インフルエンザ感染症は過去に年間約2,200万人が受診したと推計されている。(国立感染症「今冬のインフルエンザについて(2019/20 シーズン)」 における2017/2018シーズンの推定受診者数)
アイリス株式会社は、感染症診断用AI医療機器や咽頭撮影に特化した専用カメラなどの開発に取り組んでおり、2022年5月9日、「国民的感染症」ともいわれるインフルエンザ感染症を対応疾患とした、咽頭カメラを含む、AI搭載システムnodoca(販売名:nodocaノドカ)の製造販売承認を同年4月26日に取得したことを発表した。
インフルエンザ濾胞(咽頭後壁のリンパ濾胞(ろほう))がインフルエンザ感染症の診断に有用であるが、インフルエンザ濾胞を視診で見分けるには熟練の医師による診察が必要であった。そこで、同社は、熟練医の視診をAIによって再現することを目指し、日本で初めて「新医療機器」として承認を取得したAI搭載医療機器となる「nodoca」を開発した。
(冒頭の画像:nodocaを用いた診察イメージ)
nodocaについて
nodocaは、咽頭(のど)の画像と診療情報をAI解析し、インフルエンザ感染症に特徴的な所見等を検出することで同感染症の診断に用いることが可能だ。同システムのAIアルゴリズムは、のべ100医療機関・10,000人以上の患者さんに協力を仰いで収集した、50万枚以上の咽頭画像を元に開発されている。また、AI解析に適した咽頭画像を撮影するための咽頭撮影専用カメラを同社で独自に設計・開発しており、口腔内・咽頭を鮮明に撮影できる。
AIを搭載した日本初の「新医療機器」の承認を取得
nodocaは、同社が機器本体・AIともに日本国内で自社開発したもので、新医療機器(「医療機器の製造販売承認申請について」(平成26年11月20日 薬食発1120第5号)第1・2(2)が定める定義)として厚生労働大臣による承認を取得。AIを搭載した医療機器が新医療機器として承認された日本初の事例となる(事例は、2022年5月9日時点で当社が確認する限りの情報による)。また、医療機器の製造販売の年間承認件数は約1,100件(令和3年版厚生労働白書)だが、そのうち新医療機器の承認件数は年間約20件程度で、日本国内で開発された新医療機器は年間わずか2-3件程度である。
新型コロナウイルスなどの感染症・その他の疾患への研究開発
同社は、独自の画像解析技術を元に、新たな感染症を含む他疾患を検出するAI医療機器の開発を進めており、現在、新型コロナウイルス感染症をはじめとする複数の疾患について、大学病院を含む医療機関と共同研究を進めている。現時点で、複数の競争的研究資金の採択を得ており、今後、論文化・学会発表に注力することで医学界へ研究成果を還元するとともに、製品化を通して医療現場に貢献して参行くと述べている。
アイリス株式会社