社会インフラのDXを提案する株式会社センシンロボティクスは、公共設備の遠隔点検を目的とした実証実験に、扶桑電通株式会社と共同で、遠隔操作が可能なロボットとドローンによる遠隔監視の実証実験を実施した。
遠隔地にある公共設備を地上ロボットやドローンで点検
遠隔地にある公共設備には、日常点検に時間とコストがかかる課題がある。特に、災害時や障害時など、技術者が現場に立ち入れない場合もあり、迅速な対応が困難というケースもある。
また、センサーを用いて設備の異常検出を発見した際に、遠隔地から必要な復旧操作などの介入ができないことも課題として挙げられている。
そこで、施設の日常点検だけにとどまらず、災害時や障害時にも迅速な対応を行なうために、自動で遠隔操作が可能なロボットやドローンによる遠隔監視の検証を、センシンロボティクスと扶桑電通が共同で実施した。
無人地上車両(UGV)を用いた実証実験
センシンロボティクスがインターネット環境を用いた遠隔操作や自律走行が可能な「UGV」(Unmanned Ground Vehicle)を構築、扶桑電通が提供するアームロボットと組み合わせて実証実験を実施した。
適切なUGVの選定、アームロボットへの搭載、システム統合などの技術面で支援を行い、UGVにアームロボットを組み合わせることで、自律走行による現場巡視だけでなく、必要に応じてアームロボットを活用した復旧操作も行なうことができる。
この実証を通じて、多様な設備の点検が効率的に行えることが確認できたという。
特に、定期的な保守業務や障害時における一時切り分けを遠隔でおこなうことで、人的リソースの削減と点検精度の向上が実現した。
ドローン(UAV)を用いた実証実験
非GPS環境下で、屋内飛行が可能なUAV(Unmanned Aerial Vehicle)「Skydio機」を活用する実証実験を実施した。
センシンロボティクスの飛行技術やノウハウを活かし、扶桑電通へ研修などの導入支援および、飛行の難易度が高い狭小部や、螺旋階段がある現場での飛行サポートを行なった。
この実証によって、遠隔からの簡易的な操作で、操作者の技量に関係なく自律飛行による計器類のデータ取得や、有事の際の初動調査に活用できることを確認した。
また、リアルタイムのデータ取得により、異常を確認できた際には即座に対応することが可能となった。その結果、障害時の設備ダウンタイムを最小限に抑え、効率的な運用を実現する見込みがたった。
今後の展開
センシンロボティクスと扶桑電通は、この取り組みで得た知見をもとに、引き続き協力し、設備点検の省人化・効率化・迅速化の実現を目指す、としている。
UGVにおいては、自律移動時の正確性および安全性の向上、遠隔操作時の操作性のさらなる高度化に取り組む。また、UAVにおいては、取得した計器類や設備外観のデータをAI分析システムで解析し、人間の目では見落としがちな小さな異常を早期に発見することで、保守作業のさらなる効率化を可能とする。これらの改良やAIの活用を通じて、DXによる設備点検の高度化を推進していく考え。
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