アマノ株式会社と株式会社Preferred RoboticsはAI技術で自律移動する小型床洗浄ロボット「HAPiiBOT」(ハピボット)を共同開発し、アマノが10月1日より販売開始することを発表した。
AI技術で自律移動する小型床洗浄ロボット
「HAPiiBOT」は20インチ(幅560㎜)のコンパクトなボディに、高度な自己位置認識、画像セグメンテーション(カメラに写った物体を識別する物体認識)といったAI技術を搭載し、人や障害物を正確に認識して自律移動しながら床面を自動洗浄することができる。従来の技術では認識が難しかった床マットなども認識でき、小型で小回りが利くため、通路の狭い食品スーパーなど、これまで小型の手押し洗浄機しか使用できなかった施設にも導入可能。
また、省電力設計により連続2時間の洗浄ができ、人手不足になりがちな深夜・早朝の清掃作業の自動化が可能になる。導入にあたっては、清掃対象エリアの外周を最初に登録(ティーチング)するだけで、周囲をセンシングしながら施設内の通路を自律移動し、走行可能ルートを自動生成する。
さらに、遠隔操作を可能とするクラウドサービス“AMANO Robot Cloud”を同時にリリースし、複数台のロボット稼働状況がリアルタイムに監視できるだけでなく、クラウドサービスを利用して、清掃ルートの変更やマップ連携が可能となり、現場管理者の工数を大幅に削減する。
アマノ、PFRobotics、PFNの技術を統合
アマノは2014年に国内では初めて本格的に業務用ロボット清掃機の事業展開を開始した。2018年には大型施設向け自律走行式ロボット床面洗浄機「EGrobo」を発売し、清掃作業員の人手不足対策や清掃作業効率化によるコスト削減を支援してきた。
PFRoboticsは深層学習などのAI技術に強みを持つ株式会社Preferred Networks(以下、PFN)の子会社として2021年11月に設立された自律移動ロボット開発のベンチャー企業で、今回アマノと共同開発したHAPiiBOTが初めての製品となる。
HAPiiBOTの開発にあたりPFRoboticsは、ナビゲーションシステムや低消費電力のエッジCPUボードの独自開発に加え、PFNのAI技術とスーパーコンピュータを用いて訓練した画像セグメンテーション、さまざまなセンサーを最適に活用した自己位置認識など、柔軟な自律移動を可能にするソフトウェアをPFNと共同開発した。これらの技術と洗浄機国内トップシェアのアマノが培ってきたハードウェア技術とを高度に統合することで、洗浄機としての高い洗浄力、節水性能、使いやすさと、安全な自律移動を兼ね備えた自動清掃ロボットを実現した。
小型床洗浄ロボット「HAPiiBOT」の販売価格は320万円(税抜)で、アマノはHAPiiBOTの売上目標として2022年度(23年3月期)に200台、2023年度に600台を目指す。
株式会社Preferred Robotics(PFRobotics)について
自律移動ロボットの研究、開発、製造、販売を行うPFRoboticsは、PFNの子会社として2021年11月に設立された。PFNと共に掲げるビジョン『すべての人にロボットを』を実現すべく、PFNが強みを持つ深層学習(ディープラーニング)技術と、PFNのスーパーコンピュータを最大限に活用し、人の役に立つロボットの提供を目指しています。PFRoboticsは、会社設立と同時にアマノ、2022年3月に旭化成ホームズ株式会社、株式会社三井住友銀行と資本業務提携をおこないました。アマノと共同開発した業務用の小型床洗浄ロボット「HAPiiBOT」に続き、今後は家庭向けの自律移動ロボットも販売する予定。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。