テラ・ラボ 1000km以上飛べる長距離無人航空機「テラ・ドルフィン」の研究開発拠点を名古屋空港に設置 南海トラフ地震に備えて整備

株式会社テラ・ラボは、名古屋空港ターミナルビル内に長距離無人航空機「テラ・ドルフィン」の開発拠点を整備することを発表した。名古屋空港内において、南海トラフ地震に備えた広域災害対策オペレーションセンターの社会実装を目指す。

テラ・ラボは、2014創業、長距離無人航空機「テラ・ドルフィン」による広域災害対策オペレーションシステムの研究開発を行うスタートアップ企業。この度、県営名古屋空港旅客ターミナルビル利活用事業において選定事業者になった。

広域災害対策システム(写真:テララボ福島で検証している様子)

「テラ・ドルフィン」は全長2900mm、全幅4300mm、重量40kg、積載量5kgの長距離無人航空機。巡航速度は70~150km/hで飛行する。VTOL機は滑走路なしに離陸できるので、災害時にも有効。「テラ・ドルフィン」は洋上飛行にも耐えられる剛性を持ち、10時間以上、1000km以上の飛行を実現するモデルとして開発が進められてきた。



南海トラフ巨大地震の規模想定は震度7

南海トラフ地震が30年以内に80%以上の確率で起こると言われ、政府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震(南海トラフ巨大地震)が発生した際の被害想定を実施している。この被害想定によれば、南海トラフ巨大地震が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れが想定されている。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来も想定される。(内閣府、気象庁より引用)

南海トラフ地震 強震動生成域が陸側寄りの場合の震度分布図


「愛知県版ドローン災害対応モデル」の作成

名古屋空港北西部では、南海トラフ地震等の大規模災害時に、全国からの応援人員や物資等を円滑に受け入れ、被災現場や地域の防災拠点に迅速かつ的確に供給する「愛知県基幹的広域防災拠点」の整備の計画が進んでいる。

長距離無人航空機による広域災害対策情報支援システム

テラ・ラボは、2024年度「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル2030  災害対策ドローン社会実装推進業務(愛知県)」を受託。持続可能な運用を目指すため、有事だけでなく、平時におけるビジネスモデルの検討をおこなうとともに、災害時にドローンを活用するスキーム「愛知県版ドローン災害対応モデル」の作成を行っている。

大規模な災害の発生とともに、自発的に航空機による情報収集を行い、南海トラフ地震の被災が想定される市町村の危機対策部門や消防組織へ、ダイレクトにプッシュ型で情報提供が行えるよう体制を整える、としている。

計測装置を搭載した検証用航空機(有人)

■TERRA LABO Terra Dolphin VTOL PV


これまでの経緯

2016年から、名古屋市と中部大学による「地理情報システム等を活用した防災・減災対策に関する相互連携協定」に参画し、南海トラフ地震を想定した大規模災害発災時における積極的な情報収集、伝達、共有の強化を行うために、被災状況の情報収集方法と可視化に向けてダッシュボードを検証。​

2019年から、福島県イノベーション・コースト構想に基づき整備された「福島ロボットテストフィールド」において、東日本大震災の知見を活かし、大規模災害に備えた広域災害対策オペレーションシステムを検証した。

2022年から、愛知県内で大規模災害を想定、検証用航空機(有人航空機)による、飛行計画や解析方法を検証。

2023年から、「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル 2030 」に参画。

2024年4月には、内閣府デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進タイプ)に愛知県が採択された。その5月に、「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル2030  災害対策ドローン社会実装推進業務(愛知県)」 の実施委託事業者として選定された。

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ロボスタ編集部

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