130点のロボットが集結「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」会場レポート 日本科学未来館 特別展の見どころ 一挙に大紹介

日本科学未来館では、特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」を2022年3月18日(金)から開催している。略称は「きみロボ展」。
日本のロボットの歴史を彩ってきたロボットたちが展示され、ペットロボットやパートナーロボットなどと触れあえるコーナーも用意されている。会場には国内展覧会史上最大規模となる、約90種130点のロボットが集結している。開催期間は8月31日(水)まで。
展示されているロボットと見どころの一部を紹介したい。

日本科学未来館 特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」8月31日まで開催中

■動画




からだって、なんだ? 「ロボットの誕生、そして現在へ」

「きみロボ展」では日本のロボット開発の歴史が見てとれる。


ロボットへの興味を古くから持っている人にも、最近になって興味が高まった人にも楽しめるロボットたちの展示が行われている。入場してすぐにこれらロボットが静態展示で迎えてくれる。時代背景やそれぞれの目的、機能、用途などに想いを馳せながら見てみよう。

本田技研工業の「HRP-1」。働く人型ロボットの実現を目指し、経産省主導のもとではじまったプロジェクトにおいて、1999年に開発された第一号機。両腕で10kgのモノを持ち、時速2kmで歩行する

テムザックが1999年に開発した「テムザックIV号機」。リアルタイムでロボットの動きを操作することを目指した遠隔操作ロボット。

フラワー・ロボティクスの「Posy」。人間との共生をデザイン性で示したロボット。子どものようなに無垢な存在感を表現。

産業技術総合研究所とカワダロボティクスが2003年に開発した「HRP-2」プロメテ。働く人型ロボット。人間協調、共存型ロボットとしての存在が重視された。

ソニーグループが1999年に発売した初代「AIBO」。ペットロボットやエンターテインメントロボットというカテゴリーを提案した。当時も定価25万円と、高額だったにもかかわらず、発売開始からわずか20分で3,000台の受注が完了したことでも話題になった。現在はもっと犬に近い新世代「aibo」が販売され親しまれている

2002年に発表されたソニーグループの「QRIO」。環境に適応して行動する小型の二足歩行エンターテインメントロボット。歌やダンスもできる。

2004年に開発されたトヨタ自動車の「ハリー」。繊細な動きによってトランペットを演奏できる。2005年の「愛・地球博」でのパフォーマンスが注目された


人間の能力を補完したり、拡張したり、ロボットが人間の身体性をサポートするツールになる

ロボティクスは、障がいを乗り越えるツールとして、更には移動を助けるモビリティとしても期待されている

左はテムザックの電動車イス「RODEM」。右はテトラアビエーションの電動航空機(1/4模型)。モビリティは地上だけでなく空にも可能性を広げる

身体性を拡張するという意味では最も解りやすい事例、人機一体の「零式人機 Ver1.0」。JR西日本と日本信号と連携し、鉄道の高架や橋梁を点検したり作業することを目的に開発が進められている

トヨタ自動車が開発している遠隔操作ロボット「T-HR3」。右がロボット本体、左が操縦コクピット。しなやかに動くことが特徴(今回は静態展示)

遠隔操作ロボット(アバター)といえばオリィ研究所の「OriHime」シリーズ(手前)。外出が困難な人達がロボットカフェで働ける可能性を切り拓いた

カワダロボティクスの人型ロボット「NEXTAGE」。産業用として単純繰り返し作業の自動化機能も備えている

ドローンもロボティクスのひとつ。ソニーグループの「Airpeak」は、デジタル一眼を搭載して安定飛行と撮影を可能にするプロユースの本格ドローン




脳波で指示を読み取るBMI

BMIは「ブレイン・マシン・インタフェース」の略。SFのような話だが、脳波を読み取り、頭で考えるだけで意思を読み取る研究が進められている。身体の不自由な人が活用する分野で期待が高まっている。「きみロボ展」では体験コーナーも用意されている。

