GPS搭載で自律走行する自動除草ロボット「ミズニゴール2.0」提供開始 農家の収益化&無農薬化促進の実証実験参加者を募集

現在、農業に関して基盤確立事業や優遇税制が始まっている。その一方で、対象設備が100万円以上かつ認定メーカーに限られるなど、大規模農家を中心とした制度となっており、また、近年のスマート農業製品についても設備投資として導入するにはコスト面のハードルが高く、小規模農家が取り残されている状況だ。

テクノロジーを通じて農業の自動化と楽しさ向上を目指す株式会社ハタケホットケは、全国で小規模農家が最も多く、県職員の農業副業を初めて認めるなど人材・後継者不足が深刻で、耕作放棄地といった農業課題を抱える長野県で生まれた農家の重労働と環境負荷を削減するロボット「ミズニゴール」の最新改良版、GPS搭載自動運転型の「ミズニゴール2.0」を開発中であり、2023年春にローンチ予定であることを発表した。


同社は、今後、減農薬・無農薬化への転換を進める実証実験プロジェクトとして、「地域サポーター制度」を新たに開始し、全国の地方農家間のシェアリング提供と雇用創出及び収益改善を図ると同時に、田んぼ毎に異なる地質特性・環境に合わせた除草効果の分析研究を進めていくとのことだ。

小規模農家・人材不足問題が多い地域で生まれた、農家の重労働を自動化するロボット「ミズニゴール」(2022年実験の様子)




「ミズニゴール2.0」について

水田を走り回り、田んぼの水を濁らせることで、稲の栄養を奪う雑草の光合成を遮り除草作業を自動化する「ミズニゴール」は、2022年に実施したクラウドファンディングにて全国の応援者、地域農家様からの支援で250%以上の目標支援額を達成した後、長野県内の農家を対象に実証実験とレンタル提供を開始。 「ミズニゴール2.0」は、第一弾の実証実験や現場での利用状況を踏まえて大幅にリニューアルしたモデルだ。

開発中のミズニゴール2.0

今回のリリースでは、GPS(全地球測位システム)を搭載し、除草作業の自動化を実現。Google Mapの位置情報と連携することで、走行ルートの自動設定、範囲設定を記録することができるため、複数の田んぼを保有する場合でも、例えば「A畑、B畑」と記録を呼び出すことで、前回はラジコン操作が必要だった除草作業も自動で進めてくれる。また、本体の構造を4つに分割。モジュール型ロボットに進化したことで、パーツ毎のメンテナンス・交換、輸送・組み立てが容易になった。さらに駆動面では、搭載バッテリーを刷新したことで、従来よりも静音化とトルクアップする予定だ。一度設定すれば圃場に置くだけで、1反(1000平米)あたり数分の手間で除草できるため、 人力で水を濁らせるのと比較し約20倍の生産性向上が期待できる。

開発中のミズニゴール2.0




「ミズニゴール2.0」の特長

優れた防水性・耐久性を有している同ロボットは、シンプルで壊れにくい構造をモジュール化したことで、トラブル時もパーツ交換対応が可能。軽量で持ち運びにも対応している。


優れた防水性・耐久

プラスチック成形の本体は耐水性が高く、不安定な水田でも操作が可能。


壊れにくいシンプル&モジュール構造

本体の機構・構造をシンプル化することで壊れにくくし、さらにモジュール化したことで、万が一のトラブル時にもパーツ交換で対応可能。農作業の現場で扱いやすい設計にしている。


軽量で持ち運びにも対応

重量は約 8kgと軽量。一般的な農機具は頑丈で壊れにくい反面、重量があり女性やお年寄りには取り扱いが大変なものがある中で、一人でも持ち運びが容易です。



第一弾の実証実験について

第一弾プロジェクトの「ミズニゴール」レンタル提供開始後には、長野県松川町、「公益財団法人自然農法国際研究開発センター」と共同で実証実験をスタート。数十年に渡って自然農法の研究開発・有機農業支援を行ってきた機関と共に、抑草・除草作業のプロセスにおける物理的な除草量・除草効率の向上の他、機能操作面の向上など省人化方法を検討した。







慣行農業から有機農業への転換に向け、第二弾の実証実験を開始

今回の実証実験では、既に有機・無農薬栽培を行っている農家に加え、減農薬・無農薬転換を検討している農家、自治体、農業関係者など、地域事業者を対象にミズニゴールの実証実験参加&パートナーを募集開始する。同実証実験では、日本各地でミズニゴールを使用した有機米の生産と、田んぼ毎に異なる土壌・地質特性、環境に合わせた除草効果の分析を進めていき、さらに、売切販売ではなく「地域サポーター制度」を新たに創設、全国各地の地方農家間のシェアリングシステムを通じて、小規模農家の負担を最小限に抑えながら省人化ロボットを提供予定。費用を抑えながら無農薬や有機農法の導入・転換を促進すると同時に、経営リスクの分散を後押しすべく、同実証実験にエリアを代表する方を “地域サポーター“として任命し、小規模農家の参加負担を抑えるために域内の複数の農家間で1台の「ミズニゴール」をシェアレンタルできる制度を採用する。地域サポーターを中心にロボットの管理・メンテナンス支援を行い、機械に不慣れな高齢者や栽培・生産などの農作業に集中したい農家をサポートするだけでなく、地域を支援することで地域サポーター自身にも対価が得られる仕組みを採用し、持続的な地域の雇用促進と収益化に繋げる予定だ。


▼説明会の開催

開催日程 2月15日(水)10:30〜12:00、2月20日(月)14:00〜15:30
開催内容 ミズニゴール2.0の製品及び地域サポーター制度のオンライン説明会
参加申し込み https://bit.ly/HATAKE_Hottoke_Mizu20



▼ミズニゴール2.0概要

製品名 ミズニゴール2.0
仕様 GPS自動運転型/ラジコン型(共にバッテリー駆動)
重さ 8kg
サイズ W(幅)77cm×H(高さ)40cm×D(奥行)130cm
提供対象 全国の農家・自治体・農業関係機関様
申込受付期間 2023年2月6日(木)~ 3月31日(金)
募集予定数 50台
※先着順受付。予定数を上回った場合はキャンセル待ち。
参加費
参加費 ¥30,000~¥300,000(税別)
※使用面積・規模等によって変動、想定期間:2023年4月~7月想定



■【動画】ミズニゴール開発者インタビュー

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ロボスタ編集部

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