NVIDIA DRIVE Orinをボルボの車両の中核に据え、安全とパーソナライズ体験をアップデート 「Tech Moment」で次世代テクノロジを公開

Volvo Carsは先週、オンラインイベント「Tech Moment」で、次世代の自動車で電子制御ユニット(ECU)を1つの中央制御アーキテクチャに統合した「車載コンピューター」を作ることを目指しており、このシステムがNVIDIA DRIVE Orin上に構築されることについてNVIDIAのスピーカーと共に話した。

Volvo CarsはNVIDIA DRIVE Orinを車両の中核に据えることにより、ビジョンやセンサーの処理のために十分な計算能力を維持しながら、OTAアップデートを通じて時間の経過とともにさらに安全でパーソナライズされた体験を作り続けていくことを目指す。


NVIDIA DRIVE Orin上で構築

自律走行、電気自動車、およびコネクテッドカーの未来に到達するための道のりとして、「ソフトウェアデファインドの中央制御コンピューター」という1つの重要なイノベーションを通過する必要がある。

Volvo Carsの「Tech Moment」イベントで、NVIDIAのオートモーティブ部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるアリ カニ(Ali Kani)氏が、Volvo Carsの幹部とともに、これらのソフトウェアデファインドな車両を動かす中央制御コンピューターアーキテクチャの概要を説明した。

NVIDIA DRIVE Orin上に構築されたこのアーキテクチャは、Volvo Carsが次世代車両に使用しているもの。ソフトウェアデファインドアーキテクチャを採用した自動車は工場出荷時がその車両の最高の状態ではなく、OTAによるアップデートで絶えず改善し続けることになる。この柔軟性により、自動車メーカーは顧客ごとにカスタマイズされた車両や体験を開発することも可能になる。

カニ氏は次のように述べている。

「Volvo Carsは、全モデルの自動車に高性能コンピューターを搭載するというビジョンを早期から持っているパートナーの1社です。彼らは、買ったその日から車はさらに改善されていくと信じています。ソフトウェアデファインドアーキテクチャにより、車の寿命が尽きるまで、新しいサービスやアプリケーションを提供し続けることができるからです。」


ECUを中央制御アーキテクチャに統合した「車載コンピューター」

Volvo Carsはこのソフトウェアデファインドのビジョンを支えるために、車両のコンピューターアーキテクチャを一から作り直している。今日の車道を走っている自動車は、車両全体に配置された何十個もの電子制御ユニット(以下、ECU)によって稼働している。各ECUはパワーウィンドウやインフォテインメントシステムなどの特定の機能を制御する。このような構造を作るには長い開発サイクルが必要で、新しいテクノロジが登場した時のアップデート作業も非常に複雑になる。

Volvo Carsは次世代の自動車でこれらのECUを1つの中央制御アーキテクチャに統合した「車載コンピューター」を作ることを目指している。このシステムはNVIDIA DRIVE Orin上に構築される。

Volvo Carsの次世代コアコンピューティングシステムを担う「NVIDIA DRIVE Orin」(NVIDIA DRIVE Orinは業界で最も先進的で機能的に安全かつセキュアなソフトウェアデファインドの自律走行車用コンピューティングプラットフォーム。)

2022年に発表予定のモデルに実装されるコアコンピューティングシステムは、3つのメインコンピューターで構成され、これらはビジョン処理と人工知能、汎用コンピューティング、およびインフォテインメントの処理において相互にサポートする。

Volvo Carsの社長兼最高経営責任者(CEO)であるホーカン サムエルソン(Håkan Samuelsson)氏は、次のように述べている。

「優れたコンピュータービジョンシステムを実現するには、優れたコンピューティング能力が必要です。中央制御コンピューティングを使えば、私たちが差別化のために重視している車内でのエクスペリエンス全体をはるかに柔軟かつ迅速に開発することが可能になります。」


安全性とセキュリティ

Volvo Carsの優れた安全性はすでに知られているが、その伝統は将来のインテリジェント車両にも受け継がれるだろう。

Volvo Carsの車両ソフトウェアおよびエレクトロニクス担当バイス プレジデントであるパトリック ベングトソン(Patrik Bengtsson)氏は、次のように述べている。

「このコアシステムは、安全第一という私たちのポリシーに基づいて開発されており、非常に高いコンピューティング能力を誇ります。私たちはテクノロジ リーダーとのパートナーシップを重視しているため、NVIDIA とコラボレーションすることになりました。」

NVIDIA DRIVEプラットフォームは最高水準の安全性を実現するため、冗長性と多様性を考慮して開発された。NVIDIA DRIVE Orinはこのセーフティアーキテクチャを維持しながら、ソフトウェアデファインド車両で同時に実行される多数のアプリケーションやディープニューラルネットワークを処理するように設計されている。ISO 26262 ASIL-Dのような体系的な安全基準を満たしながら、業界をリードするパフォーマンスを達成している。

Volvo CarsはNVIDIA DRIVE Orin上で次世代のコアコンピューターを構築することにより、今まで以上に安全でパーソナライズされた自動車を実現し、改善とスマート化を日々重ねていくことを目指している。

Volvo Carsの最高技術責任者であるヘンリック グリーン(Henrik Green)氏は、次のように述べている。

「ソフトウェアを自社開発することで、開発スピードを上げ、Volvo 車を今までよりも早く改良することが可能になります。スマートフォンやパソコンと同じように、新しいソフトウェアや機能をOTAアップデートで迅速に提供することで、Volvo 車を長期的にさらに良く、さらに楽しくしていくことができます。」

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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