調理中のスープやタレの状態をリアルタイムで可視化 IoTセンサーデバイスをTechMagicが開発 いつもの味をどの店舗でも安定提供

テクノロジーによる持続可能な食インフラの創造に取り組むTechMagic株式会社は、調理中のスープやタレなどの温度、味(塩分濃度、BRIX濃度)、量などをリアルタイムで可視化・監視を可能にするIoTセンサーデバイスを開発したことを発表した。現在、原理検証(PoC)が完了し、店舗での実証実験を予定する。


グラフや数値として記録し、外食チェーン本部が確認できる

牛丼店のタレやラーメン店のスープなど、外食店舗の厨房では液体を寸胴鍋で常時加熱しながら調理する工程が数多くある。これらの品質を一定に保つためには温度や品質に関連する項目を逐次記録する必要があり、調理スタッフの負担となっているのに加え、外食チェーン店では各店舗の味の統一化が難しいことが課題となっている。

同デバイスは寸胴鍋の中にセンサプローブを沈めておくだけで、調理中のスープやタレの状態をリアルタイムで監視しグラフや数値として記録することができる。外食チェーン本部ではクラウドサーバを通して得た各店舗からのデータを元に、味の一元管理をすることが可能。

プロトタイプ外観(スープジャーと内部のセンサプローブ、IoTデバイス)

センサーデバイスのコンセプト図

同デバイスを導入することで、外食チェーン店の課題であった店舗による味のバラつきを解消することが可能になることに加え、2021年6月から完全義務化されるHACCP(食品衛生管理)に向けた温度管理にも対応が可能となる。これにより、店舗スタッフの生産性向上に繋がると共に、コロナ禍においては食品と人との接触機会の低減を実現し、飲食店の感染症対策に貢献する。

同デバイスは現在、原理検証が完了し、プロトタイプによる店舗での実証実験を計画する。また、製品化に向けたパートナー企業を広く募集している。顧客ニーズに応じた機能追加などのカスタマイズを柔軟に行いながら、外食産業の持続可能性に貢献していくとしている。


センサーデバイスの特徴

1.8つの項目を監視
1台で寸胴の内側、外側の環境を計測することが可能。



2.可視化した情報を一元管理
測定された情報は最小1分間隔でクラウドに自動保存される。また、クラウド上のデータは所有者であれば、どこからでもリアルタイムでグラフを閲覧することができる。

ブラウザ上からのスープ状態の確認画面

3.アラート機能
特定の計測要素の値が指定範囲から出た際は、異常な値が出たことを通知する。本部もしくは店舗にてリアルタイムに把握可能なため、すぐに対策を講じることができる。


厨房内の作業を自動化することで持続可能性を高める

外食産業の最大のコスト要因は原材料費と人件費であり、この2つのコストで全体の約70%を占めている。新型コロナウイルス以前は慢性的な人手不足の状況があり、飲食店の持続可能性を考える上で労働力の確保は大きな課題と言われてきた。また、新型コロナウイルス以降には、飲食の場で人との接触機会をなるべく低減したいという新たな要求も生まれてきている。


TechMagicは調理を始めとする店舗内、厨房内の作業を自動化することで、中長期的な人手不足課題の解決と、コロナ禍での人との接触機会の低減ニーズに応えることで、外食産業の持続可能性を高めることに貢献していくとしている。


TechMagic株式会社について

TechMagicは前Google日本法人名誉会長の村上憲郎氏をアドバイザーに、「テクノロジーによる持続可能な食インフラを創る」ことをミッションとして、2018年2月に設立。食を取り巻く多くの企業が直面する人手不足を解消し、生産性の高い社会を実現するために、ハードウェアとソフトウェア両方の技術を高度に融合した各種プロダクトの企画、設計、製造、販売、保守を行っている。

関連サイト
TechMagic株式会社

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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