モビリティロボ「RakuRo」を5台月額1万円でユーザーに提供 ZMPが高層マンションモデルを発表

株式会社ZMPは2020年7月より発売する一人乗りロボ「RakuRo」(ラクロ)の普及にむけて、東京都心部で公道を含めた地域での具体的な活用提案を発表した。

ZMPは高層マンションに住む75歳以上の後期高齢者をラクロの利用対象ユーザーとし、近隣エリアの散歩や地域の病院、スーパーやレストランまで気軽に外出できるシェアリングサービスを提案。月額1万円で5台程度を運用することで、マンション内で多くの自立した高齢者が利用することができる。高層マンション群は河辺や公園など散歩に適したエリアが私有地で繋がっているため、運用しやすいとする。

ラクロは目的地まで自動で走行する一人乗りのパーソナルモビリティ。サイズは高さ109.0cm×長さ118.8cm×幅D66.4cm。本体に設置された複数のセンサーやカメラにより周囲を把握、監視し障害物を回避しながら走行する。車体には親しみやすいデザインが施され、笑顔やウィンクなどの豊かな表情と声で挨拶やお願いといったコミュニケーションを周りの人と取ることができる。


公益財団法人テクノエイド協会が運営する福祉用具情報システム「TAIS」に登録されているため、公道での走行が可能


マンション群エリアの地下駐車場を活用する

高層マンションは1棟に1000〜2000人が居住している。後期高齢者(75歳以上)の割合を15%と仮定すると、約150~300人がラクロの利用の対象となる。ZMPはシェアリングサービスとして月額1万円で5台程度を運用することで、マンション内で多くの自立した高齢者が利用することができると想定している。



高層マンション群は河辺や公園など散歩に適したエリアが私有地で繋がっているため運用もしやすいといった特徴がある。また、私有地でラクロに十分に慣れたうえで、その後歩道(公道)を走行して受容性を高めることができるなど、段階的に活動の範囲を広めることもできる。


近隣の高齢者施設にも配置し、車椅子を押す介護士の負担を削減しながら感染症対策としてのソーシャルディスタンスを保つことも可能。

ラクロの配置先は高層マンションの立ち並ぶエリアの地下駐車場を活用する。利用希望者は会員登録しスマートフォン等から予約ができるようになる。


スマートフォンアプリから予約



高齢者に、より活発な活動を促進

スマートフォン等から予約したユーザーは予約時間になったらラクロ設置場所へ行き、ラクロに搭載されたタブレットに表示された二次元バーコードをスマートフォンで読み取るとラクロを利用できるようになる。ユーザーは予め登録した散歩ルートや病院、レストランを選択するだけで、あとは自動運転で移動することができる。

ラクロのタブレットでは地域のグルメ情報や新しく登録された散歩ルートなどの情報を表示できる。これをユーザーに提供することで、より活発な活動が期待できる。


免許返納をした高齢者の移動手段として提案

現在、超高齢化社会を目の前に控え、高齢者の「移動」が社会問題になっている。地方だけでなく、都心部や近郊のニュータウンや団地とったエリアにおいても高齢化による免許返納に伴う日々の生活に必要な移動手段の確保は、タクシードライバーの不足、公共交通機関の廃線が顕著になり、喫緊の課題となっている。

これら移動手段の問題は、高齢者の引きこもりや健康状態の悪化などから、長期治療に伴う医療費の増加にも繋がっている。一方で免許返納をした高齢者の身近な移動手段として普及してきた電動車いすやシニアカーは、運転時の誤操作による事故やヒヤリハットも大きな課題として報告されている。

ZMPは自動運転により利用者の誤操作などの事故を防止するラクロをマンション群エリアの地下駐車場を活用し、地域でラクロをシェアすることで近隣エリアの散歩や地域の病院、スーパーやレストランまで気軽に外出できるような地域社会を提案する。

ラクロは2020年7月より、実用性・安全性を備えた量産タイプの販売を開始。導入を検討する事業者向けに、ラクロの屋外公道での試乗を受け付けている。


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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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