「東京ポートシティ竹芝」スマートシティ内覧会で最新技術を体験してきた ロボット/IoT/5G/AR/VR/顔認識/スマートシティ基盤

「東京ポートシティ竹芝」にある先進技術を詰め込んだ「オフィスタワー」のメディア向け内覧会に参加した。展示会場のように順路が設定され、顔認証、AR、ロボット、ビッグデータ解析などが体感できる内容だった。この記事ではその先進技術の一端を紹介しよう。

「東京ポートシティ竹芝」オフィスタワーは最先端のスマート・ビルディング。ICT技術が多数導入されている

なお、「東京ポートシティ竹芝」とオフィスタワー自体の詳細は関連記事「東京ポートシティ竹芝 9/14開業 「都市OS」構想とは? 先進のスマートビルに5G、顔認証、スマートシティ基盤、センサー、ロボット導入」を参照してください。


ローソンの遠隔操作ロボット「Model-T」はお休みorz

内覧会のツアーは1階から始まる。一階にあるのはコンビニのローソン。ここではTelexistence株式会社(テレイグジスタンス)の遠隔操作ロボット「Model-T」が商品棚の補充作業ま実証実験を行っている。・・はずだった。しかし、なんと実験は正式オープンから、ということでこの日はお休み。実機すら見られなかった。いきなりガッカリ。

ローソン店舗には「Model-T」登場のディスプレイが・・

本来ならこの遠隔操作ロボット「Model-T」がお仕事中のはずだった。ロボット自体はファミマで実証実験が行われているものと同様とのこと

ローソンの店舗(入口とは逆側)。正式オープン後、「Model-T」がお仕事中は手前のドア(ロゴが見えるドア)が解放され、バックヤードで作業している遠隔ロボットの様子が見られるという。

ローソンの店舗内はちょっと宇宙船の中っぽいデザイン。

レジに大きなタブレットがある。セルフレジを導入し、キャッシュレス決済に対応している

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「Model-T」の詳細


活躍するロボットたち

「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」ではさまざまなロボットが実証実験や実践導入されている。自動運搬、消毒(新型コロナウィルス対策)、警備、掃除などの業務を担う。

■「東京ポートシティ竹芝」で活躍するロボットたち


Cuboidくん

「Cuboidくん」(キューボイド)はソフトバンクが開発している研究開発ペースのロボットキットだ。実証実験では小物や雑貨、ドリンク、書類、文房具、スナック菓子等を自律走行で運搬する機能が知られている。


もちろんルート上に人や障害物を検知すれば自動で回避して走行を続ける。また、エレベータと連動してロボットだけでフロア間を移動する機能もある。自動充電機能があり、バッテリー残量が少なくなると自動で充電ステーションに収まって充電する。内覧会会場ではコーヒーを運搬して巡回し、無料配布していた。


また、「Cuboidくん」の上部に紫外線(UV-C)照射ユニットを搭載したバージョンも発表されている。新型コロナウイルス感染症により、非対面、非接触、遠隔操作等のニーズが高まっていることを受けたもので、紫外線は人にも有害だが、人がいない時間に自動で消毒ルートを照射して移動することができる。また、万が一、人を検知したら照射を停止する機能もある。

会場ではデモとして安全なライトを使用して自動走行による照射が行われていた。

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「Cuboidくん」の詳細


警備ロボット「SQ-2」

ロボスタ読者にはお馴染みのSEQSENSE(シークセンス)社の自律移動型セキュリティロボット「SQ-2」が警備用途で導入されている。遠隔から目的地や巡回ルートを指定するだけで自律移動して警備を行う。今回はエレベータと連動して、フロアを移動しての巡回も可能としている。

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「SQ-2」の詳細



AI清掃ロボット「Whiz」

こちらもロボスタ読者にはお馴染みのソフトバンクロボティクス製のAI清掃ロボット「Whiz」(ウィズ)。もくもくと床清掃で走り回っていた。

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「Whiz」の詳細


サイネージとタッチパネルで館内情報や交通情報がすぐわかる

館内にはいたるところに大型のサイネージやタッチパネルがあり、店舗の混雑情報、テラスの温度や空き状況、周辺の鉄道など交通情報、天気情報などが表示されている。タッチパネル式のものはそれらの情報を来館者が選択することができる。

