CuboRex 不整地も走行できる電動クローラユニット「CuGo」と一輪車での運搬をラクにする「電動化ねこ車キット」体験レポート

不整地のパイオニアとして不整地産業における苦役をなくします。
それが株式会社CuboRexのコンセプトだ。不整地とは農地や建築現場等、凸凹のある場所をさす。

CuboRexは、不整地も走行できる電動クローラユニット「CuGo」シリーズの「CuGo V3版 遠隔操作ロボットキット」を販売していて、既に累計販売台数は500台を超えた。
このロボットキットに、バッテリーやコントローラ基板、ケーブル類を収納するボックスを追加した「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」を2月末から販売を開始した。製品が届いてから約30分程度で遠隔操作型移動ロボットが完成するのがウリだ。キット価格は329,780円(税込)。

「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」 サイズ:L430×D516×H268mm、重量:13kg

今回発売したコンプリートキットは、バッテリーや基板、ケーブル類を収納する簡易的な防滴・防塵のボックスがクローラー本体の上部に設置できる。

バッテリーやコントローラ基板、ケーブル類を収納する簡易的な防滴・防塵のボックスが追加された (製品名等のシールはデモ機のために貼付)

「CuGo」は前述の通り、不整地を走行できる電動クローラユニットだ。コントローラを使って操作することができる。デモでは機敏な動きを見せる。

あると程度の不整地も走破できる。速度は最大3km/h、耐荷重は最大80kgまで

ある程度の段差も乗り越えて移動することができる

■動画 Cugo 走行デモ


「CuGo」シリーズの研究・活用事例

「CuGo」シリーズは主に、農業用ロボットや運搬機の実験機、高専や工学系大学における工学実習の教材、レスキューロボットの開発実験機などに活用されている。大学や研究機関、企業の開発室などが購入しているという。

自律移動型自動販売機(山形大学)での活用例

小型除草ドローン(東京大学)での活用例

自動薬剤散布ロボット(レインボー薬品)での活用例


ねこ車を電動化するキット「E-Cat Kit」

CuboRexが注目を集めたのは、ねこ車(手押し一輪車)を電動化するキット「E-Cat Kit」だ。国内農家の高齢化や担い手不足が進むなか、手押し一輪車を電動化することで、作業を楽に、そして効率化する「E-Cat Kit」は好評を博している。

既存のねこ車の車輪部分を変更することで電動化できる点も好評

キットの構成は、一輪車本体とバッテリーパック、コントローラの3つ。バッテリーの充電器が別途添付される。



キットは簡単に取り付けて組み立てることができる。



実際に電動化したねこ車を体験

筆者も電動化したねこ車を実際に体験してみた。まず、積み荷として試しに30kgのウエイトを積み込む。最大積載重量は100kgが想定されているため、30kgは軽い部類に入るようだが、それでもずっしりと重く、ねこ車を押すにも力がいる。


もちろん、電動化したねこ車なら手元のレバーを軽く引くだけで、車輪のインラインモーターが駆動してねこ車を押してくれる。農家の体験者の方が「一度使ったらやめられない」と言うのがよくわかる。


次に段差にチャレンジした。30kgのウェイトのせいか、この程度の段差ではもう乗り越えるのにすごく力が必要だ。電動化したねこ車ならなんなく乗り越えることができる。(注:画像の人物は筆者ではありません)

▼電動化なしの場合

▼電動化ありの場合

■電動化ねこ車の組立て、30kgのおもりを乗せて坂道走行、段差の乗り越えデモ

今後は農業分野だけでなく、工場などの運搬業務の支援も検討している。高齢化と人手不足に悩む現場は多い。身体の負担を軽減しつつ、効率化が求められる。そんな日本社会の未来に向けて、市場は大きく拡がっている。


2022国際ロボット展で実機を展示

2022年3月9日〜12日の期間で開催される「2022国際ロボット展」で、「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」を含め、一連の製品群を展示する予定だ。汎用クローラユニット「CuGo」や電動化したねこ車の活用事例や活用方法に関する相談も受け付けるという。興味がある人は同社ブースに立ち寄ってみるとよいだろう。

【CuGoの主な仕様】

特徴 ・バッテリー・コントローラー類を専用ボックスに収容した状態でお届け。約30分で移動型ロボットの開発が可能
・小型ながら高い走破性で農地や瓦礫での走行が可能
・コンパクトな車体なので1人で簡単に持ち出せる
・動力機構を、FA用のアルミフレームが車体に取り付けられている
・カスタムしやすい(フレーム構造やモーターの変更など)
仕様 ・サイズ:L430×D516×H268mm
・重量:13kg
・定格出力:100W×2台
・電源:DC24V
・耐荷重〜80kg
・速度:3km/h
使用事例 ・農業用ロボットや運搬機の実験機
・レスキューロボットの開発実験機
・高専や工学系大学における工学実習の教材
内容 ・電動クローラユニット「CuGo V3」組立済×2台
・制御ボックス(バッテリー、モータードライバー、受信機、配線等)
・アルミフレーム2020 500mm✕2
・ブラケット・ネジ類
・コントローラー
金額 329,780円(税込)
製品ページ https://cuborex.base.shop/items/59218791

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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