NECは、2024年度の内閣府「先端的サービスの開発・構築及び規制・制度改革に関する調査事業(スーパーシティ・デジタル田園健康特区対象)」に採択されたことを明らかにした。茨城県つくば市で災害に強いまちづくりを目指すとともに、規制・制度改革の実現に向け、先端技術を活用した実証実験を実施するとしている。
この実証は、大規模言語モデル(LLM)と画像分析技術を用いて被災状況を把握する技術について、つくば市において、災害発生時を想定した社会実装を目指す取り組み。住民の投稿画像により、まちのリアルな状況を可視化し、自治体・住民等へ情報提供することで災害時の迅速な状況把握と災害対応の実現を目指す。
本実証実験では、スーパーシティ型国家戦略特区のつくば市において、災害発生時の個人情報(個⼈が映り込んでいる写真/情報)の取り扱いについて検証することで、防災分野におけるデータ活用の可能性を広げ、より安全・安心な防災・減災対策に貢献していくとしている。
実証実験実施の背景
近年、日本列島では毎年のように全国各地で地震、水害などの自然災害が発生している。関連政策・制度の整備や防災・減災対策による備えの充実とともに、民間が有する先端技術を活用し、産学官で災害に強いまちづくりを進めていくことが喫緊の課題となっており、とりわけ、昨今、日常生活の様々な場面で利用されているSNS等を通じた住民発の情報を災害発生時にも効果的・効率的に活用していくことが有効だと考えられている。
そこで、NECはスーパーシティ型国家戦略特区のつくば市において、災害時に住民参加型のまちのリアルな情報を活用した仕組みづくりを平時の情報活用として実証を行う。つくば市は2022年にスーパーシティに指定されて以降、インクルーシブな社会の実現を目指す「つくばスーパーサイエンスシティ構想」を掲げ、各種取組を進めている。NECもデータ連携基盤の導入など、まちの様々なデータの利活用に取り組んでおり、今回、これらを背景に、つくば市等と協力し実証実験を実施する。
実証実験の概要(案)
実証時期 | 2024年11月~2025年1月(現時点の予定) |
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実証場所 | つくば市内(一部エリアを想定) |
実証内容 | ・災害(火災)時を意識した、エリア内の平時の状況を投稿画像として収集し、集めた投稿画像をLLMと画像分析によりダッシュボードにて可視化。災害(火災)時の迅速な初動対策・対応等への有効性や社会受容性等を調査・実証。本実証で得られた結果を元に、データ連携基盤の活用による更なるサービスの高度化を検討する。 ・つくば市公式アプリ「つくスマ」と連携し、つくスマを通じた画像投稿を収集することで、災害時の課題となりえる平時の状況(違法駐車、混雑する場所等)を可視化。※今回の実証では、「つくスマ」テスト環境にて連携を実施 ・災害時に有効となる情報の投稿を後押しし、スムーズな利用とその情報から安全な行動変容の実現を目指す。また、つくば市にとっては、現場のリアルな状況を可視化できる本サービスを活用することで、災害時の初動対策・対応に繋がるかを検証し、社会受容性についても評価を実施する。 本実証で得られた結果を元に、データ連携基盤の活用による更なるサービスの高度化を検討する。 |
国家戦略特区による規制・制度改革提案 | 防災分野において、SNSの投稿画像に含まれる個人情報の利用目的外での取り扱いに関して検証を行う。 |
※なお、本実証で提供された画像に映り込んだ人物などの個人を識別できる個人情報については削除する。
NECは今回実施を予定している実証を契機に、「つくばスーパーサイエンスシティ構想」の実現に向けた取り組みを加速していくとしており、LLMと画像分析により、まちの状態を可視化したうえで、来年度以降、デジタルツインの実装を目指し、取得した情報を基に平時・災害時を通じた多様なサービスの開発をしていくとのこと。
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