初の巨大ロボットアニメ『鉄人28号』の放映から60年。日本独自のジャンルである「巨大ロボットアニメ」のデザインとその映像表現の歴史を紐解き、「巨大ロボットとは何か」を問いかける、かつてない展覧会『日本の巨大ロボット群像』が2023年9月から、福岡市美術館、横須賀美術館で開催される。
「巨大ロボットとは何か」を観客とともに考える展覧会
架空のロボットが登場するアニメーション(ロボットアニメ)は、いまや日本の大衆文化の一角を占めており、横浜に登場した「動くガンダム」を始めとする架空の「実物大」ロボットが日本の主要都市に存在し、それらは今や日常的な風景となっている。
『鉄人28号』(1963年)をロボットアニメの嚆矢として、その後『マジンガーZ』(1972年)の大ヒット、そしてロボットアニメの流れに新風を吹き込んだ『機動戦士ガンダム』(1979年)の影響下、今日に至るまで多数のロボットアニメが制作され、魅力的なロボットがデザインされてきた。
他の国のアニメーションには見られない、独自の進化と広がりを見せてきたそのデザインの変遷には、空想上の荒唐無稽なロボットという存在に映像的な「リアリティ」を与えるためのデザイン上、設定上の創意工夫が凝らされ、ファンを魅了してきた。
開催が発表された『日本の巨大ロボット群像』は、『鉄人28号』から近年のロボットアニメにおけるロボットのデザインと映像表現の歴史を、それらの「リアリティ」形成において重要な役割を果たした設定上の「メカニズム」と「大きさ」を軸に検証。その上で、「巨大ロボットとは何か」を観客のとともに考える展覧会となっている。
展覧会『日本の巨大ロボット群像』開催概要と見どころ
1:巨大ロボットの「メカニズム」に注目
主人公のロボットへの「搭乗」、そして「合体」、「変形」は巨大ロボットの、いわば「お約束」。玩具展開を前提としたデザインには工夫が凝らされているが、そのデザインに隠された「メカニズム」には、それなりの合理性がある。本展では、そうしたメカニズムの魅力を、デザイン画やアニメ劇中の場面などから制作した造作物によって伝える。
2:気分はパイロット? ロボットの「大きさ」を体感
巨大ロボットの「大きさ」は、アニメ劇中にていかに表現されてきたか?1980年代になると、巨大なロボットは実用機械レベルに小さくなり、同時にその表現はリアリティを増す。現実にありそうなそうしたロボットたちの一部分(あるいは全部)を、劇中で設定された通りの大きさに引き延ばしたらどう見えるか? アニメの登場人物になった気分で鑑賞してほしい。
3:「内部メカ」にもえる
架空のロボットが、あたかも本当に存在するかのように、「内部透視図」が描かれてきた。装甲の裏側、そして隙間にのぞくメカは、架空メカの「実体化」への欲望なのか、制作者のフェティシズムか? 現在ではプラモデルや玩具でも当たり前のように内部メカが再現されることが多くなったロボットの「内部」に注目する。
4:メカニックデザイナー・宮武一貴による圧巻の巨大絵画を展示
スタジオぬえの宮武一貴氏が巨大ロボットをテーマとした、描きおろしの巨大絵画を本展のために制作。美術館ならではの大画面で、宮武氏の描くロボットワールドを堪能してほしい。
開催概要
展覧会名 | 日本の巨大ロボット群像 - 巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現- (英訳)Giant Robots: The Core of Japanese Mecha Anime |
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巡回会場・会期 | 福岡市美術館 2023年9月9日~11月12日 横須賀美術館 2024年2月10日~4月7日 以降、京都(2024年夏)など追加巡回を調整中。 |
企画協力 | 廣田恵介、タルカス(五十嵐浩司) |
チケット
チケットはARTNEチケットオンライン(https://artne.jp/tickets)、チケットぴあ(Pコード:686-520)、ローソンチケット(Lコード:83534)にて6月20日(火)10時~発売。
またチケットぴあ限定のお得な図録付きチケットは6月30日(金)10時~数量限定販売される。