川崎重工の無人ヘリコプター「K-RACER」で送電鉄塔向けの資材を自動運転で空輸 かんでんと朝日航洋の3社で合意

川崎重工業株式会社と株式会社かんでんエンジニアリング、朝日航洋株式会社は、「送電鉄塔向け物資輸送における協業検討に関する合意書」を締結した。これにより、川崎重工が開発する無人ヘリコプター「K-RACER」を活用し、送電鉄塔向け物資輸送サービスの事業化を目指した検討を協力して行っていく。

まずは、物資輸送サービスの実証実験を実施した上で、事業化における技術課題等の検討を行っていく考え。

川崎重工が開発する無人ヘリコプター「K-RACER」。最大200kgの物資を運搬することができる


約24万基の送電鉄塔にメンテ資材を運ぶ

発電所で生み出された電力は、送電網を通じて各地の変電所に届けられ、その後、家庭や企業に配電される。国内に張り巡らされる送電網を構成する送電鉄塔は、現在約24万基が設置されている。

安定した送電を行うためには、定期的な送電鉄塔の建替、設備更新、保守等の作業が不可欠であり、山間地にある送電鉄塔の場合、これらの作業をおこなうための「資機材の輸送」は、有人ヘリコプター、モノレール、索道、人肩運搬等で担われている。

有人ヘリコプターを使った物資輸送の様子 写真提供:朝日航洋株式会社

しかし、加速する少子高齢化に伴う労働人口の減少により、今後、新たな輸送手段の拡充が必要とされている。
この課題の解決に向け、1回あたり最大200kgの物資を運搬することが可能な「K-RACER」を活用し、このサービスの事業化を目指した検討を3社で協力して行っていくことになった。
川崎重工は、このサービスの対象となる「送電鉄塔向け市場」だけで数十機の規模、この市場全体では数百機の機体需要を見込んでいる。

「K-RACER」による物資輸送(イメージ)写真提供:朝日航洋株式会社


各社の役割と事業概要

・かんでんエンジニアリング:架空送電線、地中送電線の建設、保守、点検工事 等
・朝日航洋:ヘリコプターによる送電線建設工事等における物資輸送 等
・川崎重工:「K-RACER」の機体開発・製造・事業開発 等

【「K-RACER」の主な仕様】
-メイン・ローター直径: 7m
-最大搭載量: 200 kg
-駆動方式: レシプロ・エンジン
-燃料: ハイオクガソリン
-航続距離: 100km 以上
-連続運用可能時間: 1 時間以上

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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