Amazonのクラウドサービス「AWS」が大阪リージョン開設【発表会レポート】2021年のAWSの注力分野は? 導入企業を多数紹介

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社「AWS」は国内で2拠点めとなる大阪リージョンを開設した。AWSの初拠点である東京リージョンの開設が2011年3月2日。以来、10年目の節目にAWSアジアパシフィック(大阪)リージョンがフルリージョンとしてスタートしたことになる。西日本を中心に安定した低遅延のクラウドサービス提供をめざす。


三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソニー銀行、KDDI、Sansan、NEC、近畿大学、大阪ガスグループのオージス総研など、日本全国のクライアントが歓迎の意向を示し、デジタル改革担当大臣の平井卓也氏がビデオメッセージで祝辞を述べた(この記事の末尾に掲載)。


AWS アジアパシフィック(大阪)、フルリージョンとしてスタート

オンライン発表会では長崎社長がAWSの10年間の歩みを振り返るとともに、2021年の注力分野、これから数年間のクラウド技術者の動向予測等について語った。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長 長崎忠雄氏

AWS アジアパシフィック(大阪)リージョンは、2018年2月に一部のクライアントに限定してオープン、それを拡張し、今回フルリージョンとなった。基本的には東京リージョンと同様のサービスを提供する予定だが、現時点では東京で利用できるサービスと一部異なる(少ない)とのこと。


本日より活用可能となる開発者と企業向けサービスの全リストは、以下のURLで開示されている。
https://aws.amazon.com/about-aws/global-infrastructure/regional-product-services/

AWSはアベイラビリティゾーン(AZ)とは

AWSはアベイラビリティゾーン(AZ)構成というしくみがとられていて、データストレージやサーバがラックで積まれているデータセンターを集積したものが「AZ」というイメージ。


今回の大阪リージョンは、3つのアベイラビリティゾーン(AZ)で構成されていて、北京、香港、ムンバイ、寧夏、ソウル、シンガポール、シドニー、東京と、アジア太平洋地域で8ヵ所ある既存のAWSリージョンに展開している25ヵ所のAZに加わることになる。

なお、AWSは世界25の地域に80のAZを展開しており、今後オーストラリア、インド、インドネシア、スペイン、スイスで、さらに15のAZと5つのAWSリージョンの開設を計画しているという。ユーザーは複数の「AZ」に展開するクラウド設計を行っておくことで、万が一、ひとつのAZで障がいが発生してもシステム全体のダウンを防ぐことができる。



2021年の注力分野

長崎社長は2021年の注力分野として、3つのポイントを掲げた。日本国内のインフラストラクチャの拡充、クラウド移行を加速させる顧客支援体制の強化、次の10年を見据えたクラウド人材育成だ。



インフラストラクチャの拡充

AWSは「AWSのリージョンは、1つの事象がお客様の事業継続に与えるリスクを大幅に軽減しつつ、高可用性アプリケーションでの低遅延の実現に向けて、十分な距離のある物理的に異なる地域に設置された技術インフラの AZ で構成されています。各 AZ には個別の電力源、冷却システム、物理的セキュリティが備わっており、冗長性のある超低遅延のネットワーク経由で接続されています。高可用性を重視する AWS のお客様は、アプリケーションを複数のAZ やリージョンで動作するよう設計することで、より高い耐障害性を実現できます。また、日本のお客様は、スタートアップから大手企業、公共機関まで、コンピューティング、ストレージ、データベース、機械学習および人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などの先進技術を活用したイノベーション推進のためのインフラを追加で利用できます。
国内2拠点目となる AWS リージョンの開設により、災害時においても事業継続に重要な災害復旧アプリケーションをサポートします」とコメントしている。


導入事例を多数紹介

「クラウド移行を加速させる顧客支援体制の強化」では、IDCが調査した結果「2年後の国内企業のIT予算に占めるクラウドの比率は79.3%に拡大する」ことを紹介し、今後クラウドの重要性はますます高まることを強調した。

オンプレミスからフルクラウドへの移行、過程となるハイブリッドを含めて、クライアントが抱えるクラウド化への課題をAWSはこう捉え、支援していく考えを示した。

既に日本では毎月数十万人のアクティブなクライアントがAWSのサービスを利用していて、発表会やリリースでもベルシステム 24、ジブラルタ生命保険、KDDI、近畿大学、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ナブテスコ、NTT 東日本、オージス総研、ソニー銀行、プルデンシャル生命保険、三井住友信託銀行、東京海上日動火災などがAWSを利用していることを紹介した。


また、業種ごとに最適化されたワークロードに対応するソリューションも用意していて、例えば「自動車」業界ではトヨタ自動車やソニーの「VISION-S」で、AWSが利用していることにも触れた。今後も業界ごとに特化した最適なソリューションを提供していく考えを示した。



次の10年を見据えたクラウド人材育成

先日、AWSが発表した「クラウドアーキテクチャの設計スキルを必要とする労働者数の増加率は2020年~2025年には年間で+40%の需要が見込まれる」ことに改めて触れ、Amazon は2025年までに世界中で2900万人の人々に無償でクラウドコンピューティングスキルのトレーニングを実施することを紹介し、クラウド技術者の育成に力をいれることを発表した。(関連記事「AWS調査レポート「最も需要の高いスキルは?」日本では2025年までに追加で2,950万人のデジタルワーカーが必要」)


5月11日~5月12日に「AWS SUMMIT ONLINE」を開催する。



自由民主党所属衆議院議員 デジタル改革担当大臣 平井卓也氏のコメント

平井卓也氏

この度は、AWS大阪リージョンのオープン、おめでとうございます。日本政府は『クラウド・バイ・デフォルト原則』を掲げ、クラウドサービスの利用を第一候補とした基本方針を策定し、AWS の活用も開始しています。2021 年 9 月の発足を予定しているデジタル庁では、国にとっても地方にとってもデジタル化を進める上で必要となる標準化や相互連携を促進するため、クラウド上でどのようにシステムを動かしていくべきなのかを考えるのが大きな使命だと思っています。AWS を含めた様々な企業と協力して、日本のデジタル化の推進に全力を挙げてまいります

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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