ロボットの操縦をAIが代替!大分高専学生がAIによるロボット制御技術を開発、高専ロボコンで準優勝

大分工業高等専門学校ロボット研究部では、これまでに展示品制作やコンテスト出場を通してロボットに関わる技術開発や研究を行っており、より高度な技術を取り入れていく中で、 AI(人工知能)を活用したロボット制御技術を開発。

同AI制御技術を搭載したロボットにて、「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」に出場し、地区大会を優勝。2022年11月27日に開催された全国大会では準決勝まで毎試合Vゴールを実現し準優勝を果たした。

同AI制御技術は、令和5年1月10日放送の「イブニングプラス」(OBS 大分放送)、令和5年1月15日放送の「ライオンのミライ☆モンスター」(フジテレビ)でも取り上げられた。

【大分工業高等専門学校について】
同校は、昭和38年に設立された国立の高等教育機関だ。機械工学科、電気電子工学科、情報工学科、都市・環境工学科の4つの学科と、平成15年に設置した機械・環境システム工学専攻、電気電子情報工学専攻の2つの専攻科を有しており、これまで本科卒業生・専攻科修了生合わせて約8,200名を輩出。「地域共創テクノセンター」や、本校の技術振興会である「大分高専テクノフォーラム」をはじめとして地域との連携や地域産業への貢献という役割を担いながら、「人間性に溢れ国際感覚を備え、探求心、創造性、表現能力を有する技術者の養成」に取り組んでいる。


AI制御技術について

これまでにロボット研究部が開発してきた制御は、【人間がコントローラで操作する】【モーターの回転数などから見積もった移動量に基づいて自動で駆動する】といったものだった。
これに対し、今回開発したシステムは、これまでの技術をベースとして、人間とAIが協同し人間が足りない部分をAIが補うというものになる。同AI制御システムは、物体を狙った場所に飛ばすということを目的として構築されており、処理としては、以下の3工程の流れになっている。

1. ロボット上部に設置されたスマートフォンで前方の様子を撮影
2. スマートフォン内部に実装した深層学習(ディープラーニング)によるAIが、撮影したカメラ画像から物体の軌道と着地位置を解析
3. その結果を射出機構にフィードバックし、次の射出で自動調整

たとえば、ターゲットと物体の着地位置との間にずれがある場合、そのずれがどの程度か解析し、モーターの出力と射出角度を調整することが可能となり、同システムを用いることで、AIが射出機構を自動で制御し、人間の操縦者は別の操作に集中することができるようになる。

左:撮影画像、右:物体の軌道解析結果


AI制御技術の実力

同AI制御技術を搭載したロボットが「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」(通称、高専ロボコン)に出場した。今年の競技課題は、紙飛行機を狙った場所に乗せ、その得点を競うというもので、すべての得点箇所に乗せることで「Vゴール」という特殊勝利のルールがある。同校は、4つある射出機構の1つを今回開発したAI制御が担当し、操縦者を1人増やす形でVゴール達成へ挑んだ。その結果、高い着地率を達成し、地区大会を優勝、全国大会では準決勝まで毎試合Vゴールを実現し準優勝。これは、AIが得意とする近距離の的への正確な射出と、人間が状況に応じた判断・操作の組合せにより実現できたことだ。

同開発に携わったロボット研究部の学生

ロボット研究部は、何度も高専ロボコンに参加してきましたが、今まで一度も全国大会優勝はありませんでした。今大会こそ優勝したかったのですが、惜しくも準優勝という形になりました。次の大会である2023年度大会では、今まで培ってきた技術を全て注いで、全国大会で優勝できるように頑張ります。



■【動画】【高専ロボコン2022全国大会】11/27(日)11時45分配信開始

※Vゴールを達成した全国大会準決勝の様子/令和4年12月24日放送「NHK アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2022(高専ロボコン2022)」より


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ロボスタ編集部

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