台風などの荒天時における商品の急激な需要変化を予測する「PASCAL」(パスカル) ウェザーニューズが開発

株式会社ウェザーニューズは今夏の台風シーズンに備えて、小売・製造事業者向けに荒天時における商品の急激な需要変化を予測する在庫最適化エンジン「PASCAL」(パスカル)を開発したことを発表した。

「PASCAL」(パスカル)は一般的な商品の需要予測に加えて、台風や大雪などの荒天によって、消費者の需要が突発的に高まるタイミングや商品の売れる量、来客数の増減などを店舗ごとに予測する。ウェザーニューズは今月から「PASCAL」を搭載した商品発注支援サービスの提供を開始。同サービスは台風接近の数日前から売れ筋商品、売れるタイミングや量を予測し、食品の廃棄ロスや発注のチャンスロスを軽減することを目指す。8月21日よりスーパーマーケットの株式会社いなげやで商品発注支援サービスの試験導入が開始される。


台風接近や大雪による買いだめ行動を予測する「PASCAL」

 
2019年は台風が立て続けに日本へ接近・上陸し、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは食料品や防災関連商品の需要の高まりによって、前日に各地で欠品が相次いだ。事前の買いだめや当日の買い控えなどの特異な状況における消費者行動は、一般的な商品需要予測サービスや店舗の経験則では予想が難しいと言われている。

そこで、ウェザーニューズは台風・大雪など荒天時の消費者行動を予測する在庫最適化エンジン「PASCAL」を独自開発。「PASCAL」は小売・製造事業者が保有する販売数や購買客数のデータと自社の日々の気象や体感、荒天時のデータを基に構築され、荒天時の来客数や商品需要をカテゴリ・品目ごとに予測することができる。日々の気温・体感の変化に伴う商品需要も予測するため、平常時から利用できる。


「PASCAL」によるソリューション提供のイメージ

今後は、「PASCAL」を基にプロモーション支援、荒天時の計画配送や計画生産判断の支援など様々なサービスを展開するほか、流通・小売業で既に導入されている自動発注システムとの連携も計画している。


「PASCAL」を搭載した商品発注支援サービスを提供開始

以前から主に直営型の小売事業者では、特売品や気象の影響で特需が見込まれる商品については、店舗からの発注だけで対応するのではなく、本部があらかじめメーカーと調整し、店舗に送り込むことで消費者の需要に応える“送り込み発注”が行われてきた。しかし、従来の方法で荒天時の消費者行動を捉えることは難しく、廃棄ロスや機会ロスの増加などの課題がある。

そこで、ウェザーニューズは8月より流通・小売事業者向けに新たに開発した在庫最適化エンジン「PASCAL」を搭載した商品発注支援サービスの提供を開始。同サービスは荒天時の消費者行動を加味した7日先までの商品需要と来客数を「特需」「増加」「並」「減少」「特減」の5段階で判定。これにより、事前の備えによる食料品や防災品の「特需」や、台風接近時の来客数の「特減」を事前に把握することが可能になる。


「PASCAL」を搭載した商品発注支援サービス画面イメージ



台風本格シーズン前に、スーパーマーケットいなげやで試験導入開始

ウェザーニューズは8月21日より、いなげやに商品発注支援サービスの提供を開始する。いなげやでは台風や大雪などの気象ニュースをもとに商品を送り込む場合、実際の影響が異なる場合があることや、影響を受ける店舗を把握できるタイミングが直前になり、メーカーとの調整が間に合わないことが課題となっていた。

商品発注支援サービスを試験的に導入し、まずは実験店舗にて荒天時の来店客数や商品需要予測を活用し、店舗への最適な送り込みや廃棄ロス・チャンスロスの軽減を目指す。


商品発注支援サービス活用イメージ

昨今は気候変動の影響で気象災害が激甚化し、環境の変化への適応が求められている。ウェザーニューズは「PASCAL」を用いて顧客課題に応じたサービスを創出し、サプライチェーンにおける収益の最大化、廃棄ロスの最小化、気候変動リスクへの適応を目指していく。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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