いろいろな場所にサイネージが設置されている

6階のテラスの情報を表示しているところ。混雑情報は「余裕」(空いている)。湿度59.2%だが、気温は31.1度。少し暑いかもしれない

大型のサイネージに表示された店舗とトイレの空き情報

店舗の混雑度は5段階で表示

タッチパネル式のサイネージでは、見たい情報を選択して確認できる

■動画

店舗の混雑情報は入店と退店の人数を自動的にカウントし、座席数を分母に算出している。来館者には混雑度は5段階で表示されるが、店舗やビル管理のスタッフには下記のように、詳しい情報が表示される。また、属性の解析や来場者推移グラフ等、テナントにはマーケティング情報として活用できるデータが提供されるしくみになっている。

詳しい情報をテナントやBM(ビルメンテナンス)会社は見ることができる

■動画

人数のカウントや分布の解析はいくつかの手法が導入されている。例えば、AIカメラでカウントしたり、ロビーなどでは天井に設置したレーザーセンサーでカウントと人流・分布データを計測している。また、Wi-Fiを使ってスマートフォンのMacアドレスを読んだり、ソフトバンクユーザーの人流ょ解析する技術などが導入されている。

天井に設置されたレーザーセンサー

人流以外に、カメラは問題のある人物を判別する役割としても活用される。ブラックリストの人物を検知したら、近くにいる警備員に自動的に通知する。警備員は各自、立哨や巡回している場所を常時把握できるシステムも導入されている。

ブラックリストに登録された人物をカメラが検知したところ。近くにいる警備員の「中島さん」に自動的に通知される




8階では5G体験「スマホによるフロア案内AR」

1階を後にして8階に上がると、そこは5G通信が体験できるフロア。「スマホによるフロア案内AR」のデモが行われていた。スマホをかざすと、景色にオーバーレイで様々な情報が表示されるしくみだ。例えば、8階には小ホール(ポートスタジオ)があるが、そこに向かう方向が画面内に矢印で表示されたり、イベント開始までの残り時間が表示されたりするデモを見ることができた。

5G体験「スマホによるフロア案内AR」デモ

また、5Gの高速通信を活かした、ARで高解像度の映像をオーバーレイで表示するデモも行われた。

ポートスタジオに向かう廊下はプロジェクションマッピングによって、デザインが変わる趣向が取り入れられている。

■動画

ポートスタジオのエントランス

イベントが開催できる

グリーンバックのスタジオにもなる




仮想現実の「どこでもドア」 5Gゲート

5Gの活用事例として展示されていたのが「5Gゲート」。ひと言でいうと、このゲートをくぐった向こうはスキー場が拡がる、という仕掛けです。もちろん仮想空間で、の話。

このゲートをくぐると雪のゲレンデ、スキー場

■動画




会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート」

この階には東急不動産が運営している会員制シェアオフィス「Bussiness-Airport」がある。ここのテーマはテイクオフ。小規模で始めるシェアオフィスの会員たちが東京湾に向かってテイクオフしていくことをイメージして、床面には「滑走路灯」を模したライトが埋め込まれている。

受付には検温とマスクの装着をチェックするJCV製のデバイスが設置されている

フリーのオープンスペースと、月極等のレンタル個室が用意されている

数人向けの個室スペース

ひとり用の個室スペース




オフィス階のエントランスでは顔認証、エレベータも効率的に

オフィス階のエントランスでは顔認証システムが導入され、検温、マスク装着の有無、更には社員として登録されている顔画像と一致すればゲートが開くしくみが導入されている(ゲストはQRコードで入館する)。

ビジネス階へのエントランスには顔認証システムが導入されている。「F」という表示が見えるが、エレベータ「F」に乗ると効率的に目的のフロアに上がることができる

■動画

なお、マスクをしたままでも高い精度で個人を識別することができるという。面白いのが、個人認証した後、目的階に応じて乗るべきエレベータのカゴ(箱)の指示が出ること(画像の「F」)。これは同じ階に行く人をなるべく同じエレベータに乗せることで停止回数を減らして、目的のフロアに効率よく導くことができるようになっている。

■プロモーション動画

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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