「ちょもろー」でロボットパレードを見てきたよ!パレードに登場したユニークなロボットたちまとめ

東京都竹芝エリアで10月29,30日に開催された「ちょっと先のおもしろい未来」(通称ちょもろー)。この記事ではそのイベントのオープニングを飾ったロボットパレードの様子を紹介してみたい。


ちょもろーとは?

その内容や背景についてはこちらの記事に詳しいが、公式資料から改めて抜粋してみよう。

ちょっと先のおもしろい未来は、「コンテンツ×テクノロジー」産業の拠点を形成する活動母体として2015年4月に設立された一般社団法人CiP協議会を中心とした「ちょっと先のおもしろい未来実行委員会」が主催するイベントです。5年・10年先のちょっと先のライフスタイルを変えていくテクノロジーを、実際に2022年の今の街に実装した形で体験できるだけでなく、e-sportsからアニメ、お笑い、ミュージックなど、ちょっと先に誕生する面白いポップカルチャーに出会えます。



ロボットパレードってなに?

ロボットパレードの開催は10/29の朝11時、まさに「ちょもろー」イベント開始にさきがけて実施された。仮装した子どもたちが、パフォーマーやロボットとともに公道を練り歩く。
「未来が来たよ」という明確なサインが地域に向けて大きく掲げられたのを感じることができたのではないだろうか。

竹芝エリアに集積された「コンテンツxテクノロジー」産業をリードするCiP協議会。その理事長/iU学長の中村伊知哉氏(右)と同参与/NPO法人CANVAS理事長 石戸奈々子氏(左)も子どもたちとともに仮装してパレードに参加した。

このパレードはハロウィンという時期や、コンテンツxテクノロジー産業の集積を目指した国家戦略特区、という土地柄もあり、いい意味でハメを外した仕上がりのロボットが多いことがこの写真一枚からでも伝わるのではないだろうか。

しかし、その裏では「子どもたちとロボットが一緒に公道を練り歩くパレード」を実施するために、警察や近隣地域などと非常に厳しい折衝があったことは想像に難くない。
そんな厳しい環境下でも慣熟した操作者が使い慣れたロボットを思い思いに飾り付け、子どもたちを楽ませようとしている様子を是非ご覧になっていただければと思う。

ドローン空撮などを含め、パレードの様子を撮影したのは、ちょもろーにドローンを使ったワークショップを出展していた株式会社Dron é motionとビリーブロード株式会社。竹芝エリアは都内で初めて有人エリアでのドローン配送実験を行うなど、ドローンの先端利用地域でもある。

また、メカに興味があるかたは、今回パレードに参加した屋外、市街地使用を想定したロボットたちの足回りなどに注目してみるのも面白いかもしれない。


登場ロボット紹介

では、動画にて確認されたロボットたちについて紹介してみよう。
現状開発中の機体などは正式名称がまだ定まっていないものなどもあるがご容赦いただきたい。

ロボット名 クローラ
運用会社 ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社が開発した高い屋外走破性を誇るロボット。
株式会社CuboRexのクローラーユニットを改造し装着している。
今回はハロウィンデコレーションと共に、シャープ株式会社のロボホンを搭乗させていた。
遠方からの視認性を上げるための前面ディスプレイと、近距離でのコミュニケーションの役割を分担するというアイデアにもつながりそうな興味深い試みだ。



ロボット名 Spot
運用会社 鹿島建設株式会社
鹿島建設株式会社が建築現場など、不整地での運用を目指して実証実験をすすめているBoston Dynamics社製4足歩行ロボット。
イベントの舞台となったスマートビルディング、東京ポートシティ竹芝は車輪タイプのロボットに対して親和性が高い構造になっていたが、わずかに残る階段や段差もSpotにとっては格好のデモスポットだったようで、様々な場所に出没しては子どもたちを楽しませていた。



ロボット名 しおりん
運用会社 THK株式会社/株式会社リードジェン
THKが展開するロボットプラットフォーム「SEED Solutions」を活用し、株式会社リードジェンと共同開発した遠隔操作型アナウンスロボット。
今回はAKB的な衣装で登場。ハロウィンの仮装らしく見えるためパレードに最も馴染んだ機体だったかもしれない。。



ロボット名 サウザーミニ
運用会社 凸版印刷株式会社
株式会社Doogが開発、販売している協働運搬ロボット、サウザーの小型機。
従来機(横幅600mmx全長950mm)に比べ二周りほど小型(横幅450mmx全長470mm)
一般ユーザーと空間を共有する用途に向いているという判断がなされたのだろうか、パレード内では子どもたちとの距離も近い場所に配置されていた。
今回のイベントでは temi USA inc.社製のテレプレゼンスロボット、temiとともに仮装し、スマートビルディング内で連携する謎解きコンテンツを展開。



ロボット名 Rafute
運用会社 ソフトバンク株式会社
屋外での利用されている他システムとの連携機能などを実証する目的でNEDOとの共同プロジェクトとしてソフトバンク株式会社が開発した運搬ロボット。歩道の段差など屋外環境に対応した足回りを実装している。



ロボット名 サウザー
運用会社 ソフトバンク株式会社
株式会社Doogが開発した自動追従走行や、メモリトレース(簡便なUIで経路設定が可能な自動走行)機能などをもつ協働運搬ロボット。高いカスタマイズ性と柔軟な運用のしやすさが特徴。ソフトバンクとしては屋外での活用を検討中とのこと。



ロボット名 PANDA
運用会社 ソフトバンク株式会社
「つくばチャレンジ」にて屋外での自律走行を検証した機体。
大型のエアタイヤとサスペンションを装備。市街地での危険度が高い静音走行を避けるためだろうか、大型のスピーカーが前面に配備されている。パレードでは大音量で音楽をながしていた。



ロボット名 インフレータブルロボット
運用 明治大学 新山研究室
ソフトロボットの研究者、明治大学理工学部複雑ロボットシステム研究室の新山龍馬氏が開発。
Unitreeの4足歩行ロボットGo1による下半身と、株式会社バボットのバルーンロボットで出来た上半身を組み合わせ、遠隔操作を可能にしたインタラクション用ロボット。
非常に柔軟なバルーンロボットの良さを活かし、上半身への直接接触を伴うインタラクションで子どもたちを存分に楽しませていた。
また、バルーンロボットのもう一つの特徴である軽量さにより、4足歩行ユニット独特のトリッキーな動きを損なわれていなかったのも大きなポイントだ。
このような直接的なインタラクションをしたくなるロボットは「相棒としてのロボット」のイメージを子どもたちに強く印象づけていたように見えた。



ロボット名 サウザー
運用 株式会社ビンデックス
街なかの滞留空間づくりを促進していたFURIURIプロジェクトの知見を活かして改造された機体。
市街地での走行時や滞留空間において、視覚からアピール力を強化させるためにレーザー照明や大型サイネージを搭載したもの。
巨体を活かしてハロウィン仮装をしたQooboを載せ、パレードの趣旨を知らない近隣住民に向けてサイネージからイベントをアピールしていた。


暮らしに馴染むロボットを目指す竹芝エリア

今回紹介したロボットパレードは「ちょもろー」イベントの中のあくまで一部分にすぎない。しかし、「ロボットをただ子どもたちと一緒に練り歩かせる」というコンテンツの作り一つとってもイベントの性格が如実に現れていたように思う。

従来の「大企業的な発想」であれば、このようなロボット仮装パレードは難しかっただろう。
飾り付けにロボットに布一枚つけるだけでもモーターに対する負荷や熱特性の変化など、考慮すべきファクターがどんどん増えていってしまう。
子供と近接させて動作させるのもリスクを考えれば避けるべき事象だ。何が起こるかわからない公道という場所もリスキーだろう。

しかし、「ちょもろー」では高い技術や信頼性をもって作られたロボットと、これまで得た経験から生まれたマージンを積み重ねて、ただ子どもたちを楽しませるパレードを催行する。
スマートビルディングやIoT、ドローンなど、様々な技術が集結している街、竹芝のアピールをする手法についても同様だ。いくらでもテックによって関係各社をアピールするような切り口にも出来ただろう。

しかし、今回のイベントではコンセプトを「コンテンツxテクノロジー」に据え、
テクノロジーは単体で誇るものではなく、ワークショップなど、コンテンツと一体にして楽しむものとして取り扱った。


高度なテクノロジーを「未来の日常では普通に使われているであろうもの」として体感できるコンテンツの一材料に落とし込み、一般の人々の想像力を刺激するような見せ方だ。
これはまさに「ちょっと先の面白い未来」を感じさせるイベントにふさわしい取り扱い方だったのではないだろうか。

未来を感じた参加者のリアルな反応を伺えた本イベントだが来年度は9/17,18のリアル開催に向けて参加者、参加企業を募集していくとのこと。
一足早い未来において自分たちの技術がどう使われるのかを考えたい各社は竹芝エリアの今後に注目していってほしい。




イベント概要

名称 ちょっと先のおもしろい未来-CHANGE TOMORROW-(ちょもろー)
日時 2022年10月29日(土)11:00〜18:00、10月30日(日)10:00〜18:00
会場 東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー(東京都港区海岸1丁目7番1号)、ウォーターズ竹芝(東京都港区海岸1丁目10番30号)、東京都立芝商業高校 (東京都港区海岸1丁目8−25)
アクセス 浜松町駅(JR山手線・京浜東北線・東京モノレール)徒歩4分 竹芝駅(ゆりかもめ)西口 徒歩2分 大門駅(都営地下鉄浅草線・大江戸線)B1・B2出口 徒歩5分
主催 ちょっと先のおもしろい未来実行委員会
制作 株式会社アルベログランデ 株式会社インフィールド CANVAS 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 一般社団法人CiP協議会 一般社団法人超人スポーツ協会 吉本興業株式会社 株式会社ラフ&ピースマザー
協賛 東急不動産株式会社 鹿島建設株式会社 ソフトバンク株式会社 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構) 株式会社東和エンジニアリング
併催 KMDフォーラム デジタルえほんアワード ワークショップコレクション
協力 iU(情報経営イノベーション専門職大学)アークベル株式会社 一般社団法人竹芝エリアマネジメント KOTO株式会社 キッセイコムテック株式会社 一般社団法人竹芝タウンデザイン
後援 港区 港区教育委員会 竹芝Marine-Gateway Minato協議会



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梅田 正人

大手電機メーカーで生産技術系エンジニアとして勤務後、メディアアーティストのもとでアシスタントワークを続け、プロダクトデザイナーとして独立。その後、アビダルマ株式会社にてデザイナー、コミュニティマネージャー、コンサルタントとして勤務。 ソフトバンクロボティクスでのPepper事業立ち上げ時からコミュニティマネジメント業務のサポートに携わる。今後は活動の範囲をIoT分野にも広げていくにあたりロボットスタートの業務にも合流する。

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