1人で3台の自動運転バスを遠隔監視 移動需要に合わせて配車 愛知県常滑市の公道で安全性や実用性を評価

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)と株式会社NTTドコモは愛知県常滑市中部国際空港・常滑市りんくう町・常滑駅周辺の公道において、自動運転サービスの実用化をめざし安全性や実用性を評価する実証実験を2022年10月28日から行うことを発表した。

実証実験では2つのルートで自動運転バスを3台同時に運行し、1人の監視員が遠隔から監視する。日本初の取り組みとなる磁気マーカを活用した自動車専用道路における自動運転を予定するほか、機械学習によりビッグデータを分析・活用し、一部の自動運転バスを配車する時間帯や行き先などの移動需要に合わせた配車を行う。


2つのルートで自動運転バスを3台同時に運行

NTT ComとNTTドコモは自動運転のビジネスモデル構築をめざす「愛知県自動運転社会実装モデル構築事業」に参画している。この事業の一環として、今回の実証実験を行う。実証実験では2つのルートで3台の自動運転バスを同時に運行する。

1つ目は中部国際空港と常滑市りんくう地域を結ぶルート。空港利用者の乗車を想定したもので、利用者が自家用車を常滑市りんくう地域に駐車して空港行きのバスに乗る「パークアンドライドルート」における将来的な運行を想定している。

「パークアンドライド」とは
自宅から目的地まで自家用車で向かうのではなく、途中の駅や停留所に駐車し、そこから公共交通機関に乗り換えて目的地まで移動する方法。

2つ目はりんくう地域や常滑駅周辺を周遊できるルート。観光客の乗車を想定したもので、りんくう地域や常滑駅周辺に点在する商業施設・集客スポットを周遊できる「市街地ルート」における将来的な運行を想定している。実証は2022年10月28日(金)、10月31日(月)から11月6日(日)まで計8日間。




実証の特長

・磁気マーカシステム「GMPS」を活用し自動車専用道路を走行
愛知製鋼株式会社が提供する磁気マーカシステム「GMPS」を活用し、日本初の取り組みとなる磁気マーカを活用した自動車専用道路における自動運転を行う。一般道および自動車専用道路(中部国際空港連絡道路)の一部に敷設した磁気マーカによる自己位置推定をGNSSと併用することで、悪天候時における自動運転の安定性を評価する。また、GNSSを活用した自己位置推定が困難な自動車専用道路の料金所にも磁気マーカを敷設し、走行の安定性を高める。

磁気マーカシステム「GMPS」とは
道路に敷設された磁気を発するマーカを車両に取り付けられた高感度磁気センサーで読み取り、自動運転車両を運行する方式

GNSS(Global Navigation Satellite System)とは
人工衛星から発射される信号を用いて自己位置などの測位を行う技術。

・ビッグデータを活用し、移動需要に合わせて配車
機械学習により、携帯電話の位置情報から取得する場所・曜日・時間帯ごとの人の移動に関するビッグデータを分析・活用することで、移動需要予測を実施する。実証ではパークアンドライドルートにおける実運用を想定し、混雑が予想される場合には定時運航便に加え、もう1台を配車することにより、利用者の利便性を高める。(パーソナルデータの取扱いに関する同意事項「位置情報の利用」に同意している人の位置情報を利用して実証実験を行う)

・自動運転の社会実装に向けて利用者ニーズのあるルートの検証
パークアンドライドルートでは将来的に中部国際空港島と常滑市りんくう地域を結ぶシャトルバスにより、空港利用者・観光客の周遊を促進することを想定して運行する。両地区を結ぶ自動車専用道路を含むルートにおける安全性確保の有効性検証と課題抽出を行う。市街地ルートでは将来的にイオンモール常滑をはじめとするりんくう地域、常滑駅周辺に点在する商業施設・集客スポットを周遊できるルートを想定して運行し、ルートの需要とともに市街地走行における安全性確保の有効性検証と課題抽出を行う。

・自動運転車両の複数同時監視と、5GやAI映像解析技術などを活用した危険箇所の検出
実証ではパークアンドライドルートおよび市街地ルートにて計3台のバス車両を同時運行することに加え、走行ルート上や車両内に設置した複数のカメラ(路側/車載カメラ)を5Gなどに接続して映像伝送し、複数車両の運行状況を遠隔管制室にて一元的に監視する。一元的な監視をより簡易にするために、路側カメラから取得した映像に対してAI映像解析などの技術を活用し、遠隔の監視員がより早く危険を検知できるようにする。

路側カメラは専用の機材を用意することなく、スマートフォンにて高精細な映像を低遅延で伝送する。車載カメラは遠隔監視の複数の画像を統合し、車両周囲の死角が少なくなるような映像を伝送する。これらの技術によって、さらなる自動運転車両の安全な運行と監視員の負荷軽減をめざす。 


今後の展開

NTT Comとドコモは実証実験の結果を踏まえ、行政、交通事業者、自動運転技術提供者、利用者やサービス提供企業などの関係者とともに自動運転の社会実装を推進していく。

関連サイト
NTTドコモ

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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