
「GTC 2025」において、NVIDIA、アルファベット、Googleは、生成AIエージェントとロボティクスAI、創薬分野などで協業することを発表した。この協業は、ロボット、ヘルスケア、製造、エネルギーなどの産業に変革をもたらすとしている。研究チームにはアルファベットの実験的プロジェクトを行う「X」部門からスピンオフしたロボティクス関連企業 Intrinsic社(イントリンシック)も含まれている。
Alphabetグループのエンジニアと研究者は、NVIDIAの技術チームと緊密に協力し、AIとシミュレーションを活用して把持スキルを持つロボットの開発、創薬の再構築、エネルギー グリッドの最適化などを進めている。
NVIDIA Omniverse、NVIDIA Cosmos、NVIDIA Isaacプラットフォームを活用し、Google DeepMind、Isomorphic Labs、Intrinsic、そして X (元グーグルX)のムーンショット計画である Tapestryのチームは、NVIDIA GTC グローバル AIカンファレンスでそれぞれの協業における重要なマイルストーンについて語る。
顧客の研究と AI製品開発の取り組みを強化するため、AlphabetのGoogle Cloudは、GTC 2025 で発表された「NVIDIA GB300 NVL72 ラックスケール ソリューション」と「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition GPU」をいち早く採用すると発表した。
NVIDIA は、AI生成コンテンツを識別することで、知的財産を保護するGoogle DeepMind の AIウォーターマーク技術である「SynthID」を採用する初めての企業となる。
Google および Alphabet、NVIDIAのコメント
Google および Alphabet の CEO である スンダー・ピチャイ氏は次のように述べている。
Google、ピチャイ氏
「Android の初期の頃から Alphabet 全体での最先端 AI コラボレーションに至るまで、NVIDIA との継続的かつ深いパートナーシップを誇りに思います。エージェント型 AI やロボティクスに共に取り組み、AI のメリットを世界中のより多くの人々にもたらすパートナーシップの次のフェーズに大きな期待を抱いています」
NVIDIA 創業者/CEO であるジェンスン・フアン (Jensen Huang)氏は次のように述べている。
NVIDIA、フアン氏
「Alphabet と NVIDIA は、AI インフラやソフトウェアの構築から、主要な産業における AI 活用の促進に至るまで、長年にわたるパートナーシップを築いています。創薬からロボティクスまで、とてつもない課題を解決するために Google と NVIDIA の研究者とエンジニアが協業する姿を見るのは大きな喜びです」
責任あるAIとオープンモデルの開発
Google DeepMind と NVIDIA は、コンテンツの透明性を通じて生成AIへの信頼構築に取り組んでいる。
NVIDIA は、AI生成画像、音声、テキスト、動画に直接デジタル・ウォーターマークを埋め込む Google DeepMind の「SynthID」の最初の外部ユーザーとなる。
「SynthID」は build.nvidia.com で利用可能な NVIDIA Cosmos 世界基盤モデルのアウトプットの完全性を保持し、ビデオ品質を損なうことなく、誤情報や誤帰属から保護する役割を果たすという。
Google DeepMind と NVIDIA はまた、Google の軽量オープン モデル ファミリーである 「Gemma」を NVIDIA GPU 上で実行するために最適化するパートナーシップを締結した。最近の「Gemma 3」の発表は、オープンイノベーションにおける大きな前進を示している。
NVIDIA は「Gemma」を開発者にとってさらにアクセスしやすくするための、重要な役割を果たしている。NVIDIA AI プラットフォームによって強化された Gemma は、優れた推論パフォーマンスを発揮するオープンソースの NVIDIA TensorRT-LLM ライブラリのパワーを活用し、高度に最適化された NVIDIA NIM マイクロサービスとして利用可できる。
さらに、この緊密なエンジニアリング コラボレーションは、Vertex AIを通じて NVIDIA GPU 上の Gemini ベースのワークロードの最適化にまで拡大する。
インテリジェント ロボットの時代
Intrinsic は、さまざまな業界における製造業者にとって、ロボットを使いやすく価値のあるものにするため、インテリジェントに適応する AI の開発を手掛ける Alphabet傘下の企業。現在、世界中に設置されている産業用ロボットの大多数は手動でプログラムされており、すべての動作が複雑で高価なプロセスでハードコードされている。
NVIDIA とのパートナーシップにより、開発チームはユニバーサルなロボットの把持能力のための、より深く直感的な開発者ワークフローを Intrinsic Flowstate 向けに構築した。このワークフローは NVIDIA Isaac Manipulator 基盤モデルをサポートしている。
ロボティクスのための基盤モデルを使用することで、アプリケーションの開発時間が大幅に短縮され、簡単に適応できる AIによって柔軟性が向上する。GTC では、Intrinsic は Intrinsic Flowstate と NVIDIA Omniverse 間の初期 OpenUSDフレームワーク・ストリーミング接続も共有し、プラットフォーム間でのロボット・ワークセルのリアルタイムの可視化を可能にする。
同時に、NVIDIA と Google DeepMind は、Disney Research と協業して Newton を開発することを発表した(関連記事「NVIDIAとディズニー、Google Deepmindが連携 世界初のヒューマノイド開発基盤「Isaac GR00T N1」の概要と物理エンジン「Newton」を発表」)。Newton は「NVIDIA Warp」フレームワークで加速され、「MuJoCo」と互換性のあるオープンソース物理エンジン。Newton を搭載することで、MuJoCo は既存の GPU アクセラレーテッド シミュレーターである MJX と比較して、ロボティクスの機械学習ワークロードを 70 倍以上高速化する。
AI で創薬を再構築
Google DeepMind CEO の Demis Hassabis氏 が設立した Isomorphic Labs は、AI で創薬を再構築している。同社は Google Cloud 上に NVIDIA GPU を搭載した最先端の創薬エンジンを構築し、人間の健康促進に役立つ画期的な AI モデルの開発を継続するために必要な規模とパフォーマンスを実現している。
X(元Google X)の電気グリッド向けのムーンショット プロジェクトである Tapestryでは、よりグリーンで信頼性の高い未来のグリッドのための AI 搭載製品を構築している。TapestryとNVIDIAは、電力グリッドシミュレーションの速度と精度を向上させる方法を模索している。
この共同の取り組みは、グリッドの安定性を確保しながら、データセンターとAIの増大する需要に対応するために、新しいエネルギー源の統合とグリッド容量の拡大という課題に焦点を当てている。両社は、より持続可能な未来に向けたエネルギー インフラの計画と近代化を強化することを目標に、AI を使用して相互接続プロセスを最適化することを含む潜在的なソリューションを評価する。
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