最大50台のヒューマノイドロボット同時稼働センター構築へ INSOL-HIGH

ヒューマノイドロボット専用の総合支援プラットフォーム「REAaL」を開発・運営するINSOL-HIGH株式会社は、日本初となる製造・物流業界の大手企業との業界横断コンソーシアム「ヒューマノイドロボット・フィジカルデータ生成センター」構築プロジェクトを正式に始動したことを発表した。

 

2026年春に大規模トレーニング環境を構築

本プロジェクトでは、ヒューマノイドロボット専用フィジカルデータ生成センターを2026年春頃に構築し、最大50台のヒューマノイドロボットが同時稼働する大規模なトレーニング環境を実現する。

既に製造・物流関連の大手企業各社との協業体制を構築済みであり、このうち株式会社山善が社名を公表している。現在、目標10社体制の実現に向けて複数の企業との契約交渉を並行して進めており、新規参画企業も積極的に募集中だ。

 

グローバル競争激化の中で直面する課題

現在、世界各国でヒューマノイドロボットの実用化競争が激化している。米国では自動車工場でのヒューマノイドロボット導入により4倍の高速化・7倍の成功率向上が実証され、中国・アメリカでは国家主導による大規模投資が相次いでおり、中国では2014年第1四半期以降のヒューマノイドロボット関連企業の資金調達が米国を上回る規模で進んでいる※。
※出典:野村総合研究所「中国における人型ロボット産業の現状と将来展望」(2025年7月)

 

深刻化する日本の労働力不足

一方、日本では生産年齢人口が2020年の約7,500万人から2060年には約5,000万人へと約30%減少※する見通しで、特に製造・物流分野での労働力不足が深刻化している。
この構造的課題に対し、ヒューマノイドロボットの社会実装による「人の働き方の再定義」が急務となっているのだ。
※出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(2023年4月)

 

革新的アプローチによる実用化推進

同社は創業以来、従来の個別ロボット導入とは一線を画した「データ主導型のヒューマノイド社会実装」を推進してきた。中核となるプラットフォーム「REAaL」は、ヒューマノイドロボットのタスク設計・学習・実装までを一気通貫で支援し、複数企業での協業による継続的な性能向上を実現する。

ヒューマノイドロボットを実用化するためには、実際の作業現場を模した環境で継続的にトレーニングを行い、大量の学習データ(フィジカルデータ)を収集して作業に習熟させることが不可欠である。

 

業界横断コンソーシアムの特徴

同社が主催する日本初の大手企業との業界横断コンソーシアム型の「ヒューマノイドロボット・フィジカルデータ生成センター」では、製造や物流等の現場を想定してヒューマノイドロボットをトレーニングし、生成されるフィジカルデータを蓄積・活用して、実用化を推進する。

 

 

段階的なトレーニング内容の展開

トレーニング内容は3段階で展開される予定だ。

1stステップ
基礎動作の標準化として、ピッキング、搬送、組立など産業で汎用的な動作の習得と業界共通の基礎技術の確立を行う。

2ndステップ
産業特化型の応用として、製造業・物流業それぞれに特化した専門動作の習得と各業界のニーズに対応した実用的なスキル開発を実施する。

3rdステップ
個社カスタマイズとして、各社の業務フローに最適化されたオーダーメイド対応と現場での継続的な性能向上を図る。

 

参画企業との協業体制

製造・物流関連大手各社との協業体制を構築済みである。さらに現在10社以上と参画に向けて交渉中だ。

株式会社山善は、ものづくり商社としての自動化ノウハウと販売ネットワークを提供する。その他大手企業複数社は、各業界での専門知識と実証フィールドを提供している。INSOL-HIGHは、プラットフォーム技術とプロジェクト総合運営を担当する。

目標10社体制の実現に向け、現在も新規参画企業を積極的に募集中である。製造業、物流業、ロボティクス関連企業との協議を加速し、日本の産業界におけるヒューマノイドロボット実用化の基盤構築を目指すとしている。

 

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杉田 大樹