NTT-AT「発電できる透明ガラス」の性能アップ版「SQPVガラス V2」をinQsと共同開発 評価用サンプルの提供開始

NTTアドバンステクノロジ株式会社(NTT-AT)とinQs株式会社(インクス)は共同で、「SQPV」(Solar Quartz Photovoltaic:透明光発電素子)技術を活用した透明発電ガラス(SQPVガラス)の研究開発を進め、その発電性能と品質を大幅に向上させることに成功した。
この研究成果をもとに製造したSQPVガラスの新バージョン(V2版)の評価用サンプル(以下:ES品)を11月1日から提供開始する。

NTTグループ「IOWN構想」の取組みのなかで、NTT-ATは、再生可能エネルギーによる循環型社会の実現に向けた取組みのひとつとして、2020年2月にinQsと「SQPVガラス」に関する国内独占販売契約を締結。顧客への販売と導入を推進してきた。

従来のSQPVガラスは、30㎝角のガラス1枚が1セルだったが、1セルが11cm×6cmで構成されるマルチセル方式に改良した

両社は、SQPVガラスのさらなる性能向上と、品質改善に関する共同研究を進め、今回、発電性能の大幅な向上に成功したことから、V2版の量産準備と並行して、各種利用方法を検討する顧客向けにES品の提供を開始することとなった。

「IOWN構想」は、革新的な技術によってスマートな世界を実現する構想で、最先端の光関連技術、情報処理技術を活用した未来のコミュニケーション基盤として、これまでのインフラの限界を超え、多様性を受容できる豊かな社会の実現をめざしている。
また、この構想の一環として、地球温暖化対策、再生可能エネルギーのさらなる活用、限られたエネルギー資源の有効利用などをめざした「スマートエネルギー事業」の取組みも推進している。


SQPVガラスとは

SQPVガラスは、二酸化ケイ素をナノレベルに加工した透明光発電素子「SQPV」技術を活用した透明発電ガラス。見た目は透明ガラスでありながら電気を創ることができる。
遮熱効果により空調などのエネルギー消費量を減らす。また、ヒートアイランド現象の低減にも貢献する。
北面や室内光など弱い光でも発電できるので、電気が必要な「その場所」で電気を創ることができる。


SQPVガラスの使用例(ユースケース)

2020年2月のV1を販売開始して以来、「SQPVガラス」と枠および発電した電力で可動するシステムのセットを窓ガラスの内窓として設置するタイプの実証試験および、可動型衝立としてオフィスフロアに設置するタイプの納品を行っている。

窓枠タイプ SQPVガラス初期版(V1版)を用いた実証事例や納品事例。V2版はマルチセル化により外観が異なる



可動型衝立タイプ SQPVガラス初期版(V1版)を用いた実証事例や納品事例。V2版はマルチセル化により外観が異なる


SQPVガラス V2版について


SQPVガラス V2版の特長

30㎝角のガラス1枚が1セルである従来のSQPVガラスを改良し、11cm×6cmにしてマルチセル化した。また、材料も改良することで、30cm角サイズ全体での出力値を大幅に向上させた。

・発電効率 1%
・発電性能 50mW以上(放射照度 100W/㎡照射時)
・可視光透過率 56%以上


ES品の提供について

今回開発したV2版のさまざまな適用シーンを検討してもらうため、ES品として提供を開始。

・名称:SQPVガラス V2版 ES品
・提供開始予定:2024年11月1日
・想定利用場所:屋内


今後の展開

NTT-ATとinQsは、V2版の安定供給に向けた体制を整えるとともに、屋内利用のみならず、屋外利用に向けたさらなる性能・品質向上や遮熱・断熱性能評価に取組み、SQPVガラスの適用領域拡大を推進していく考えだ。

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ロボスタ編集部

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