スマホで茶葉を撮影するとAIが摘み頃かを判断 伊藤園と富士通が「摘採時期判断技術」の試験運用を開始
株式会社伊藤園と富士通株式会社はAI画像解析により茶葉(茶芽)の摘採時期を簡便に判断する技術を共同開発し、伊藤園が展開する茶産地育成事業の契約産地にて試験運用を開始することを発表した。
同技術はスマートフォンで撮影した摘採(収穫)前の茶葉の画像をクラウド上でAI解析して、摘採時期の判断指標となるアミノ酸量や繊維量を推定するもの。伊藤園と富士通は茶葉の摘採時期を簡便に判断できる同技術の確立に向けて協働し、2023年の新茶摘採から契約産地で本格展開を目指す。これにより、生産者の高齢化や後継者不足の折に、茶農業への新規参入の障壁となる課題を解決し、茶農業の生産力向上と持続性を両立することに寄与する。
雇用の創出と就農者の若返りを目指して
伊藤園は独自の持続可能な農業モデル「茶産地育成事業」を通じて、茶をはじめとした農業の課題の一つである「雇用の創出と就農者の若返り」に関して技術支援による解決を目指している。茶葉は摘採する時期が遅れると収穫量は多くなる一方で品質が低下する。日々変化する茶葉の生育状況から摘採時期を判断するためには、生産者の長年の経験から得られるノウハウ、または茶葉を採取・乾燥・粉砕のうえ専用機器で分析して見極める方法が一般的。しかし、生産者の後継者育成や新規参入に際しては、摘採時期の判断は容易ではなく、生産力向上と持続性を両立するうえで課題の一つとなっている。
そこで、伊藤園と富士通は、茶生産者の後継者育成や新規参入に際するハードルとなっている茶葉の摘採時期の判断を、AI画像解析により簡便化する技術を共同開発し、伊藤園の契約産地で試験運用を開始する。
正確性や実用性を検証するために試験運用を実施
「摘採時期判断技術」は伊藤園の茶栽培に関する知見と富士通鹿児島インフォネットの保有する画像解析技術、富士通のAIの機械学習を組み合わせて共同開発した画像認識アルゴリズムにより、スマートフォンで撮影した摘採(収穫)前の茶葉の画像をクラウド上でAI解析して、摘採時期の判断指標となるアミノ酸量や繊維量を推定する。
画像認識アルゴリズムの開発に際しては、およそ2年をかけて契約産地の一部で撮影した約4,000枚の茶葉の画像をもとに、色味調整など加工を施した合計約8,500枚の画像を用いてAI学習を行った。この画像認識アルゴリズムの正確性や実用性を検証するため、2022年の新茶摘採から撮影対象地域などを拡大して現場実証による試験運用を行い、2023年から契約産地での本格展開を目指す。
畑で撮影された作物の画像を日時、場所、生育段階といった情報を元に整理し、ディープラーニングで特徴と作物の成分値を組み合わせた推定モデルを作成。さらに色彩(Hue)、明度(Saturation)、彩度(Value・Brightness)といったHSVの観点で、チューニングなど推定値の精度向上させる手法であるTTA(Test-Time Augmentation)を用いて解析する技術。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。