操縦ユニットは後付けで設置できるため、「運ん太郎」の本体を改造することなく、遠隔操縦に対応させることが可能」といった旨が書かれている。
車両本体を改造せずに遠隔操作を可能にする・・それはいったいどういうことなのか?
「運ん太郎 LD09」は前田建設工業が開発・販売する、重量物などの荷物を運搬できる小型の台車だ。人がレバーを動かして操縦する。下の写真がもともとの人が操縦する台車の形状だ。


一方、稼働展示されていた実機はこの写真。操縦レバー群の前部にユニットが取り付けられている(下の写真の赤いマーカー部)。ちなみに人がレバー操作で操縦することもできる(切り替えスイッチを装備している)


実はこのユニットから伸びたシリンダー駆動のリンケージが操作レバーに直結されている。
なるほど、人の代わりにこのユニットが操作レバーを動かし、運ん太郎を動かす仕掛けとなっている。これならば車両自体に改造を加える必要がないというわけだ。


遠隔操縦は従来から無線操縦の重機によく用いられてきた両手操作用のリモコンに加え、片手操作用も用意されている。そして遠隔操縦ユニットの制御にはアスラテックのロボット制御システム「V-Sido(ブシドー)」が使われている。

重機の遠隔操作でよく見かける大型のリモコン

片手で操作できるように小型化されたリモコン

下の動画は人が操縦して動かした後、小型のリモコンで遠隔操縦するデモ。

なお、今回のデモでは、建設機械を遠隔操縦できる人型ロボット「KanaRobo」(カナロボ)を開発した株式会社カナモトも協力している。

ちなみに現在、映画「前田建設ファンタジー営業部」が公開中だが、「運ん太郎」の前田建設工業の実話が元になっている。


自律走行型配送ロボット「RICE」

アスラテックが連携するもうひとつのロボットが「RICE」(ライス)だ。屋内用の自律走行型配送ロボットで、香港のRice Robotics社が開発し、アスラテックが日本国内向けの開発、販売、導入にあたってのシステムインテグレーション、カスタマーサポートなどを行う予定。

デリバリーロボット「RICE」。全高765.2mm。約5時間の充電で約8時間稼働。可搬重量最大20kg。Wi-FiとLTEに対応。移動速度は最大4km/h。LiDAR、超音波センサー、深度センサー、RGBカメラ等を搭載している

香港では2019年から4か所で実証実験がおこなわれている。内訳は2か所のショッピングモールと、2か所のオフィスビル。他にはホテルや病院、空港などでも利用できるとしている。


香港ではシンドラー製のエレベーターと連携

あらかじめエンジニアがマップを作成しておき、設定されているいくつかのポイントの中から、行先を指定することで自律移動する。障害物や人を認識し、回避する機能を持つほか、香港ではエレベーターとの連携ができる(エレベーターを呼んで上下の階に移動する)。対応するエレベーターはシンドラー社製のもの。シンドラーが提供するエレベーター管理システム用のAPIを使って実現している。

充電ステーションに収まっている「RICE」(ステーションは接点式)

スマートフォンに表示される暗証番号をタッチパネルに入力すると、荷台のカバーが開いて中の物品や書類等を受け取ることができる。


また、配送業務のほか、来客者を先導・案内する機能も備えている。例えば、ショッピングモールが来店客を先導して店舗まで案内したり、企業の受付で会議室まで先導する、といったユースケースが考えられる。


フォースフィードバック対応の協働ロボットハンド

アスラテックは車いすに装着するロボットハンドシステムや触覚ロボットハンドも参考展示。レバーでロボットハンドを操作して分銅を移し替えるデモを展示。ロボットハンド側を押さえつけたりすると、操作レバーに対してフォースフィードバックする。


なお、アクチュエーター部にクラッチがついていて、ハンド側に逆の力がかかってもモーターやギアが壊れたりすることを防止する。


先進のモビリティが大集合

その他、先進のモビリティが多数展示されている。

埼玉工大の自動運転バス。試乗できる

トヨタ自動車の立ち乗り小型モビリティ(モーターショーでも稼働展示されていた)

WHILLをベースにした自律移動モビリティ。自律移動部分を久留米工業大学が開発し、福岡空港で実証実験が行われた

こちらもロボスタ読者にはおなじみの楽天ドローン(関連記事「【写真レポート】東京湾「猿島」ビーチで注文した缶ビールが海を渡って楽天ドローンで届く」)

NTTドコモが5Gの接続実験に使用したGTR。高速走行でも5Gの通信が可能なことを実証した

移動できるスマート医療「モバイルSCOT」

ABOUT THE AUTHOR / 

神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

PR

連載・コラム