株式会社Highlandersは、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボット基盤モデルの研究開発 GENIAC」に採択されたと発表した。
同社は国産ヒューマノイド「N」を開発しており、本事業では自動車製造の位置合わせ工程を対象にフィジカルAI基盤モデルの研究開発に取り組む。
2026年9月にキックオフ、歩行デモを実施
2026年9月9日に開かれた事業計画発表会(キックオフ)では、Highlandersが研究開発計画を発表した。全採択企業が出席するキックオフの場で、Highlandersは壇上で国産ヒューマノイド「N」の歩行デモを行った。

対象物との接触を推定するフィジカルAI基盤モデルを開発
Highlandersが本事業で開発するのは、対象物との接触状態を推定しながら動作を生成する国産フィジカルAI基盤モデルだ。
現在量産化を進めているヒューマノイド「N」とこの基盤モデルを組み合わせ、自動車製造の位置合わせ工程に向けた基盤モデル開発に取り組む。
具体的な取り組み内容は次の5点だ。
自動車製造の位置合わせ工程を対象に、実機・模擬・シミュレーションの各環境を整備
視覚・触覚・力覚・関節トルク等を同期させた実機マルチモーダルデータを取得
視覚・言語・行動を統合するVLAモデルと、物理状態を扱う世界モデル(WM)を開発し、接触力・滑り・押し付け・姿勢崩れ等を予測
ヒューマノイド「N」に実装し、未学習のワークを含む位置合わせ性能を検証
GX型データ工場で「N」・計算機・施設の電力ログを取得し、CO2排出量の削減効果を検証
ヒューマノイドの量産で訓練データの質と量を確保
フィジカルAI基盤モデルの性能は訓練データの量と質に左右される。フィジカルAIの訓練データは物理世界のセンサー情報を必要とするため、収集の難しさが業界共通の課題になっている。
Highlandersはフィジカルの基盤モデル開発に加えて、訓練データ収集のためのヒューマノイド機体ハードウェアも独自に開発・量産している。機構・電子回路・組み込みソフトウェア・AIを垂直統合で開発することで、訓練データの質を考慮した機体設計を行い、高度な訓練データを収集できる体制を整えているとしている。
訓練データの量を確保するには、個体差のない機体を大量に長時間稼働させる必要がある。Highlandersは訓練データ収集を目的にヒューマノイド「N」の量産を進めており、2026年7月には三菱自動車工業と量産化に向けた共同記者会見を行った。2027年の出荷開始に向けて量産準備を進めている。

今回の研究開発事業では、Highlandersが持つフィジカルAI技術・ヒューマノイド量産体制・訓練データ収集体制を活用し、自動車製造現場での作業者の補助、位置合わせ、部品供給、仮保持、組付け補助、検査補助といった適用範囲を順次広げていく方針だ。

代表取締役のコメント
Highlanders代表取締役の増岡宏哉氏は、日本の労働力不足を背景に、フィジカルAIの訓練に必要な実世界データが国内外で不足している現状に触れたうえで、「日本の労働力不足の課題は国産基盤モデル・国産ヒューマノイドで解決することが最も肝要」とコメント。三菱自動車工業とともに国産ヒューマノイド「N」の量産体制を構築していることを挙げ、機体を量産できることで集まるデータの量と質を確保し、国産フィジカルAIの土台を築いていく考えを示した。
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