アダワープジャパン株式会社と千葉大学大学院工学研究院は、株式会社CuboRexが開発する電動クローラーユニット「CuGoV3」にスマホアプリ「WARPNER」をインストールしたスマートフォンを後付けし、アダワープジャパン東京オフィスから、遠隔地(千葉大学西千葉キャンパス)にある30kg相当の荷物を搭載した運搬台車を遠隔操作することに成功したことを発表した。
スマホアプリ「WARPNER」を用いた遠隔操作実験の背景
人口減少や高齢化に伴う人手不足への対応や、生産性の向上を目指し、デジタル技術の利活用が各産業で推進されている。その技術の一例として、公共通信網を使った遠隔操作も開発が進められ、各産業で導入が試みられている。しかし、遠隔通信技術を実際に導入するためには、コストが膨大にかかることが課題の1つとなっている。1つの対象物を遠隔操作する場合、カメラ、遠隔操作のエンコーダー、デコーダー、LTEルーター、SIMカードなどが必要となり、100万円前後の費用がかかることも珍しくない。
そこで、アダワープジャパンは遠隔操作を手軽かつ低コストで実現するために、スマートフォンを対象物に取り付けるだけで遠隔操作を可能にするAndroidアプリ「WARPNER」を開発した。「WARPNER」に必要な機材はスマートフォンのみであり、従来の遠隔操作の10分の1以下のコストで導入することが可能。
「WARPNER」はWeb RTC(Web Real-Time Communication)の仕組みを用いており、遠隔操作時の操作信号や映像をリアルタイム通信で届けることを目指している。今回は「WARPNER」を用いた遠隔操作が、実際に遠隔地からでも遅延なく操作できることを実証するべく、東京ー千葉間での超遠隔操作実験を行った。
操作実験
「WARPNER」を用いた操作実験ではアダワープジャパン東京オフィス(東京都台東区)から、千葉大学西千葉キャンパス構内の対象物(電動クローラーユニット「CuGoV3」を装着し、約30kgの荷物を搭載した運搬台車)を遠隔操作した。運搬台車には「WARPNER」をインストールしたスマートフォンが4台取り付けられており、それぞれ運搬台車の前後左右の映像を操作室にリアルタイムで送信した。
操作室でコントローラーを操作すると、台車が動作する。操作室で操作をしてから台車が動くまでの遅延はおよそ0.5秒。操作に支障はほとんどなかったという。
カートの前後左右の様子がカメラで確認できるため、細かく動いて障害物を避けることもできる。
電動クローラユニット「CuGo」について
電動クローラユニット「CuGo」は不整地産業向けロボットの「足回り」になる電動キャタピラキット。従来パーツ化されていなかったキャタピラ部分を組み立て可能なキット化し、アイデア次第で様々なロボットに応用(自動運搬ロボット等)できる。不整地産業向けの「足周り」パーツとして、農業や土木の運搬・点検ロボット等、凸凹が多く人が作業しづらい不整地での作業自動化を目指した研究開発に利用されている。
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今後の展開
アダワープジャパンは、今後もスマホアプリ「WARPNER」の実験を行う。手軽で低コストな遠隔操作を実用化していくことで、農業分野をはじめとして、各産業の業務効率化に寄与していく。
スマホアプリ「WARPNER」のベータ版を用いて実験を実施されたい企業・団体様を募集しております。遠隔化による業務効率化にご関心のある企業・団体様は、下記メールアドレスよりお問い合わせください。
メールアドレス:contact[ at ]adawarp.com
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。