■「サステナブル」+「ハイテク」=「スシテック」!?
ロボットはしばしば「未来の象徴」としての役割を任せられることがある。2024年4月9日、「SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム」のコンテンツ発表に関する記者会見が東京・有楽町にある「SusHi Tech Square」で行われた。東京都が4月27日から5月26日、およそ1ヶ月間にわたって東京の湾岸エリア・お台場で開催するイベント「SusHi Tech Tokyo 2024」の見所が紹介された。
「SusHi Tech Tokyo 2024」は「未来の東京を体感できるイベント」。「SusHi Tech(スシテック)」とは「Sustainable High City Tech」の略称。「サステナブル」と「ハイテク」、「この二つの言葉を握るとスシ」(小池都知事)。要するに「サステナブルな未来をハイテクで実現する」という意味が込められている。
5大陸の都市リーダーが集まる「シティ・リーダーズプログラム」、スタートアップエコシステムとの出会いを創出するカンファレンス「グローバルスタートアッププログラム」に加え、2024年には新たに「ショーケースプログラム」という体験型イベントが実施される。日本科学未来館にて4月27日から始まる展示を皮切りとして、イベント期間中のお台場では様々なイベントが行われ、その一部にはロボットも登場する予定だ。
■4会場で異なる展示が開催
入場料は無料。ショーケースプログラムは、4つの会場で、それぞれ異なる開催時期で、異なる展示が行われるので注意が必要だ。主なスケジュールと内容は下記のとおり。
・日本科学未来館 4/27-5/26(5/7、14日は休催)
<未来を作る発明を体験する場> 46コンテンツ
・シンボルプロムナード公園 5/12-26日
<食を中心に、江戸から未来を楽しめる場> 21コンテンツ
・海の森エリア 5/12-21日
<最先端技術が集積する場> 33コンテンツ
・有明アリーナ 5/17日-21日
<体験・共感を生む発信の拠点> 25コンテンツ
会場はお台場エリア全体にわたっている。5月12日-21日のあいだは、各エリア間を無料周遊バスが約15分感覚で運行してつなぐ。
ロボットは、主に日本科学未来館と有明アリーナに出展される予定だ。「日本科学未来館」では新たに開発された未来と伝統を掛け合わせたEV山車「ツナグルマ」のほか、ロボットの掛け合いによるプレゼン、本誌でも以前紹介した変形巨大ロボット「ファイバリオン」、「キッズウォーカー・サイクロプス」などが紹介される予定だ。
「ツナグルマ」は高さ7m以上あり、未来館だけではなく、会場全体を移動するという。
「有明アリーナ」では、ツバメインダストリの搭乗可能4m級ロボット「アーカックス」のほか、RDS+fuRoが共同開発したプラットフォーム型モビリティ「Raptor」、超人スポーツプロジェクト・スケルトニクスによる「R-FIGHT」、その他アシストスーツなどが紹介される。
また、全長2kmの「シンボルプロムナード」ではサステナブルマルシェのほかモビリティ乗り比べ体験、「海の森エリア」ではドローンの実演や展示、海ゴミ清掃ロボットの紹介が行われる。
テクノロジー関連の展示情報の詳細はこちらに掲載されている。
■「空飛ぶクルマ」も東京上空を初飛行予定
4月9日に行われた記者会見では、東京都知事の小池百合子氏が「SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム」について、「環境、エネルギー、食をテーマに都市の持続可能性を探るイベント」だと紹介した。「新しいイノベーションのタネが この東京から生まれている。ベイエリアの会場を舞台として新たな未来の都市像を発信する3つのプログラムを実施する。誰でも参加して頂けるショーケースプログラムの一端を紹介したい」と語った。
イベントでは各種次世代モビリティに加えて自動運転の車両走行、ロボット、AI関連技術など様々な未来のテクノロジーが紹介されるほか、東京の空を初めて「空飛ぶクルマ」が飛行する予定だ。そのほか、植物由来のサステナブルなフードや様々なアクティビティも紹介される。小池氏は「未来の東京を一緒に作っていきたい」と語った。
■「課題解決先進都市」としての「未来の東京」に思いを馳せる
株式会社arca 代表取締役社長で「SusHi Tech Tokyo 2024」ショーケースプログラム実行委員長の辻愛沙子氏は「様々な知識・知見を持っている素晴らしいメンバーと、時には熱くなりながら色々な議論を重ねた」と挨拶。伝えたいことは二つあると述べた。
