NHK放送技術研究所は最新の研究成果を視聴者に広く紹介することを目的に、「技研公開」を1947年の初回以来、毎年、開所記念日である6月1日の前後に世田谷区砧で実施している。今年の「技研公開2021」は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、新しい試みとして6月1日〜6月30日の期間オンラインで開催している。今回の記事では「技研公開2021」に紹介されている「テレビ視聴ロボット」について紹介する。
テレビ番組の映像や音声から会話内容を抽出
家族や友人と一緒にテレビを視聴する時、番組の内容や人からの話題をきっかけに会話を弾ませたり、感情を共有したりしてテレビ視聴を楽しむことがある。テレビ視聴ロボットはそのような複数人でテレビ視聴をする時の楽しさやうれしさを与えるロボット。
研究ではテレビ視聴ロボットという自律的にテレビを視聴するロボットの開発を進めている。また、そのロボットを使ったテレビ視聴実験を行い人の行動を観察することで、テレビ視聴時にロボットが存在することによる効果検証と、テレビ視聴ロボットの課題の抽出を行っている。
テレビ視聴ロボットの動作は「つぶやき」と「対話」。テレビ番組の映像や音声からキーワードをリアルタイムに抽出し、番組に関連した「独り言(つぶやき)」、「対話」を行う。
テレビの方向を向きながら、感情を含んだ言葉を発話する動作
・対話
人の方向を向いて視聴中のテレビ番組に関する質問を人に投げかけ、それをきっかけに人と対話する動作
テレビ視聴ロボットを使用した実証実験
リビングを模擬した実験室でロボットと一緒にテレビを視聴する実験を2020年に実施。実験には家族や友人の2人組で、16グループ(計32人)に参加。実験後のアンケート調査結果から、ロボットのつぶやきや話しかけが周囲の人々に楽しさや会話のきっかけを与える効果があることや、ロボットの発話内容と話しかけるタイミングが重要であることなどが分かった。
【実験後のアンケート調査】
ロボットとテレビ視聴をして思ったところ(n=32人)
ロボットの「つぶやき」の感想(n=32人)
ロボットの「対話」の感想(n=32人)
以下の展示ページではテレビ視聴ロボットとデザインについて動画で詳しく紹介している。
技研公開「テレビ視聴ロボット」展示ページ
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。