アクセンチュアが最新調査を発表 経営幹部は業務の回復力強化にAI活用を最優先 成長のための5つの重要な取り組みとは

アクセンチュアの最新調査によると、企業の73%が、他のデジタル領域よりもAIへの投資を最優先事項であるとしており、前例のない環境下における業務オペレーションの回復力(レジリエンス)強化が喫緊の課題となっていることが分かった。


オペレーションの成熟度によって営業利益率が1.4倍高い結果に

アクセンチュアの最新調査レポート「企業オペレーションの再創造(Reinventing Enterprise Operations)」によると、企業の意思決定者のうち90%が「オペレーションのレジリエンス強化に向けてさまざまな領域でAIを活用している」と回答した。

活用の範囲は、財務(89%)やサプライチェーン(88%)などにおけるデータ駆動型の業務運用から、ジェネレーティブ(生成)AIの実証にまで及んでいる。

アクセンチュアは、調査にあたり、AI、データ、プロセス、人材、コラボレーション、利害関係者のエクスペリエンスという6つの領域にわたって企業におけるオペレーションの成熟度を評価。その結果、全領域で最高レベルの成熟度を実現している企業は、わずか9%のみであることが分かった。こうした企業は、同業他社に比べて、平均して営業利益率が1.4倍高く、イノベーション創出のスピードが42%速いほか、エネルギー消費量が34%低く、顧客エンゲージメントが30%高いという特徴を有している。

アクセンチュアでオペレーションズ担当グループ・チーフ・エグゼクティブを務めるユスフ・タヨブ(Yusuf Tayob)氏は、次のように述べている。

ユスフ・タヨブ(Yusuf Tayob)氏

すべてのCEOにとって、より迅速なデジタル化、レジリエンスの強化、新たな成長戦略の策定は急務となっています。こうした中、人材やデータ活用、プロセスを強化しながら、テクノロジーへの適切な投資を行うことが、新たな領域でパフォーマンスを発揮するためのカギとなります。


「今後3年間で専門的なテクノロジー人材の増員を計画」90%が回答

アクセンチュアが実施した、CEO(最高経営責任者)とCHRO(最高人事責任者)を対象にした調査によると、データ、テクノロジー、人材を最適に組み合わせた企業は、そうでない企業と比べて、生産性の向上率が約3倍となった。

こうした調査結果に続き、今回の調査では、対象者の94%は「新しい働き方へ投資する」と回答しているほか、調査対象者となったCOO(最高執行責任者)やCIO(最高情報責任者)、CHROのうち90%は「今後3年間で専門的なテクノロジー人材の増員を計画している」と回答している。

企業の意思決定者は、こうした成長の機会を捉えるため、業務オペレーションの進化や新たな領域でのパフォーマンス向上に向けて、以下5つの取り組みを進めることが必要となる。

1:AI・自動化がもたらすエクスペリエンスを身近にする:エクスペリエンスを起点とした成果の創出や、従業員や顧客との関係の円滑化に向けて、新たなユースケースを作成する。

2:データに基づく決断力を磨く:データの生成、収集、活用に関する戦略を定義した上で、意思決定の指針となる効果的な洞察を得るために議論を促し、偏見を取り除く。

3:業務プロセスの最適化を図る:現行プロセスを可視化し、AIによる洞察を活用してさらなる効率化を図りつつ、業務シナリオの変更をシミュレーションしてプロセス最適化を図る。

4:労働環境に俊敏性を備える:労働環境に俊敏性をもたらす戦略を実行し、従業員がニーズに応じてテクノロジーツールを選択できるようにする。

5:全方位型の価値(360°バリュー)創出:価値創出の在り方を総合的に捉えた上で、顧客や従業員、エコシステムパートナーのデータから得られる洞察を全社で活用できる環境をゼロから構築する。


調査について

アクセンチュアは、「企業オペレーションの再創造」の作成にあたり、日本を含む12カ国、15の業界における1,700名の経営者(うち72%が上級役職者)を対象に調査を行った。

調査では、業務オペレーションの成熟度を測定し、先進的な働き方に向けたAIやデータ、クラウドの活用状況を評価。また、該当する場合は、2021年の調査結果と比較した。

さらに、調査結果と外部の検証データを組み合わせ、財務のみならずエクスペリエンス、サステナビリティ、人材、インクルージョン&ダイバーシティ、イノベーション、組織の俊敏性に至るまで、さまざまな観点で分析した。

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