ニューロスカイの「necomimi」の体験コーナー。ネコミミ型のカチューシャに内蔵されたセンサーで脳波を読み取る


「BMIでLookAround」のデモは、右手を上げる、左手を上げるといった動作を頭で考えるだけで、コンピュータに右・左の指示を出すことができる。指示を受けたコンピュータはGoogleストリートビューに反映して、散歩を楽しむことができる(報道関係者向けの特別なデモ。会期中にも実施を検討中、決まり次第、公式ホームページで案内予定)







パートナーロボットとの触れあい「こころって、なんだ?」

コロナ禍で、ペット型ロボットやコミュニケーションロボットなど「パートナーロボット」の存在が注目されている。人間の「こころ」に寄り添うロボットたちだ。
「きみロボ展」では、柔らかいロボット、ふわふわなロボット、会話ができるロボット、ペットのようなロボットなど、たくさんのパートナーロボットと出会うことができる。この機会に「こころ」とは何か、を考えてみたい。

ゲル素材を使った柔らかいロボットも提案されている。山形大学ソフト&ウェットマター工学研究室の「ゲルハチ公」はやわらかい。触る前に、小さな「BOCCO emo」(ユカイ工学)が手指の消毒を呼びかける、これもロボットの役目


ペットロボットの代表といえばソニーグループの「aibo」。2022年限定のピンクのいちごミルクエディションは必見。奥(左)に見える「LOVOT」は温かい。子どもたちに大人気

aiboスケルトンモデルも特別展示

ユカイ工学の「Qoobo」(クーボ)。なでると尻尾を振ってこたえてくれる。会話のないコミュニケーションを体験しよう

コミュニケーションロボットとの暮らしを想像してみよう。


ミュージカルのように、メロディに乗せて会話できるヤマハの「チャーリー」

豊橋技術科学大学が提唱する「弱いロボット」という考え方がある。人が一方的にロボットに助けてもらうだけでなく、人がロボットを助け、ロボットと人が共に助け合って共存する、そんな暮らしを想像してみよう。

昔話を聞かせてくれる弱いロボット「トーキング・ボーンズ」(豊橋技術科学大学 ICD-LAB)。でも、ちょっとドジなところがある、それは・・

ランプ型のロボット「ルーモス」(豊橋技術科学大学 ICD-LAB)。声をかけるとおじぎをしたり、ランプの色を変えたり・・

ロボット同士の会話を見たことがある? こころを感じるこころ。複数のロボットが会話している様子を見ることで、自然で人間らしい会話とは何か、を考える機会が生まれるかもしれない。

ポケボー・ジュニア(豊橋技術科学大学 ICD-LAB)。3体がひそひそ話をしている。聞き耳を立ててみよう

む~(豊橋技術科学大学 ICD-LAB)。3体のロボットたちの会話に参加してみると、どんな気分だろうか

開発者の大阪大学 石黒教授にそっくりなアンドロイド。2体が会話をしている様子が見られる。会話を聞いてみよう、何を感じるだろうか

大阪大学大学院基礎工学研究科石黒研究室/国際電気通信基礎技術研究所(ATR)石黒浩特別研究所




いのちって、なんだ?

人間の「いのち」にもさまざまなロボットが関わりを持つようになってきた。人の命を助けるために生まれてきたロボット。人の命を受け継いでいくヒューマノイド。「いのち」とは何かを考えてみよう。

救命救急の「トレーニング」のために生まれたロボット「Pedia_Roid」(テムザック)。子どもの患者ロボットで、現実の子どもの発作や痛みに泣き叫ぶ姿がリアルすぎて少し怖いが、これに慣れてこそ、実際の救命救急の現場で冷静でいられる。今年のCESでも話題になった

夏目漱石(二松学舎大学基礎工学研究科/大阪大学大学院基礎工学研究科)やレオナルド・ダ・ビンチなど、実在した人物そっくりなアンドロイド。

開催は8月31日(水)まで。ロボットと触れあい、身体やいのちについて考えてみよう。そして、未来の暮らしを体験してみよう。

ABOUT THE AUTHOR / 

神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

PR

連載・コラム