地震被害を受けた家屋を研修用VR空間に構築 三井住友海上 損害の確認や調査の疑似体験
近年、地震や台風等の自然災害が激甚化・頻発化している。また、首都直下型地震や南海トラフ地震などの地震災害のほか、気候変動の影響による大規模水災害の発生が見込まれるなど、これまでにない数の家屋被害が想定され、損害調査体制のさらなる強化が喫緊の課題となっているが、調査員への教育研修に被害家屋を用いることは困難であることや、従来の実地研修では限られた人数しか参加できないといった課題があった。
こうした中、MS&ADインシュアランス グループの三井住友海上火災保険株式会社は、VR・ARを含むXR市場の創造に取り組む株式会社Synamonが提供するVRビジネス施設「NEUTRANS」を活用し、2021年7月からVR(仮想現実)を活用した家屋の損害調査研修を新たに開始することを、同月14日に発表した。
同VR研修では、地震被害を受けた家屋をバーチャル空間に構築し、損害状態の確認や調査手法を疑似体験することが可能。いつでもどこからでも参加可能な利点を活かし、大規模災害の発生に備えて、調査要員の増強や利用者対応品質の強化に活用していく予定であり、今後は、自治体や団体等を含め、業界内外で広く共同利用することも検討している。
VR研修の概要
研修参加者は職場や自宅でVR端末を着用し、アバターとなってバーチャル空間で研修を受講。バーチャル空間には「屋根や外壁に損傷を受けた家屋」「和室」「洋室」が設置されており、参加者は建物の外観や室内の損傷確認や、カメラやメジャー等を用いた調査を疑似体験することができる。地震で被害を受けた家屋の調査ポイントの他、建築構造等の基礎知識についても一度に学習できるため、リモートでも効率的に実地研修と同等以上の高い学習効果を期待できる。また、全国の社員を対象とした定期的なトレーニングに加え、大規模災害が発生した場合に、時間や場所の制約を受けず開催できるため、災害規模に応じた要員の確保と調査品質の向上が可能となる。
VR研修で期待できる効果
1. | 【座学研修以上の学習効果】 損害のある家屋を間近で見ながらの損害確認や部位の学習、バーチャル空間上でのメジャーによる測量やカメラでの撮影等の操作を通して、従来の座学研修以上の学習効果が期待できる。 |
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2. | 【予習・復習といった反復学習の実現】 突発的に起こる地震災害の損害調査をバーチャル上で実現することで、全国どこからでもいつでも予習・復習が可能になる。 |
3. | 【研修時の移動時間・コストを削減】 研修場所をバーチャル上に設けることで、集合研修のように移動時間がかからず、交通費や宿泊費等も削減できる。 |
研修環境イメージ
・地震保険の損害認定演習
・損傷確認・記録のための写真撮影手法の習得(バーチャル空間内カメラ撮影機能を使用)
・建物構造、部位名称など、建築の基礎知識習得
・屋根損害の態様と、その修復方法の習得 など
今後の展開について
今後は、台風等の風災・水災時の家屋損害調査研修にも活用を検討を予定。また、同社の先行実施を踏まえ、あいおいニッセイ同和損保でも今後導入を検討し、グループ全体でさらなるユーザーの体験価値の向上に努めていくとのことだ。
Synamonおよび「NEUTRANS(ニュートランス)」について
XR技術を使ったサービス開発や研究開発を行うテックカンパニーであるSynamonが開発している、VRイノベーションタワー「NEUTRANS」は、VR技術の活用によってバーチャル空間であらゆるビジネス活動を可能にするビジネス向けVRサービスだ。世界中どこからでも働けるオフィス、リモートでもリアルのような体験を可能にするトレーニングや開発予定の未来都市を見学できるプロモーションなど、バーチャル空間を活用した次世代事業の創出拠点を目指している。
■【動画】”NEUTRANS” PV 2021 [VR Innovation Tower] **Synamon Inc.**
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