日本ムーグ株式会社はMoogのサブブランドであるMoog Animaticsが展開するシステム一体型サーボモータ「SmartMotor」がPAL Robotics社のAMRに採用されたことを発表した。
機電一体型サーボモータ 「スマートモータ」について
スマートモータはコントローラ・ドライバ・エンコーダ・入出力・通信が一体になったDCサーボモータ。搬送(AGV・AMR・ピックアンドプレース)、医療機器(CT/MRI・薬品検査)、半導体装置(チャンバーゲートの開閉・ウェハ搬送)、監視システム(監視カメラ・レーダ)など様々な用途に採用されている。スマートモータは米国で1995年にリリースされ、日本では15年以上の販売実績がある。
■多軸制御もスマートモータだけでOK
スマートモータに内蔵されているコントローラで自律制御や多軸制御が出来るので、上位コントローラの計算負荷を減らすことが可能。
■省スペース・省配線だから制御盤を小さくできる
コントローラとドライバを内蔵しているため、設置スペースを考慮する必要がない。
■ノイズ対策が容易(EMI/EMS)
アルミニウムの筐体でほぼ全て覆われているので外部への電磁波放射が極めて小さく、また外部からの電磁波に強い耐障害性の高い製品。
■多様な制御モードに対応
位置制御、速度制御、トルク制御、電子カム、電子ギヤ、パルス列入力制御、多軸補間制御、多軸協調制御(外部コントローラ要)に対応する。
■装置の見える化設定が可能
内蔵のコントローラで予防保全のプログラムを追加することができる。
■様々な通信プロトコルに対応
EtherCAT・CANopen・EtherNetIP・PROFINETなど各種通信に対応する。
■様々な安全規格
CE、UL、CCCに対応している。
PAL Robotics社のAMRへの導入背景
PAL Robotics社は倉庫周辺の製品や部品の移動や病室を消毒するために病院内を移動するなど、イントラロジスティクス業務に従事する自律移動ロボット、すなわちAMRを開発・製造・販売している。PAL RoboticsのTIAGoモデルのようなAMRを問題なく動作させるには、迅速に旋回・停止・ブレーキ・加速を必要とするため、大量の情報処理能力を可能にするシステムが必要だった。
これを解決するため相互接続されたスマートモータを使用した。反応速度が向上し、Combitronicプロトコルによってマスタコントローラの計算負荷を軽減する。この独自の通信システムではCAN通信を使用し、スマートモータ2台のいずれかが制御機能を受け持ち2台のモータにリアルタイムでデータを送ることで協調動作を実行する。また、この組合せによりロボット自体をコンパクトにしコストの削減と軽量化にも貢献している。
Moog Animaticsが開発した簡単に多軸制御でき信頼性の高い通信方式。スマートモータのコントローラはマスタコントローラとして機能するため多軸用制御専用ボードを必要としない。全モータ(コントローラ)は全ての情報をお互い共有することが出来るため、強力なパラレル処理が可能なシステムとなる。CANopenとコンビトロニック通信の同時通信ができる。
AMRの設計でシステムに対する電力の要求を軽減するもう一つの方法はアンプの構成。アンプは電力需要が少ないときにスイッチを切るが、それでもなおモータ制御装置およびソフトウェアに電力を送り続ける。脊髄が脳への負担を軽減するためにいくつかの反射と筋肉活動を処理する人体と同様に、ムーグのCombitronicプロトコルを使用するとAMRのマスタCPUに追加の負荷をかけることなくスマートモータを相互に制御することが可能。
Moog Animaticsのスマートモータを使用したソリューションは、当社のAMRを駆動する要件に適しています。また、経験豊富なムーグチームとロボットの他の部分についても議論し、当社のためにモータと減速機を組み合わせた製品を提案してもらいました。我々の作業は、ムーグから提供されたアセンブリをハウジングに挿入し、それを電源と通信ラインに接続することだけです。スマートモータは単なるモータ技術を超えて弊社の製造作業効率を高めることに貢献しています。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。