仙台で経産省「ロボットフレンドリーな環境」構築支援事業 複数階の縦横移動や衝突回避、マーカー共有などを森トラストやSBRなど4社で検証

森トラスト、ソフトバンクロボティクス、Octa Robotics、三菱HCキャピタルの4社が実施する研究開発事業が経済産業省による補助事業「令和5年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に採択された。

今回の採択を受けて、4社は、あらゆる施設におけるサービスロボットのスムーズな運行を可能とする「ロボットフレンドリーな環境(ロボフレ環境)」の構築に向けて、ホテルやオフィス、商業施設を含む複合施設「仙台トラストタワー」において、複数階の移動を伴う清掃業務や食品(お弁当・コーヒー・ランチBOX)のデリバリーサービスなどの業務にロボットを実装することで、その効果や運用上の課題、経済性の検証を行うとしている。

具体的には、エレベーターや自動ドアなどの施設内のロボットの縦横移動や、ロボット同士が協調し衝突などを避ける方法、ロボットの自己位置認識のためのマーカーの共有化などを総合的に検証など、実用化を見据えた検証やレベルの定義・策定をおこなう。

仙台トラストタワー(写真内、右側のビル)


2021年から「ロボフレ環境」の構築・整備を4社で推進

昨今、さまざまな産業分野において、人手不足や非接触サービスへの対応などを想定したロボット活用に期待が寄せられている。一方で、第三次産業におけるロボットの導入は、ロボフレ環境の構築・整備や低コストでの導入にむけた仕組み作りなどが課題となっている。

森トラストは、2019年度に経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が立ち上げた「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」に参画し、ロボットの社会実装には物理環境(段差、通路幅、床・壁材、照度、通信環境等)の標準化が重要な課題の1つであることを認識し、2021年9月より4社によるロボフレ環境の構築にむけた研究開発を開始した。


2023年度は「仙台トラストタワー」で高度な「ロボフレ環境」検証を実施

2022年度までの実証においては、ホテルやオフィスといった単一用途の施設を対象に、ロボットの走行や作業に影響を与える物理的な環境特性に関するレベル分け(ロボフレレベルの定義)を行い、ロボフレ環境を整備するうえでの有効性と経済性の検証を行った。

3期目となる2023年度は、検証施設の範囲を広げ、さまざまな用途で使用される複合施設を対象に、エレベーターや自動ドアなどの施設内のロボットの縦横移動や、ロボット同士が協調し衝突などを避ける方法、ロボットの自己位置認識のためのマーカーの共有化などを総合的に検証するとしており、実装に近い形で検証を行うことで、さまざまな施設に汎用的に適用可能なモデルの構築を図る。

今後は、ロボットフレンドリー施設推進機構等と連携し、今回の検証結果をサービスロボット導入に関わるさまざまなパートナーと共有できるガイドラインとして提言することで、サービスロボット導入の加速に貢献するとしている。


今回の研究開発について


森トラストは、不動産開発から管理運営までを一貫して行っており、ビル・ホテルに関するハード面や運営面での知見を有しています。さらに、サービスロボットを利用した実証実験や導入実績により蓄積されたノウハウを生かして、今回の研究開発を主導する。

また、ソフトバンクロボティクスの多岐にわたるサービスロボットの開発、およびさまざまな現場への導入実績、Octa Roboticsの標準化力とサービスロボットの開発力、三菱HCキャピタルのロボット分野における強固なパートナーシップやソリューション構築力などの強みを生かし、ロボフレ環境の整備、持続可能な社会の実現に貢献する。

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ロボスタ編集部

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