三菱地所は、現在、建物や施設、サービスごとに異なる顔認証サービスをワンストップで利用できる連携基盤「Machi Pass FACE」を開発した。複数の顔認証サービスに対応したDXYZ株式会社(ディクシーズ)の顔認証プラットフォーム「FreeiD」(フリード)の技術を活用し、「大手町パークビル」内の三菱地所本社で社員を対象に実証実験を現在進めている(冒頭の画像)。また、2022年3月より同社が運営する会員施設の入退室キーとして利用を開始するなど、関連施設・サービスへの導入を進めていく予定だ。
三菱地所は「三菱地所デジタルビジョン」を策定し、オフラインとオンラインが融合する新しい暮らしとまちづくりに取り組んでいるが、この施策もそのひとつ。
現在、FreeiDアプリでマンション・オフィス・保育園・ゴルフ場等へ「入退」・「認証」の顔認証サービスを提供。今後、「入退」・「認証」の利用シーン拡大(テーマパーク・ホテル・イベント等)、「決済」の店舗・自動販売機等へのサービス提供を予定している。
顔認証サービスをまち単位で便利に利用
三菱地所は、様々な施設の入退室やまちで展開される複数のオンラインサービスなどを一つのIDで利用できる共通認証 ID「Machi Pass」を展開している。Machi Pass FACE は、顔認証サービスを希望する利用者が顔画像を「Machi Pass」に登録すれば、利用者の承諾(オプトイン)によって、顔認証でもそれらサービスを実施できるようにするもの。さまざまサービスがいわゆる顔パスで利用できるようになる可能性がある。
ただし、現状では顔認証サービスを利用する場合、顔認証エンジンが異なると利用者はそれぞれのサービスを利用する度に、顔画像を登録する手間が発生したり、どの事業者が生体情報を保持しているのかがわかりづらいなどの状況が生じたりして、今後の普及の課題となる。「Machi Pass FACE」では、複数の顔認証エンジンに対応する FreeiD の技術を活用することで、複数の顔認証ソリューションをひとつのプラットフォームとして集約。建物や施設、サービスごとに異なる顔認証サービスを Machi Pass と連携してワンストップで安心安全に提供する考えだ。
顔認証エンジン側は利用者の許諾に基づき、Machi Pass FACEへの登録情報の共有を受けることで利用者の登録手間が省略できるため、顔認証の利用促進が期待できる。なお、顔認証サービスの利用にあたってはサービス毎に利用者の利用許諾は必要とし、プライバシーの保護や不安の解消につとめる。
今後、丸の内エリアをはじめ、「泉パークタウン」(仙台市泉区)においても、まちにある様々な顔認証エンジンとの連携を検討するなど、Machi Pass FACE による新たな生活体験を提供していく。
両社のコメント
三菱地所 DX推進部 春日 慶一氏のコメント
国内外各社の顔認証技術の進化は著しく、今後社会実装がますます進んでいくものと考えていますが、気軽に変えることのできない生体情報を認証に利用する上では、ユーザーに手間なく、かつ安心して使って頂けるプラットフォームの存在が不可欠と感じていました。今回DXYZ様の技術支援によってMachi Pass FACEを構築させて頂いたことで、安心安全かつフリクションレスな顧客体験が実現できることを嬉しく思います。また、連携頂く認証エンジン側にとっても、顔画像の登録というお客様が離脱しやすい手順をスキップできることで、利用促進のメリットを提供できるのではないかと期待しています。
DXYZ 取締役社長 木村 晋太郎のコメント
多様な人・企業が集い、交流することを通じたまちづくりを長く培ってこられ、同様にイノベーティブな未来へのビジョンを描かれている三菱地所様との提携が実現したことを大変喜ばしく思います。
弊社では、様々な顔認証エンジン・システムを一つのプラットフォームで連携させ、一度の顔登録でリアルな世界をより便利に繋げることを目指し、FreeiDのサービスを提供開始致しました。三菱地所様においても、顔認証において特定かつ個々別々のシステムに依存することなく、全てを横断的かつ一元的に運用したいという思いや目指す世界観がマッチし今回の提携が実現しました。
今後、三菱地所様が手掛けるまちの多様な施設において顔認証が普及することで、そこに住み、働き、訪れるすべての方々が、鞄やポケットから財布・スマートフォン・IDカードなど何も取り出すことなく、快適に生活できる未来を共創していきたいと考えております。
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