ルート最適化エンジンのNVIDIA cuOptは、これまでの3年間で20を超える世界記録を塗り替えてきており、最大規模のベンチマークのすべてでトップの座を守っている。
これにより産業界のあらゆる分野で効率的な費用削減を実現できるようになる。
cuOptの一般提供を開始
GTC2024において、NVIDIAの創業者でCEOでもあるジェンスン フアン (Jensen Huang)氏は、cuOptの一般提供を開始することを発表した。フアン氏は
NVIDIA 創業者/CEO ジェンスン フアン氏
cuOpt を通じて、NVIDIA はロジスティクスの管理とオペレーションの研究を再発明しています。それを支えるのは NVIDIA のプレ量子コンピューターであり、これによって、配送、修理サービス、倉庫と工場、ならびにサプライ チェーンのオペレーション効率が画期的に向上しています
と述べている。
NVIDIA AI Enterpriseソフトウェアプラットフォームに組み込まれているNVIDIA cuOptマイクロサービスにより、リアルタイムの動的ルーティング、工場最適化およびロボティックシミュレーションを実現する、高速化された最適化があらゆる組織で利用できるようになる。
企業は、高度な3DアプリケーションおよびOpenUSDをベースにしたパイプラインを開発および展開するためのソフトウェアプラットフォームである、NVIDIA Omniverseを使って開発された、先進の3Dツール、アプリケーションおよびUSDベースのワークフローにcuOptを組み込むことができる。
cuOpt、OmniverseおよびNVIDIA Metropolis for Factoriesをすべて実装することで、自動車工場や半導体製造工場、倉庫といった複雑なオートメーション、正確なマテリアルフロー、および人間とロボットの相互作用に依存している、物流の多い施設では、安全環境の最適化および整備ができるようになるとしている。
cuOptは、ルート最適化のための最も研究されたベンチマークで、高い評価を受けているソリューションに対して継続的にテストされており、CPUベースの実装の最大100倍の速度という結果を出している。
Gehring&Hombergerの車両ルーティングベンチマークでは15の記録をLi&Limの集配ベンチマークでは8つの記録を樹立したcuOptは、世界最高の正確さを最速のタイムで達成。AIの利用により、輸送ネットワークから製造、その他分野でロジスティクスの効率性が高まることが期待されている。
cuOpt を使った点検により、費用削減を実現
川崎重工は、はSlalomと提携。AIを活用して「Kawasaki Track Maintenance Platform」を自社で開発。cuOptを使い、ルーティング効率を向上させている。
鉄道線路の保守では、全世界でAIの活用が主流になりつつある。従来、線路の点検と保守は時間がかかり、電車を時間どおりに運行させるための管理が大変だった。その反面、鉄道の安全性と輸送サービスに対して線路の保守はきわめて重要な作業でもある。鉄道会社はデジタルカメラ、レーザーおよびジャイロセンサーを組み合わせたAIと機械学習によって、線路点検を自動化しようとしている。
川崎重工はNVIDIA Jetson AGX Orinのエッジコンピューティングを利用し、自社のTrack Maintenance Platformを通じて、電車が運行中に線路を点検する方法を開発している。このプラットフォームを使うことで、線路上で収集されたデータの活用してビジョンモデルを改善し、エッジベース AI システムの点検機能を強化することができるようになる。
Track Maintenance Platformにより、メンテナンスチームは線路状態についてのデータを得られるようになり、その結果、修理の優先順位付けができるようになるとともに、業務の安全性と信頼性を高めることができる。
尚、川崎重工業によれば、このようなAIシステムを活用した自動線路点検により、7つの会社で年間2億1,800万ドルの節約ができるようになると試算している。
cuOptとOmniverseで製造効率を改善
自動車シート製造の世界的リーダー企業では、OmniverseとcuOptを活用した、SyncTwinのデジタルツイン機能を導入し、AIによって業務を改善している。
この世界的自動車シートメーカーは、原材料を搬入するためのローディングドックと、それら原材料を積み荷から降ろして保管および荷さばきエリアに運ぶためのフォークリフトを網羅した、大規模なネットワークを構築して、生産ラインへの供給が確実に維持されるようにしている。SyncTwinでのcuOpt 導入により、車両からロボットを使ったハンドリフトに至る、これら可動部分のすべてが最適化され、ルーティングの効率が向上している。
SyncTwinのソリューションはOmniverseとUSDがベースに開発されており、メーカーではさまざまな工場計画ツールを活用して、充実したデジタルツイン環境を構築できるようになっている。さらに、面倒な手作業によるデータ収集作業が不要になり、これまで接続されていなかったデータから新しい洞察が得られるようになっている。
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