「一つ目は、このイベントをきっかけに都民が未来の東京について思いを馳せてほしいということ。大都市・東京で行政が開催するイベントとなると、行政からのサンプル提示というイメージがあると思う。それもあるが、同時に主役は都民の一人一人。色々な声を皆さんにもらいたいと思っている」と辻氏は語り、「楽しみつつ『こんな視点があったんだ』、『こんな事業展開があるんだ』と感じて欲しい。素敵なアイデアが集まり、希望がたくさんある、そんなイベントになるのではないか」と述べた。
二つ目は「このイベントが東京で開催される意義」だという。「東京は様々な課題を解決してきた『課題解決先進都市』。循環型社会を実現してきた江戸の叡智を令和の時代に受け継ぎたい。色々なコンテンツが目白押しなので東京ならではの文化をお届けしたい」と述べた。
■最新電動モビリティや水素活用も
続いて「SusHi Tech Tokyo 2024」の見どころに関するトークが、小池都知事、辻実行委員長のほか、特別ドラマに出演した子役で、こどもアンバサダーの後藤りゅうとさんを交えて行われた。小池都知事は「会場は広い。回ってもらうにはモビリティは大事。水素を使った船やバスのほか、自動運転モビリティも走る。楽々と会場を回ってほしい」と述べた。
トークでは、先ごろRDS+fuRoが共同開発し、ROIDZ TECH(ロイズテック)社から公開されたばかりのプラットフォーム型電動3輪モビリティ「Raptor(ラプター)」も登場した。
小池氏は「Raptor」のハンドルを握り、「機能もさることながらデザインがかっこいい。目的に応じて姿も変えられる。車椅子にもできるし、若い人にはかっこいい乗り物として乗ってもらえる。いろんな世代がライフスタイルに合わせて使えるので是非乗ってもらいたい」とコメントした。
辻氏も「東京は大都市で、色々な多種多様な方が住んでいる。Raptorは上のユニットを付け替えたら様々な用途に使えるので多様な都市にはぴったりな乗り物」と評価した。後藤さんは「自分も大人になったときに乗ってみたい」と語った。
■プラントベースの代替食品を味わうことも可能
フードでも50店以上のキッチンカー等が出店予定。Z世代向けの「Z品(ぜっぴん)グルメ」と題して、新たなフード体験ができるという。1995年生まれの辻氏は「美味しいものは食べたいけど環境負荷は減らしたい人が多い。プラントベースド・フードや地産地消食材が増えてきたので嬉しい。食卓を一気に変えるのは難しいので、会場で新しい食べ物を試してみてほしい」と呼びかけた。
後藤さんは、ネクストミーツが開発したエンドウマメと大豆を組み合わせた代替肉を使用したプラントベースのハンバーガーを試食。「大豆がお肉みたいで美味しかった。家族や友達に教えてあげたい」とコメントした。
会場では「The Momentum by Porsche」による北京ダックならぬ「東京ダック」、エクリプス・フーズ・ジャパンによる牛乳不使用のプラントベースアイス「eclipseco(エクリプスコ)」の試食などもふるまわれた。これらも会場で販売される。
小池氏は「乗り物あり、美味しいものもあり、かつ環境にやさしい。そんな工夫がされた料理がどんどん食卓に登ることになる」と呼びかけた。
■「yama」スペシャルライブ、モビリティ試乗の予約は公式アプリから
このほか本イベントのために作られた、yamaによる応援ソング「声明」もお披露目。2050年の東京をイメージして書き下ろされた新曲とのこと。5月21日19時からは「yama SPECIAL LIVE」も有明アリーナで開催される。これらの予定は公式アプリで確認できる。公式アプリではこのほか、イベントのタイムスケジュール確認、モビリティ試乗の予約なども可能とのこと。
■アンバサダーには「ロボコ」も登場
このほか会見では「SusHi Tech Tokyo 2024」ショーケースプログラム総合プロデューサーの佐藤勇介氏と辻実行委員長が各技術パートナー各社を紹介した。フィッシュボーイによる21世紀の盆踊り「WAO! DANCE」披露のほか、「海の森エリア」のアンバサダーをつとめる週刊少年ジャンプで連載中の漫画「僕とロボコ」(宮崎周平)に登場するメイドロボットキャラ「ロボコ」も登場し、さっそくアピールしていた。
辻氏は「それぞれコンテンツが違うので、4つの会場すべてに足を運んでもらいたい。大人も子供も楽しめる。週末に家族と楽しむこともできる。4つを集めると5つ目のスペシャルNFTがもらえる未来のスタンプラリーも行われる」と呼びかけた。
たしかに会場全体をフラフラと回遊するのも楽しそうだが、会期も長く、会場全体となると、かなりの広範囲となる。あらかじめ「見たいコンテンツ」を絞って、複数回見に行くのも正解かもしれない。
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ロボットの見方 森山和道コラム
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森山 和道フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!