現在、「電動」「自動(操縦)」「垂直離着陸」を一つのイメージとした新たなモビリティである空飛ぶクルマ(eVTOL)は、世界各国で機体開発の取組みがなされている。
日本国内においても、都市部での送迎サービスや離島や山間部での移動手段、災害時の救急搬送などでの活用が期待され、空の移動革命に向けた官民協議会を中心に2025年頃からの商用運航、社会実装を目標に、官民一体で検討が進められている。
このような動きの中、三菱地所株式会社と日本航空株式会社、兼松株式会社は、東京都(委託先:株式会社三菱総合研究所)の「都内における空飛ぶクルマを活用したサービスの社会実装を目指すプロジェクト」公募に対して提案を行い、採択されたことを2022年8月4日に発表した。
3社は同プロジェクトを通じて、東京都における空飛ぶクルマの実装に向けた検討を実施し、東京都・日本の社会課題解決や、新たな価値創造に貢献していくと述べている。
空飛ぶクルマのビジネスモデルを検討、2023年度から運航実証
同プロジェクトでは、2022年度に都心の主要な拠点を結ぶ移動サービス(都市内アクセス)、空港からの二次交通(空港アクセス)、離島地域における移動サービスや遊覧飛行など、都内での様々な空飛ぶクルマのビジネスモデルを検討し、2023年度に”ヘリコプター”による運航実証、2024年度に”空飛ぶクルマ”による運航実証、離着陸場オペレーションの検証を通じて、運用の課題や収益性などを検証する。
2022年度:実装に向けた課題や解決策の整理、ビジネスモデル検討の調査
・建物が過密して立地する東京都内において、空飛ぶクルマの高密度・高頻度な運航を可能にする空飛ぶクルマ用離着陸場の設置場所、各種与件、実装にあたっての課題整理。
・想定される路線における売上や運航コスト、将来の事業拡張性を試算し、東京都における市場規模や事業の持続性の検証を実施。
2023年度:ヘリコプターによる都市内アクセスおよび遊覧飛行の実証
・三菱地所が保有、運営する施設を中心に、2箇所のヘリポート設置を検討し、各ヘリポートでの遊覧飛行やヘリポート間の移動・チャーター便を提供。
・将来的な空飛ぶクルマによる移動サービスの事業性の検証を実施。
2024年度:運航実証
・2023年度運用したヘリポートを中心に、海外で空飛ぶクルマ用離着陸場の設置・運用事業を展開する英Skyports社の協力により空飛ぶクルマ用離着陸場の設置を検討し、当該ポートでの空飛ぶクルマの運航実証及び地上オペレーション(離着陸管理・シミュレーション、チェックイン・保安検査、周辺安全管理・監視)の検証を行う。
▼ 各社の役割
三菱地所 | ・プロジェクト全体取りまとめ ・不動産アセットなどへの空飛ぶクルマ用離着陸場実装に向けた課題、解決策の提示 ・運航実証を行うロケーションの提供 |
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日本航空 | ・空飛ぶクルマ運航サービスビジネスモデル検討 ・運航および離着陸オペレーション実証の企画 |
兼松 | ・海外での技術、規制動向などの提供 ・空飛ぶクルマ用離着陸場運営サービスにおけるビジネスモデル構築 ※2020年より、Vertiportの設計・設置・運営事業やドローン運航事業を手掛けるSkyports(本社:英国ロンドン)と業務提携。 |
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