自動運転バス「MiCa」がレベル4 相当での運行に成功 約千人が乗車体験 BOLDLYと神戸市
BOLDLYは、神戸市からの委託を受け、2023年9月23~29日にかけ神戸市須磨区の須磨海岸周辺において、自動運転レベル4に対応可能なエストニア・Auve Tech社製の自動運転EV「MiCa」の一般市民向け体験乗車会を実施し、累計で千人以上が乗車した。
体験乗車会では、須磨海岸の敷地内の片道1.2km(往復2.4km)のルートにバス停を3カ所設け、1日に24便を運行。今回は神戸市の管理用道路で自転車・歩行者も通行する歩車混在の交通環境だったが、自動での障害物回避は1往復当たり平均約5回行われた。
期間中の自動運転率は99.3%となり自動運転レベル4相当での運行に成功した。なお、歩車混在空間で「MiCa」の実証運行を行ったのは国内初(2023年10月4日時点・BOLDLY調べ)となり、期間中累計1,079人が乗車して、観光などの移動手段として利用された。
体験乗車会の概要
体験乗車会の会場となった須磨海浜水族園・海浜公園は、神戸市による再整備が進められており、2023年9月1日に須磨海浜公園の西半分と、にぎわい施設「松の杜ヴィレッジ」がオープン。神戸市は、エリア一帯を広く楽しんでもらうための取り組みの一環、また将来的に須磨駅と須磨海浜水族館を結ぶルートにおける自動運転車両の定常運行に向けた検討を進めるために、体験乗車会を開催した。
体験乗車会の概要
運行期間 | 2023年9月23日~29日 |
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運行ルート | 須磨駅~中央広場〜東広場 ※定員:8人(係員含む)/ 便 |
乗車料 | 無料 |
自動運転率 | 99.3% |
乗客数 | 累計1,079人 |
障害物回避機能による自動運転レベル4での公道走行に向けた大きな一歩
今回のルートは、神戸市が管理する管理用道路であり公道ではないものの、漁業関係の車両や自転車・歩行者が通行する歩車混在の交通環境だった。「MiCa」は障害物回避機能を備えているため、係員が操作することなく、スムーズに障害物を回避することができ、今後の公道での自動運転レベル4の運行に向けた大きな一歩を踏み出すことができた。
障害物回避機能は、車両に搭載したLiDARセンサーで経路上の障害物を検知した場合に、事前に設定した範囲内で、障害物を自動で回避できるが、今回は案内などの役割を担う係員1人を車内に配置して運行を行った。
障害物回避は1往復当たり平均約5回行われ、避ける際のルートや加減速は自然な挙動を実現。期間中の自動運転率は99.3%となり、自動運転レベル4相当の運行に成功した。
シンプルなインターフェースの操作用タブレットにより、業務負荷を軽減
「MiCa」の車内にはシンプルなインターフェースを搭載した操作用のタブレットが備えられており、画面上のプルダウンメニューから行き先を選択して速度調整バーを上げるだけで、自動運転による走行を開始できる。走行中は速度調整バーを上下させることで任意の速度に変更することができるなど、簡単な操作で自動運転バスの運行に関する業務を行うことができ、今後これらの業務を担っていく地域の交通事業者にとっても、使いやすいインターフェースとなっている。
なお、「MiCa」は車内のコントローラーで手動運転を行うことができるが、今回は車庫入れなどの一部の場面に限って利用した。
走行速度は時速12km、今後は20kmでの運行も検討
今回のルートは、一部区間で凹凸のある路面を通過することや、乗客にビーチの景色をゆっくりと楽しんでもらいたいという観点から、最大時速を12kmに設定して片道10分弱で運行した。
体験乗車会の期間中、同区間を走行する他の車両は時速12km以上で走行していると見られたことや、「MiCa」の障害物回避機能が十分に有効で安全に運行できることを確認できたことから、速達性を高めるために、今後は須磨海岸において最大時速20kmでの運行も検討していく予定としている。
乗客へのアンケート結果
乗客へ乗車後にアンケートを実施した結果、須磨海岸内の移動手段として「MiCa」を「利用したい」または「やや利用したい」と回答した人は、合わせて93.4%にのぼった。
また、乗車することで須磨海岸での滞在を「魅力的に感じる」または「やや感じる」と回答した人は、合わせて92.3%となり、須磨海岸での「MiCa」の運行は、乗客から非常に好評であるとともに観光面での期待も大きく、市民にも好意的に受け入れられる可能性が高いことを確認できた。
その他、走行中に乗客からは、発車・停車時の動きがスムーズで乗り心地が良いという声も多くあった。
BOLDLYは今後、自治体や地域の交通事業者などと連携しながら、須磨海岸での自動運転車両の定常運行および地域活性化を目指すとともに、レベル4の自動運転サービスの実現に向けて取り組んでいくとしている。