日本IBM、四足歩行のAI搭載ロボット「スポット」で空港警備業務の調査事業と実証実験を中部国際空港で実施へ

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、中部国際空港でボストン・ダイナミクス社の四足歩行ロボット「Spot」を活用した警備業務の調査事業と実証実験を他社と協働で実施する。
調査事業では人による警備業務の一部にAI搭載ロボットを活用することで、収集した画像データの活用による警備計画の高度化、警備業務の省力化、警備員の労働環境改善を図り、警備人材不足の解消を目指す。(冒頭の画像は東北エンタープライズ社のホームページより引用:SPOT活用のイメージ)


空港等の警備業務におけるAI搭載ロボットの導入に関する調査・実証

日本IBMは、内閣府「先端的サービスの開発・構築や先端的サービス実装のためのデータ連携等に関する調査事業(2次募集・全国対象)」に採択され、「空港等の警備業務におけるAI搭載ロボットの導入に関する調査・実証」を2023年11月に事業代表者として受託し、愛知県などと調査事業を実施している。
その一環として、愛知県が推進している「あいちデジタルアイランドプロジェクト」の対象エリアにある中部国際空港で2024年1月18日から2024年1月19日と2024年2月15日から2024年2月16日までの2回、実証実験を実施する。

これは愛知県が、中部国際空港島及び周辺地域を先端的なデジタル技術を活用したオープンイノベーションフィールドとして位置付け、2030年に世の中での普及が見込まれる近未来の事業・サービスを、当エリア内において先行して実用化することを目指すプロジェクト。

空港などの警備業務は、天候や気温に関係なく24時間体制での対応が不可欠。定期的な見回りでは、危険の検知や不審物の発見に、見回るポイントや瞬時の判断などの注意力や経験値が求められ、負荷が高い労働環境のため警備人材の不足が課題となっているという。


ボストン・ダイナミクス社のSpotが警備業務を遂行

中部国際空港で実施する実証では、AI搭載ロボットに株式会社東北エンタープライズが提供するボストン・ダイナミクス社のSpotを採用。空港における現在の警備業務やその負担を整理した上で、ロボットで代替可能な業務の検討、実証を通じた効果の把握などを検証する。また、ロボットによる警備で収集できるデータの検討や、その活用で警備業務の高度化を検討していく。
さらに、空港周辺の公道等においても使用する場合の道路交通法上の取扱いについて検討し、AI搭載ロボットの活用場面の拡大を検討していく。

■SPOT @ NARREC 2021

■Meet Spot, the Trusted Tool for Industrial Inspection | Boston Dynamics


実証内容


空港制限エリア

場周フェンス及び護岸上の目視確認を「Spot」で代替することが可能かを検証。 代替する目視確認の内容は、次の4項目。
1.設備の破損・劣化  2.不審者の有無
3.護岸に接近する船舶の有無  4.鳥類の有無


旅客ターミナルビル

連絡通路では、次の4項目を検証。
1.自動走行可能か 2.不審物検知ができるか(荷物置き去り)
3.人(関係者)が歩いている中で Spot が自動走行できるか
4.一般の方の Spot への社会的受容性調査(ヒアリング)

降車レーンでは、次の項目を検証。
公道上の自動走行若しくは横断歩道を渡る自動走行。(注)検証内容が変更になる可能性がある。
【旅客ターミナルビル】での実証実験は一般の人も見学できる。




各社の役割

日本アイ・ビー・エム株式会社(幹事)
 事業全体の管理、推進
日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社
 調査、実証の計画、実施、評価、取りまとめ
株式会社東北エンタープライズ
 Spot の提供、技術支援を実施
中部国際空港株式会社
 実証実施エリアの提供、実証内容の統括的アドバイス、実証結果の統括的評価
 一般財団法航空保安協会 屋外警備における実証内容のアドバイス、実証結果の評価
株式会社全日警
 施設内警備における実証内容のアドバイス、実証結果の評価
愛知県
 愛知県内各主体間の調整、規制改革に関する調査支援、道路使用許可等に係る愛知県警との調整
常滑市
 地域内調整、規制改革に関する調査支援

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ロボスタ編集部

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