アクセンチュア株式会社は、国内最大のPR(パブリックリレーションズ)グループの株式会社ベクトルから、同社の子会社である株式会社シグナルを買収することに合意したことを発表した。
アクセンチュアは、クライアントからのPR業務(広報関連業務)のニーズに応えるため、ベクトルグループの中でも、インフルエンサーマーケティングやソーシャルに特に強みがあるシグナルを傘下に収めることにした。
広報、クチコミ、SNS戦略を強化
シグナルは、PRの視点から、ソーシャル、インフルエンサーマーケティング、広告運用、市場調査やウェブサイト構築など、多彩なマーケティング手法を組み合わせた統合マーケティングサービスを展開している。
アクセンチュアは、シグナルが持つ専門性とアクセンチュアが提供するマーケティングサービスを組み合わせることで、企業のマーケティング変革に求められるあらゆる機能を網羅したサービスを一気通貫して提供できる体制を強化、顧客のマーケティング投資対効果の最大化に貢献する考え。
今後、シグナルが擁する約100名の社員は、アクセンチュアのマーケティング オペレーションズチームに加わることになる。
「PESOモデル」の「E」を充実してマーケティングサービスを総合的に提供
取材記事、口コミサイト、ソーシャルメディア、自社サイトなどから、オンライン広告や伝統的な広告媒体にいたるまで、さまざまなチャネルから発信する情報を全方位で把握し、顧客の最適なマーケティング活動への変革を支援する体制のさらなる強化を図る、としている。
同社広報によれば「PESOモデル」において「E」(Earned Media)を補完することが第一の目的となるという。「PESO」とは、マーケティング用語でよく使われるペイドメディア、アーンドメディア、シェアードメディア、オウンドメディアの略称。アーンドメディアは、クチコミやSNSなど第三者目線での情報、報道や取材の情報などをさす。
同社はアーンドメディアを強化することで、「PESOモデル」を高品質で総合的にクライアントに提供できる、としている。
両社のコメント
アクセンチュア株式会社 代表取締役社長 江川 昌史氏は次のように述べている。
江川氏
アクセンチュアでは、お客様の財務指標領域だけでなく、非財務指標領域についても包括的な価値を提供する「360°バリュー」の推進を重要な戦略として位置付けています。この360°バリューの構成要素の一つに「優れた顧客体験」の創出があります。シグナルが持つマーケティング領域での高い専門性は、この要素で確固たる競争優位を築く上で欠かすことができません。シグナルとともに、比類なき顧客体験を創出できる体制の強化を図り、ひいてはお客様の全社変革のさらなる加速に貢献してまいります
また、株式会社シグナル 代表取締役 草場 大輔氏は次のようにコメントしている。
草場氏
当社は2005年の創業以来、お客様および一般消費者の利益を念頭に置き、既存の手法に満足することなく、常に新たな『プラスアルファ』を組み込んだコミュニケーション手法を模索して事業領域を拡大してきました。企業や社会がコミュニケーションに期待する役割が大きく変化する中では、課題の本質を見極めたコミュニケーションの設計が求められます。アクセンチュアは、まさにこの課題の本質を見出し、その解決に向けた成果につなげることができる企業です。アクセンチュアとともに歩むことで、我々が提供するサービスにさらに大きなインパクトを与え、『社員・お客様・社会すべてにとっての豊かさ』の創造に貢献していきます
この合意は、商習慣に基づく完了条件に従って実行される。