NVIDIAは「NVIDIA AI Summit」に伴うプレスリリースで、遠隔操作と自律動作に対応するロボット「ugo」(ユーゴー)を紹介した(ugo株式会社は最先端のスタートアップ企業を育成するためのNVIDIAのグローバル支援プログラム「NVIDIA Inception」のメンバー)。
「ugo」はロボスタ読者にはお馴染みのロボットだろう。プラントや危険が伴う場所で巡回業務をしたり、計器類のチェックを自動でおこなったり、既に実践導入されている。
NVIDIAは「全国の施設を管理するための自律型セキュリティシステム」の例としてNVIDIA Jetson(超小型のAIコンピュータ)プラットフォームを搭載したロボット「ugo」を紹介し、リリースにはノーコードで自動化操作機能Flowによってugoを操作する動画のリンクを掲載した。
■自動操作!ノーコード自動化操作機能Flowによるugo操作
ugoは生成AI対応の「ugo +edge AI」を展示
「NVIDIA AI Summit」の展示ブースでugoは、生成AI対応の「ugo +edge AI」を展示。
「ugo +edge AI」は、従来の業務DXロボット「ugo Pro」に、エッジAIとしてロボティクス向けのシステムオンモジュール『NVIDIA Jetson AGX Orin』を搭載。AI対応の性能拡張オプションを紹介した。
また、展示ブースでは、行動認識AIのAsilla(アジラ)と共同開発している「AI Security asilla」を活用した異常検知のデモと、大規模言語モデル(LLM)を活用した自動案内サービスのデモを実施した。
自動セキュリティ デモ
ugoに搭載された「Jetson AGX Orin」によるエッジAIおよびカメラを用いて、映像中の人の骨格から行動を推定・検知し、その行動に危険が伴う場合は注意や関係者への連絡などのリアクションをugoで自動化する。
自動案内 デモ
自動案内サービスは、対面での会話を生成AI を用いてロボットで自動化する機能。現場シーンごとに異なる案内情報をナレッジデータとして登録管理し、それらのナレッジデータを踏まえた高精度の回答をLLMエージェントが生成、ugoが音声で回答する。
また、マルチモーダルな対話機能も実装し、ugoから見えるシーンを元に回答を生成するデモも実施した。
ロボットに生成AIをどう活用する? 松井社長に聞く
生成AIが注目されているが、ロボット分野では生成AIはどのように活用できるのだろうか。ugo株式会社の代表取締役CEO、松井健氏に聞いた。
松井氏は「ugoは巡回して警備したり、プラントでは計器類を見て回ったり、図書館で蔵書をチェックしたり、既にさまざまな場所で利用されています。次のステップとして、ロボットが人と会話して行動するUIの開発を進めています。人が自然言語やあいまいな言葉でロボットに指示を出しても、それをロボットが理解する機能です。そこではLLMなど生成AIがとても有効になります。
また、ロボット側も複数のセンサーの情報を分析し、更には映像などを加味して、今どのような状況にあるのかをマルチモーダルな情報から高精度に認識し、生成AIで次の最適な行動を生成することができるようになります(行動生成AI)」と語っている。
また「警備員さんが”自分はこの業務をやるから、ugoはこっちの業務をやっておいて”と言って役割分担を言葉でおこなったり、ロボットは常に各警備員さんの現在位置を把握しておいて、何らか異常を検知したときに、どの人に通知したらいいかを的確に判断するなど、生成AIと組み合わせることで、そこまでロボットができるようになると思っています」と続けた。
AIエージェントとしてロボットが自律的に行動し、言語で人間とやりとりできる世界観が生成AIによって実現する。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。