既に富士通はこれまで、FIA世界耐久選手権「FIA World Endurance Championship」(WEC)に参戦するトヨタのワークスチーム「TOYOTA GAZOO Racing」(GAZOO)に2022年より協賛、AI技術を活用したGAZOO Racingの映像データ分析プログラムの開発を支援してきた。
スパ・フランコルシャン6時間で新しい映像データ分析を投入
この度、GAZOOは、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで4月27日から29日に開催された「スパ・フランコルシャン6時間レース」より、新しい映像データ分析プログラムの適用を開始した。
このプログラムを活用することで、GAZOO Racingは、レース車両に取り付けたカメラから取得した映像データをもとに、刻々と変化するレース状況に応じて柔軟に戦略を見直すことが可能になる。なお、本プログラムは6月7日から11日にフランスで開催予定の「ル・マン24時間レース」でも適用予定だという。
富士通は「モータースポーツの領域において、デジタル技術の活用により、レースの勝利に加え、ファンエンゲージメントの強化やサステナブルなレース運営にも貢献していきます。本取り組みで得られたテクノロジーと知見を活かし、走行中の車両周辺の物体を識別する技術を向上させ、今後、自動運転の開発や、歩行中・横断中の人の認識率向上を支援することで、安心安全な交通社会やスマートシティの実現に向けて取り組んでいきます」とコメントを寄せている。
レース状況に応じたタイムリーな戦略をAIが支援
WECの最高峰クラスの「Hypercar」で競うGAZOO Racingは、かねてよりレースで勝利するためのデータ利活用を重要視しており、車両に取り付けた数百のセンサーからリアルタイムに情報を収集し、ピットに配信されたデータを実際のレースで戦略に活用している。しかし、車載カメラの映像データをレースに活用するには、人手によるデータ検索や映像分析作業が必要だった。レース状況に応じたタイムリーな戦略を検討するため、リアルタイムに映像データを解析する必要があり、武士通はAI技術を用いてGAZOO Racingの映像データ分析プログラムの開発を支援した。
映像データ分析プログラムの概要
今回、GAZOO Racing向けに開発を支援した映像データ分析プログラムの適用により、車載カメラの映像データをリアルタイムに分析し、車両周辺の状況を可視化できる。また、日中だけではなく、夜間や悪天候の場合でも映像を正確に分析できるようAIの設定パラメータを最適化することで、耐久レースであるWECに適応し、瞬時にレース戦略へ活用することが可能となったという。