アリババクラウドが自律型配送ロボット「小蛮驢」(シャオマンリュ)や手のひらサイズの無影クラウドコンピュータ等を発表

アリババグループのデータインテリジェンスの中枢であるアリババクラウドは9月17日、アリババクラウドの年次イベントである「Apsara Conference 2020」にてクラウドネイティブな最新技術や製品を発表した。

今年で12回目を迎える同カンファレンスでは、よりデジタル化された社会で暮らす人々と、ウィズコロナ下の世界でデジタルトランスフォーメーションのさらなる推進を目指すユーザーへの支援に焦点を当てて、テクノロジー分野におけるアリババクラウドの取り組みが紹介された。


一度に50個の荷物を運ぶことができる自律型配送ロボット

「Apsara Conference 2020」では、ラストマイル配送用の自律型配送ロボット「小蛮驢」(シャオマンリュ)を発表。アリババグループのグローバル研究機関であるアリババDAMOアカデミー(中国語:達摩院)が開発したこの配送ロボットは、一度に50個の荷物を運ぶことができ、1回の充電で最大おおよそ100キロ走行することができるという。

ラストマイル配送用の自律型配送ロボット「小蛮驢」(シャオマンリュ)

この配送ロボットは指定されたコミュニティやキャンパスに1日に500個もの荷物を届けることができると見込まれており、中国における迅速なラストワンマイル配送への需要の高まりを満たすことができると期待されている。オンラインショッピングが急速に発展している中国では、現在1日に約2億個の荷物が配送されており、今後数年で1日あたり10億個に増加すると予想されている。


GPSの電波が弱い場所や電波が届かない場所でも走行可能

強化学習技術(Reinforcement Learning)に支えられた自律型配送ロボット「小蛮驢」は混雑した環境下でも自らルートを決めて走行することができる。また、アリババクラウド独自の高精度測位技術により、GPSの電波が弱い場所や電波が届かない場所でも走行することが可能。さらに、自社開発のヘテロジニアス・コンピューティング・プラットフォーム「3D Point Cloud Semantic Segmentation」(PCSS)技術、ディープラーニングを活用することで、障害物を識別し、人や自動車の動きを数秒前に予測して、安全性を高めることができる。

ユーザーはCainiaoまたはタオバオ(中国語:淘宝網)のモバイルアプリを使用し、配送日時を指定することができる。ロボットによって荷物が指定の目的地まで配送された後、ユーザーは同アプリ内で受け取り用のパスコードを入力するだけで荷物を受け取ることが可能。

ジェフ・チャン(Jeff Zhang)氏は、次のように述べている。
「アリババクラウドは、デジタル化が進む世界で発展するニューリテール事業や地域のサービス事業により、配送需要が急速に増加するものと予想しています。事業の成長に加えて、社会で拡大する配送需要に応えるために、アリババクラウドでは長年にわたって物流ロボット開発を含む、スマート物流の分野に投資してきました。今回、アリババの物流プラットフォームであるCainiao(ツァイニャオ、中国語:菜鳥網絡)をサポートし、中国のコミュニティやキャンパスにサービスを提供できる最新の配送ロボットを展開できることを大変嬉しく思います。今後は、地域のサービス事業のニーズに対応し、空港に向けたサービスロボットや観光案内ロボットなど、様々なサービスロボットへの技術展開を目指していきます。」


手のひらサイズのクラウド連携コンピュータ

今回のApsara Conference 2020ではアリババクラウド初となる軽量型パソコン「無影クラウド・コンピュータ」(Wuying Cloud Computer、以下「クラウド・コンピュータ」)も発表されている。約60グラムの重さで手のひらに収まるサイズのコンピュータで、安定したバックエンド・クラウドリソースを活用することで高いコンピューティング性能を発揮する。通常のパソコン画面を接続するだけで、ユーザーはいつでもどこでも、ほぼ無制限のコンピューティングリソースにアクセスすることが可能としている。料金プランは、サブスクリプションまたは従量課金のいずれかを選択できる。


従来のパソコンでは高解像度アニメーションの1フレームをレンダリングする際に90分かかっていたが、堅固なコンピューティング能力を持つこのコンピュータは、レンダリングをわずか10分に短縮することができる。さらに、システムアップグレードをオンラインで実施するため、従来のオフィス環境におけるパソコンのアップグレードやメンテナンスにかかる多額の費用を大幅に節約できる。

また、アリババクラウドがクラウドとデバイスの相乗効果を狙って独自に開発したアプリ・ストリーミング・プロトコルを通じて、ユーザーはLinuxやWindowsなどのライセンスアプリやプログラム、ならびに各種オフィス・アプリケーションを購入し、使用することができる。すべてのユーザー・データはクラウド上に保存され、データセンターレベルでセキュリティと保護対策が施される。法人向けに提供を開始し、将来的には個人に向けて提供される予定。


アリババクラウド・インテリジェンスのプレジデント 兼 アリババDAMOアカデミー責任者 であるジェフ・チャン(Jeff Zhang)氏は、次のように述べている。
「アリババクラウドのクラウド・コンピュータを通じて、お客様は必要なときにいつでも、高い処理能力を持つコンピューティング技術を利用できます。動画編集やアニメーションのレンダリング、ソフトウェア開発、オンラインカスタマーサービスなど、通常は高度で強力なパソコンを必要とする複雑な作業を、この小型のパソコンで行えるようになります。当社のイノベーションにより、在宅勤務が普及する中でも、お客様はいつでもどこでも、費用対効果が高く、安定した方法でクラウド・コンピューティング技術にアクセスすることができます。」



その他発表されたクラウドネイティブな製品

Apsara Conference 2020 では、以下のクラウドネイティブな製品が発表された。

Cloud Lakehouse(クラウド・レイクハウス)
クロスプラットフォームのコンピューティング、インテリジェント・キャッシュ、ホットデータとコールドデータの分離、ストレージの改善、パフォーマンスの高速化により、データベースの価値を高め、インテリジェンスを提供する、次世代のビッグデータ・アーキテクチャ。

サンドボックス化されたコンテナ2.0
サンドボックス化されたコンテナ・ランタイムを提供するクラスタの支援を可能にする、アリババのクラウド・ネイティブなKubernetes向けコンテナ・サービス。新しい「サンドボックス化されたコンテナ2.0」により、軽量なサンドボックス環境でアプリケーションを高速化し、ランタイム・リソースのコストを削減することができる。

PAI-DSW 2.0
アリババが提供する最新のクラウドネイティブな対話型機械学習開発プラットフォーム。操作性に優れ、コミュニティ・プラグインとの互換性があり、JupyterLab、WebIDE、Terminalなどのマルチ開発環境をサポートするなど、開発者にとって最適な環境を提供する。

Lindorm
アリババグループのエコシステムをサポートするクラウドネイティブのマルチモデル・データベース。アリババクラウド・エコシステム全体が恩恵を受けるよう導入されたLindormは、手頃なストレージと柔軟な処理性能を有し、非構造化データ、半構造化データ、構造化データが混在する大規模な処理を必要とするアプリケーション向けに設計されている。

関連サイト
Apsara Conference 2020

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山田 航也
山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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