遠隔対話ロボットが来店客の購買を促進できるか、デイリーカナートイズミヤで実証実験 「ムーンショット型研究開発制度」

株式会社サイバーエージェントの研究開発組織「AI Lab」および大阪大学大学院基礎工学研究科の先端知能システム共同研究講座は、ムーンショット研究開発事業の一環である「遠隔対話ロボットで働く」をテーマにした実証プロジェクトの第2弾として、スーパーマーケットにて遠隔対話ロボットによる販売促進の実現可能性を検証する実証実験を行うことを発表した。


ムーンショット型研究開発制度とは

ムーンショット型研究開発制度は超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進する制度。実証プロジェクトでは「ロボット接客を受けるユーザー」「操作オペレーター」「実証フィールド」それぞれの立場の課題解決・価値創造を目指して検証を行い、現時点での最新技術ではムーンショットが掲げる「目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」において、どこまで実現可能性があるのか、また、実現が難しかったものはどこに課題があるのか模索していく。

ムーンショットの目標
1.2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

2.2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

3.2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現

4.2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

5.2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

6.2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

7.2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現


サイバーエージェント×大阪大学の取り組み

コロナ禍においてオンライン接客などの非接触型接客の浸透が進み、ロボットを活用した遠隔接客の有用性が注目される中、内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発制度」のテーマの1つとして”アバター共生社会の実現”が掲げられている。

「AI Lab」と大阪大学大学院基礎工学研究科の共同研究講座は、石黒浩教授がプロジェクトマネージャーとして推進している「ムーンショット研究開発事業」の一環として、現時点での最新技術によるアバターロボット接客の実現可能性と課題の模索を目的に、2021年2月15日より「遠隔対話ロボットで働く」をテーマとした実社会における4つのフィールドで実証プロジェクトを進めている。


4つのフィールドにて実証プロジェクトを実施する。第一弾は「保育園」。第二弾は「遠隔対話ロボット×スーパーマーケット」。

第1弾では保育園をフィールドとして遠隔対話ロボットによる保育サポートの実現可能性を検証する実証実験を実施。第2弾では三井不動産株式会社と連携し、同社が運営する大型複合施設「EXPOCITY」内にあるスーパーマーケット「イズミヤ」において、遠隔対話ロボットによる販売促進の実現可能性を検証する。


第2弾は「遠隔対話ロボット×スーパーマーケット」

現在、利用客の多いスーパーマーケット等の小売店舗では、新型コロナウィルスの感染リスク防止を目的に接客や販売促進の手段が制限されている。遠隔対話ロボットによる接客は、このような状況下において活用が期待されるが、販売員の「案内や誘導」などの接客支援は可能な一方、操作者のテクニックが必要な「購買の促進」は難易度が高いという課題があった。このような背景から、今回の実証実験では遠隔対話ロボットが来店客の購買を促進できるかの実現可能性を検証する。



【調査内容】
1.遠隔からロボットを通して「モノを売る」仕事をどれだけ遂行できるか

2.遠隔操作時に、「ロボットを演じた接客」と「人が操作していることを明かした接客」をした場合に顧客満足度・販売促進に影響が出るのか

3.販売ノウハウを実装したシステムが、状況に応じて接客効果の高い発話内容を動的に提示することで、訓練を受けてない操作者でも商品販売を促進することができるのか


調査結果は4月以降に発表

「AI Lab」と大阪大学大学院基礎工学研究科は今後も、共同研究講座における実証を通して得た結果をもとにロボットによる遠隔対話の研究を進め、社会における実用化に向けた研究開発に取り組んでいく。なお、調査結果については、4月以降に発表される予定。同プロジェクトにおいて蓄積した知見を広く共有することで、実社会におけるロボット活用の可能性を広げるとともに、速やかな社会実装の実現に貢献していく。


ユーザー・オペレーター・フィールドの満足度向上を目指す

実験概要

内容 遠隔対話ロボットによる、小売店舗での販売促進業務の実証実験
場所 デイリーカナートイズミヤ ららぽーとEXPOCITY店
〒565-0826 大阪府吹田市千里万博公園2-1 ららぽーとEXPOCITY1階
日時 2021年3月8日(月) – 2021年3月14日(日)
主催 株式会社サイバーエージェント、国立大学法人 大阪大学大学院基礎工学研究科
協力 デイリーカナートイズミヤ
ホームページ https://www.izumiya.co.jp/shop/018/

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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