【国内初症例】脳神経外科のロボット支援手術を順天堂が実施 ジンマーバイオメット「ROSA One」で頭蓋内深部電極植込術

筋骨格系ヘルスケア企業、米国ジンマーバイオメット社の日本法人、ジンマー・バイオメット合同会社は、2021年10月1日、日本初となる「ROSA One ロボットシステム」による頭蓋内深部電極植込術が行われたことを発表した(同社調べ)。

同システムは、脳神経外科及び脊椎脊髄外科手術を適応として承認されており、独立行政法人医薬品医療機器総合機構によって脳神経外科において手術用ロボット手術ユニットの薬事承認を取得した唯一の医療機器だ。



ROSA One ロボットシステムについて

ROSA One ロボットシステムは、脳神経外科及び脊椎脊髄外科領域の手術を支援する医療機器だ。患者及び手術器具の位置情報などをリアルタイムで画像表示しながら、術前に定められた手術計画に従いロボットアームが手術器具を運搬・把持することで術者を支援する。海外においては、主にてんかんにおける頭蓋内深部脳波検査、凝固術等定位脳手術、パーキンソン病における脳深部刺激装置植込術、脳腫瘍領域における腫瘍生検及び内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術等に活用されている。





今回の症例について

日本初症例は、2021年10月1日に順天堂大学医学部 脳神経外科 先任准教授 菅野 秀宣先生を執刀医に、順天堂大学医学部附属順天堂医院にて実施された。

順天堂大学医学部 脳神経外科 先任准教授 菅野 秀宣先生

てんかんは、『てんかん発作』を繰り返す脳の病気であり、年齢、性別、人種に関係なく発病します。現在、日本国内では推定100万人以上(100人に1人)の患者さんがいると言われています。
私たちの脳は、神経細胞が集まって構成されています。神経細胞は、通常『興奮』と『抑制』がバランスよく働き、私たちの体をコントロールしています。しかしてんかんの場合このバランスが崩れ、ある神経細胞が異常に興奮し、過剰な電気を放ちます。その場所を『てんかん焦点』と呼びます。
てんかん焦点の場所によって、現れるてんかん発作は様々です。そのため、てんかん外科手術において、てんかん発作の原因となるてんかん焦点が脳内のどこに位置しているのかを特定することは非常に重要です。本邦においては開頭を必要とする硬膜下電極留置術による検査が普及していますが、長時間にわたる手術であり、術後の患者負担が高いこと、また評価可能な範囲が脳表面に限られるなど課題がありました。

てんかんイメージ


硬膜下電極留置術

順天堂大学医学部 脳神経外科 先任准教授 菅野 秀宣先生

定位的深部脳波検査(Stereo-Electroencephalography:SEEG)は、頭蓋骨に開けた直径約2-3mmの孔から電極を留置する手技であり、脳深部を含む広範な領域を評価することが可能です。



硬膜下電極留置術


深部電極留置術

順天堂大学医学部 脳神経外科 先任准教授 菅野 秀宣先生

ヨーロッパで開発された方法ですが、現在は先進国を中心に世界中で広く行われており、脳神経外科手術支援ロボットの普及と共に標準的なてんかん脳波検査の一つとなっています。SEEGによる評価を経て実施されたてんかん手術(焦点切除術等)では、てんかん発作の消失・減少率が有意に向上し、良好な臨床結果へ寄与することが報告されています。
ROSA One ロボットシステムは米国高度てんかんセンター(Epilepsy Center Level 4, National Association of Epilepsy Centers, USA)を中心に全世界で200台以上の導入実績があります。SEEGを含む数々のてんかん手術に活用され、その高い留置精度、安全性及び手術効率性が評価されています。十分な実績と高い信頼性のあるロボットを活用し、てんかん患者さまへより安全かつ高度な治療を提供するよう尽力する所存です。



深部電極留置術



■【動画】ROSA Brain 3D video

ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム