ソフトバンクが水中で長距離・高速の無線通信を実現へ「光トラッキング技術の水中レーザー通信」研究開始　通信距離300m以上、速度100Mbps以上を目指す

ソフトバンク株式会社は、「水中航走体用レーザー通信に向けた光トラッキング技術の研究開発」に取り組むことを発表した。地上では利活用が進む無線通信・電波技術、水中でも無線通信が期待されるが、電波の利用は困難の極みだ。そこで、ソフトバンクは「光トラッキング技術の水中レーザー」で高速無線通信の実現させ、通信距離300m以上、速度100Mbps以上を目指す考え。

同社は、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に係る、令和4年度新規採択研究課題の公募で研究課題として採択され、この研究課題に関して防衛装備庁と契約を締結し、2022年12月に研究を本格的に開始する。(防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」ページ)

日本は、排他的経済水域(EEZ)の面積で世界第6位を誇る世界有数の海洋国家。沿岸・離島地域での水産業やインフラの維持・管理、海洋調査などのさまざまな活動における担い手不足が深刻化しているという。
この課題解決に向けて、海中で働く遠隔操作ロボット（ROV：Remotely operated vehicle）や自律航行ロボット（AUV：Autonomous underwater vehicle）をはじめとする水中航走体の利活用が進んでいる一方、水中航走体との通信は有線通信が中心となっている。有線通信は運用に制限があることは想像に難くない。また、音響通信の研究も急速に進んでいるが通信速度の高速性には制限がある。これらの制限を取り除き、水中航走体の利便性を向上させるためには、水中航走体でも利用可能な「長距離・高速」の「無線通信」が必要になるとされている。

水中における長距離・高速の無線通信を実現するためには、「可視光レーザー通信」と「高精度なトラッキング技術」を組み合わせる方法が考えられるが、現状では広域を自在に移動する水中航走体を捕捉・追尾し、レーザー光軸を合わせて安定した光通信を実現するトラッキング技術が存在しない。
そこでソフトバンクは、複数の素子をリング状に配置したレーザー「リングレーザー」で水中航走体の位置を捕捉する「粗追尾」と、通信用レーザーでレーザー光軸を合わせる「精追尾」を複合した光トラッキング技術に関する研究を行う。研究の最終段階では、実海域に水中航走体を投入して光トラッキング技術による通信実験を行い、通信距離300m以上で、通信速度100Mbps以上の実現を目指すとしている。

ソフトバンクは「水中航走体などの利活用の拡大およびBeyond 5Gによる海の産業革命を目指して、光トラッキング技術の研究開発を進めていきます」とコメントしている。

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